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ギルドマスターからの依頼 中

(ヤクルト付近の森か……え、もしかして)


 俺はもしやと思う。

 朝ミシェリアとともに森へ行き、ワイバーンに襲われるというハプニングがあって、そしてミシェリアは盗賊と思われる集団に襲われた。


 問題はそのミシェリアを襲って返り討ちにされた奴らだ。

 この依頼書に書かれた影殺しの狐とやらは、もしかしなくてもミシェリアが倒した奴らのことじゃないか?


 でも、そうするとわからないことがある。

 それはミシェリアに殺られた奴らの武器は剣だったということだ。

 この依頼書では主な攻撃手段が魔法、弓と書かれている。

 あの森には2つの盗賊団が根城にしていたのだろうか? だとしたら、腑に落ちるのだが。


(考えていても仕方がないよな……)


 もしもミシェリアが影殺しの狐とやらを倒していたら儲け物。

 倒してなかったら俺が倒せばいいことだ。


 ただそれだけの事だな。


「アイシス! ミシェリアを呼んできてくれ!」


「かしこまりました」


 部屋の外からアイシスの返事が聞こえると、俺はギルドマスターと美女に向き直った。


「じゃあそうですね……準備もお互いにあるでしょうし、30分後に街の入口で集合でいいですか?」


「えぇ、いいわよ。それじゃ失礼するわね――さ、行きましょうお母様」


「うむ、そうじゃな。では勇者様よ、娘を頼みました」


「えぇ、お任せくださいギルドマスター」


 俺は部屋を出ていく2人を見送ると、服の中に隠し持っていた時限爆弾をバックパックに入れる。

 何かがあって爆発したらシャレにならんからだ。 


 それにしても、何故あの美女はダガーナイフを隠し持っていることに気がついたのだろうか?

 俺の挙動で武器を所持していることに気がついたのか、それともニオイで……ありえるな。


 ダガーナイフは鉄のニオイがする。

 ズボンの中に入れとけば気づかれないと思ったのだが、どうやら美女は鼻が利くみたいだ。


(てか美女美女って言いたくないなぁ……シシルってギルドマスターから呼ばれてたし、俺も勝手に呼ぼうっと)


 確かにシシルは美女だったが、俺が毛嫌いする種類の人だった。

 だから俺は勝手に呼ばせてもらう。

 呼ぶのは心の中だけだし、問題ないよね。


 ソファーに寝転んで俺は思考を巡らせていると、ドアがノックされた。

 俺が「入っていいよー」と言うと、アイシスがミシェリアを連れて部屋に入ってきた。


「失礼します。ご主人様、ミシェリア様をお連れしました」


「来たかミシェリア。アイシス、お前は退室しろ」


「かしこまりました」

 

 アイシスが退室する。

 ミシェリアに手で座るように促して俺は体を起こした。


「……なに? 私、デザート食べてた……」


 少しキレ気味にそう言うミシェリアの口元には、果物だろう果汁が付いていた。

 ミシェリアはそれをペロッと舐め、俺をジト目で睨む。


「すまんすまん……用件は2つだ。1つ目はコレを渡すためにミシェリアを呼んだんだ」


 俺はバックアップから刀を取り出して、無駄な装飾のない机の上に置いた。

 ミシェリアは小首を傾げて「これは?」と訊いてくる。

 

「これは俺の国で古くからある刀って名前の武器だ。攻撃方法は斬るか突くか。刀身より大きな物――例えばアスデールさんの大剣とかを受け止めたら刃が折れてしまうが、人間を殺すにはこれ以上にない武器だろうと俺は思っている」

 

