魔王倒して帰ってきたら幼馴染が結婚してた
整理してたら出てきたので投稿。
「そ、そんな……」
ようやく魔王殺した僕は半年かけて自国に戻った。
五年前、魔王を倒したら結婚しようと約束していた幼馴染が待っているからだ。
そして、寝る間も惜しんで走り続け、自国の首都につくと、何やら騒がしい。
門番に聞くと、なんでもこの国の第二王子が結婚したので、そのお披露目パレードの真っ最中だそうだ。
僕はこの第二王子が死ぬほど嫌いだったが、なんとなく花嫁が気になり覗いてみた。
花嫁は幼馴染だった。
僕はどうしたらいいのかわからなかったが、とりあえず慌てて王城に走る。
帰還の報告をしなくてはならないからだ。
王城につくといきなり捉えられ、牢屋にいれられた。
本当にいきなりだ。
衛兵に名前を告げた途端、ドドッと兵隊が集まってきたのだ。
抵抗すれば、殺してしまうかもしれないのでおとなしく捕まると、鎖で雁字搦めにされ、牢屋にほっぽりこまれた。
「なんで……」
ぶっちゃけこんな鎖は一瞬で千切れるがとりあえずおとなしくしておいた。
二日間、飲み物も食べ物も貰えずにいると、あの第二王子が幼馴染と一緒に来た。
「ふっ、さすがの勇者も二日間飲まず食わずであれば逃げ出す力も無くなっただろう」
いや、全然。
一週間は余裕ですが。
「何が勇者よ!この裏切り者!」
何を言っている?
「調べはついているのだよ。貴様は勇者であることを盾に今まで数々の女性を襲い、民を脅して金品を奪い、私腹を肥やしていたそうだな。どうりで五年間もかかるわけだ」
はい?
女性を襲う?
襲われたことはあるぞ、命のやり取りとしてだが。
民を脅して奪う?
逆にタカられたわ!
私腹を肥やし?
一文無しだよ!
五年もかかる?
たった一人でやったんだぞ!むしろ五年でよく倒せたと思うよ!
「それにあなた学園時代にも勇者候補だと裏で偉ぶっていたそうじゃない!見損なったわ!その反面、あんたが嫌ってた第二王子様は素晴らしいわ!そりゃ嫌うわよね!自分と正反対なんだものね!」
第二王子様が裏で偉ぶってたんですが。
そしてそれは割りと有名なんだが。
どうもあの頃の第二王子様に関することは根も葉もない完全なるデタラメで、噂は第二王子様を僻んでいた俺が撒いたとなってるようだ。
他にも何か喚き散らしているが、もうどうでも良くなった。
「もういいや」
僕は鎖を千切ってほっぽり、牢屋を手刀で切って外に出る。
横で二人がパクパクしていて、牢屋番も腰が抜けてるがほっぽっておく。
その足で王様に会いに行くと、勿論衛兵が沢山来たがどうでもいいので一度回し蹴り、衛兵は飛んでいった。
王様は玉座でガクガク震えている。
「王様、もうどうでもいいんで帰っていいですか?あ、あと第二王子様、なんとかしたほうがいいですよ。ろくなことしないんで。それと、僕がいなくなったら多分この国、他の国から戦争ふっかけられると想いますんで頑張ってください。それじゃ」
その後、村に帰ってのんびり二年ほど過ごしていると、幼馴染も村に帰ってきた。
帰ってきたというか、逃げてきた。
僕がいなくなったときは、皆さん大喜びだったらしいが、僕という勇者がいなくなったことで、他の国が一斉に戦争を仕掛けて、一瞬で滅びた。
幼馴染は第二王子が噂通りだったことに気づき、しかも第二王子が幼馴染ことを他国に売り、自分を助けてもらおうと考えていることを知って、慌てて逃げてきたんだそうだ。
まあ、最初は偉そうにしていたので、外に放置していたが、大号泣しながら村中に響き渡る声で謝られたので、家にいれて、結局一緒に生活している。
なんてことはない空っぽなお話でした。