私の色は
空に雲がなかった。
風がなく
雨の気配もなく
ただ遠い色があった。
空に色があるのが怖かった。
こんな日に
誰かが死んでしまうのが
怖かった。
笑顔で吸い込まれ
誘う手を繋ぐ
いつか悪い笑顔を見た事がある
それは夕日のない海を見た日だ。
空と交わる場所にいた自分の
笑った顔だ。
海の中には音があった
誘う手と笑い声もあった。
あなたもいた。
あなたがいた。
沈み墜ちた底から
一緒に空を見上げた。
私はこの色を
初めから知っていた。
あなたが恐れた色だから。