そして漫画家、ペンを手に
メザトが漫画を読んでいたのは、漫画好きであった祖父の影響が大きかった。
メザトの両親の家と祖父の家は割りと近所にあり、さらに言えば祖父の方がメザトの通っていた幼稚園と小学校に近い場所にあった。
そのような土地関係の理由もあり、幼い頃から祖父の家に入り浸っては夜遅くに帰り、母に怒られていた記憶がメザトにはある。
男の子は外で遊びなさい、というのが当時の母の口癖だったが、少々暗い正確で人と話すことに苦手意識があった幼少期のメザトは外で遊ぶより、一人静かな場所で絵を描いている方が好きだったのだ。
母はそんなメザトをどうしても近所の元気な子ども達と連ませたかったらしいが、「好きにさせてやれ」と祖父が口を出せば、母は即座に口を閉ざした。
自他共に認める厳格な性格で、実質メザトの家の支配者でもあった祖父。
近所の人から『カミナリオヤジ』などという渾名をつけられるほど気性の荒い祖父は、母や実子である父から少々腫れ物のように扱われていた。
そんな両親が苦手とする祖父であるが、メザトの意志を尊重しいつも口煩い母から庇ってくれる祖父を、メザトは母より好ましく思っていた。
表情も固く、居間に腰を下ろすだけで人を威圧する圧倒的な存在感を持つ影の支配者。
趣味は盆栽特技は書道と断言しそうな見目をしている祖父であるが、メザトだけは知っていた。
実は祖父は、筋金入りの漫画好きであることを。
祖父が一日の半分以上を過ごす書斎。父も母も恐れ多いと言い祖父の生前一度も足を踏み入れなかったその場所は、壁一面全て漫画で覆い尽くされていた。
年季の入った棚に所狭しと、作者名ごとに並べられた漫画の数々。
天井にまで届くほど几帳面に収納されたそれは幼いメザトから見ると、神々しい漫画の王国であった。
天国と言っても差し支えがなかった。
物静かで絵を描くのが好きな大人しい性格のメザトが、好奇心で入り込んだ漫画の王国の虜になるのは、必然的なことだった。
足が悪く、一日の大半を漫画と共に過ごす祖父一緒に、日々メザトは漫画についてあれこれ語り、漫画を真似て絵を描いた。
頑固親父と影で両親から言われている祖父は、軋む書斎の床の上に自由帳を広げ、見様見真似で漫画を描くメザトを微笑ましげに見守っていた。
書斎で漫画に触れている時だけは、凪の海のような穏やかな表情をする。
もしかしたら祖父のそんな顔が見たいから、メザトは休日も一人暮らしの祖父の元へ足を運んでいたのかもしれない。
小学生の低学年が描く漫画。それこそ漫画の形を取っていない拙すぎるその絵を見ては、「下手くそだなぁ」と言いながらも嬉しそうに笑っていた。祖父が。
少し埃っぽく、古い紙と糊の匂いがする、クーラーの音がうるさい部屋で、唐突にぼそりと「実は漫画家になりたかった」と語った。祖父が。
本当は誰にも言うつもりがなかった馬鹿げた悩みを、親身になって一緒に悩んでくれた。
祖父が――――大好きだったから。
老衰で亡くなった祖父の家を、全身全霊のワガママと決死のコネを使ってどうにか今まで維持してきたメザトは、現在二十七歳。
彼は漫画家になっていた。
×
漫画家になった、大学二回生で見事週刊誌で華々しいデビューを飾ったメザトは、三日ほど前から熱海に宿泊していた。
それは漫画のネタ探しのため――――と両親や担当者に言いつつも、実は単なる息抜きのためであった。
小学校の頃から絵だけは描き続けていたのだ。その甲斐もあり初めての漫画の投稿にてぶっちぎりで入賞したメザトだったが――――一つ。
メザトには、問題があった。
両親も担当者も絶賛したが、メザトだけが感じている問題。
――――ストーリーが、しっくりこないのだ。
漫画はイラストのように、消費者や依頼者の要望に合わせて描けばいい、というわけではない。
漫画は絵のクオリティとストーリー。その二つが噛み合わさって、初めての一つの作品となるのだ。
メザトは卓越した画力を持っていた。百人が百人見れば『上手い』と唸らせるような絵を描ける。それもその時代の風潮や流行に合わせて描ける。
メザト自身も自分の画力には不足はないと自覚していた。
だが、問題はストーリーだ。
自分自身納得のいくストーリーが、メザトは未だに書けたことがないのだ。