 俺はそこで一旦喋るのを止めた。

 ミシェリアが刀を鞘から引き抜いているからである。


 俺が思うに、刀を扱うにはそれ相応の技術がいる。

 刀は刀身より大きな物を受け止めると刃が折れてしまうのだ。

 だが、受け流すという技があるので天才肌のミシェリアならば問題ないだろうと俺は判断した。

 俺は受け流すと言ったが、同じ大きさの剣などならば鍔を利用して受け止める事ができるが、ミシェリアは刀の反りで受け流す方が容易いと推察した。


 本当なら俺が刀を使いたいけど、俺に受け流すなんて繊細なことできないし、それに俺には魔剣があるのだ。  


 俺はミシェリアが刀を鞘に収めると、少し間を置いて喋り出した。


「そして刀は何人も連続で人を斬ったりすることができない。沢山手入れをしなきゃならんが、その分愛着の湧くものだろうから、ミシェリアに合うんじゃねぇかと思ってな。


 どうだ? 受け取ってくれるか?」


「……うん、ありがと……」


 ミシェリア刀を大事そうに抱きしめて、ぎこちなく笑った。

 俺は初めて見るミシェリアの笑顔に、見惚れてしまった。


 普段笑わない美女が笑うと、こんなにも可愛く見えてしまう不思議。

 やはり俺の・・ミシェリアは最高だ。


 ミシェリアはプイっと顔を逸らし、チラチラと俺を見る。

 俺はハッとして、咳で誤魔化した。


「コホンッ! あぁ、あとこれからまた森に狩り・・に行くから、よろしくな」


「? ……また、行くの?」


「そうだ。と言っても今回はもう1人着いてくるがな」


「??」


「後のお楽しみだ。さ、行くぞ」


 困惑顔のミシェリアに一方的に告げると、俺は部屋の外に出て待機していたアイシスを引き連れて自室に戻った。


「ご主人様、ミシェルはどう致しますか?」


 アイシスはミシェルの事を話題に上げる。

 何故ミシェルの事をアイシスが呼び捨てにするかと言うと、ミシェルも同じ奴隷だからだ。

 因みにミシェリアは奴隷じゃないので、一応様付けで呼ばれている。


 ミシェルは現在お買い物に行っているので、ミシェルに俺が再び家を出たと伝えるのか? と、アイシスは訊いているのだろう。

   

(うーむ。どうしよっかなぁ……)


 ミシェルは、また街を出るなら私も連れて行ってくださいと言っていたので、どうするべきか俺は悩む。

 この場合は、俺はギルドマスターとシシルにもう1人連れていきたいとお願いしたので、ミシェルを連れて行く事はできない。


(まぁ、今度一緒にどこかに行けばいいだろ)


 この街の案内図にはカフェが載っていたので、今度ミシェルを誘って行くとしよう。

 この世界の食べ物は未知が多いので、俺としても楽しみだ。


「ミシェルが帰ってきたら俺は出たと言っといてくれ」


「よろしいのですか?」


「あぁ、構わない」


「わかりました」


 多分アイシスも俺の雰囲気から理解してくれたのだろう、追求しないで部屋から出ていった。

 あ、奴隷だから追求するのは失礼に当たる、と思ったのかも知れんな。


「……行かないの?」 

 

 突然後ろから聞こえる声に、俺はその場から飛び離れる。

 後ろを振り返って見ると、刀を腰に差したミシェリアがいた。


「っ!? い、いつからいたんだミシェリア!」


「? ……ずっといた」


「そ、そうか」


 俺はミシェリアのいつものテンションに、落ち着きを取り戻して深呼吸を3回して、心臓の速い心拍数を正常に戻すと、ズボンポケットに入れていたダガーナイフの全てをバックパックに入れた。 


 盗賊団の壊滅俺的作戦を考えよう。


 第一に、地理的には森の中だろうから、先手必勝奇襲が一番。

 アジトがどんなのか次第で変わるが、カノン砲をぶっぱなそうと俺は考えている。


 とは言っても、ギルドマスターとシシルは俺の強さ・・を調べたいのだろうから、魔剣での近接戦闘も考えてはいる。

 無論、剣術のけ文字も俺にはないわけで、最後の1人になるまでカノン砲を放ち続けようと俺は思っていた。


「ミシェリア、行こうか」


「……うん」


 覚悟は決まった。

 シシルに会うのは精神的にお断りしたいが、ギルドマスターからのお願いならばしょうがない。


 咀嚼して言えば、俺には目論見があったりするんだけどな。


 さて、行こうとするか。


 俺はミシェリアと一緒に本日2度目の狩りに向かうため、シシルとの合流地点に歩いていった。


 

 

 

 

 

 













 

 


 





 









 

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