今メザトが週刊誌の方で連載している、今年七周年となる漫画は、よくあるバトル漫画にギャグやラブコメ要素を取り入れたもので、『王道』の看板を背負い日本で五本の指に入る人気を博している。
友人に訊ねればみな「面白い」と口を揃えて言うが――――メザト自身は違う。
確証はない。だが確信はある。
ボクが描きたいのはこれじゃない――――と。
人知れずそんな悩みを抱えているメザトは、面白く良い漫画だと称賛してくる両親や担当者に耐えかねて、家を飛び出して熱海まで来たのだ。
熱海は温泉地で有名だ。きっと静かでのんびりとした場所なのだろう。
都会の喧騒は耳に障る――――静かで落ち着ける場所を好む暗い性分は変わらなかったメザトは、きっちり担当者に今週分の原稿を郵送してから、着替えと新品のスケッチブック、それから長年愛用してきた筆記用具を持って熱海へ飛んで来た。
納得のいくストーリーを描けない、今後の自分の漫画家としての将来を見直すために電車とタクシーを乗り継いでここまで来たのだ。
しかし、意外にも熱海は騒がしい場所だった。
温泉地だから静か、という先入観を粉々に玉砕された。
確かに熱海は温泉地だった。駅のホームで無料配布されていたパンフレットを開けば一に温泉、ニに温泉……と。東京池袋の街にあるカラオケ店のように温泉宿が密集していた。
だが、静かではなかった。
熱海は温泉地であるが、同時に観光地であった。観光地として土地開発をしていた。
その事を知らなかったメザトが――――駅のホームで点呼を取っていた外国人観光客団体様一行を目撃した瞬間、その場で崩れ落ちるのは当然のことであった。
――湯河原の方に行けばよかった…………!
後悔するメザトだったが、既に三日前に旅館を予約していた。後の祭りだった。
部屋がもったいないので仕方なく、落胆したその足で旅館に向かい、その日は丸一日部屋に引き篭もった。何もやる気が起きなかった。
翌日は「仕方ないからもういいや」とどうにか気を立て直し、街の散策に出掛けたが、三十分ほど歩き回ったところで人混みに酔い、部屋に戻った。目で見た景色だけスケッチブックに描き写して布団に沈んだ。惰眠を貪った。
そして今日。「これじゃ旅費がもったいない」と旅館に引き篭るだけの旅行を改善しようと思い立ったメザトは、覚悟を決めて熱海の街に出た。
気分が悪くなったら絵を描けばいい。そう思いスケッチブックを片手に熱海観光へ乗り出した。
「……………………」
「……………………」
そして現在、メザトは少女に追い詰められている。
×
土曜日の昼下がり。郊外に位置する住宅地の端。
雑踏で賑わう観光地から忘れられたようにひっそりと息をする、小さな公園。
色褪せた遊具が数個ぽつんと設置された、地元の住民でさえおぼろげな記憶の中に追いやった、かつては小さな子ども達で賑わっただろう、今や寂しいその場所で。
メザトの目の前には、仁王立ちする少女。
対人コミュニケーションの苦手な漫画家メザトは、取っ手の錆びたブランコに座り、内心びくびくしながら活発そうな雰囲気の少女を見上げていた。
つい二十分前までメザトは熱海の街並みを歩いていた。
しかし途中、目の前で黙って見詰めてくる少女に目をつけられ、どうにか撒こうと逃走を始めたが何故か追いかけられたのだ。
基本机に向かって原稿に墨を置く漫画家が、体力も根性も伸び盛りの年頃の少女に勝てるはずがない。
粘りに粘ってみたものの最終的には腕を掴まれて、息も絶え絶えで「そこの公園で話をしましょう」と言われたのだ。
追い詰められた以外、現状を表す言葉はメザトの中には無かった。
――――どうしても、自分と話したいことがあるらしい少女。
彼女に誘われるがままに人気のない廃れた公園に立ち入り、話の前にまず息を整えるついで、ベンチの無かった公園で唯一座れるブランコに腰を下ろしたメザトは、隣のブランコに座ることを少女に奨めたが、彼女は頑固として立って話す事を主張した。
少女のその頑なな態度にメザトはふと祖父を思い出し、ついでに漫画家になったきっかけを思い出しながら荒れた息を整えたのだ。
そうして冷静になった今、メザトは考える。
――彼女はボクに、何の用があってここまで追ってきたんだ?
黙って見つめてくる少女を、メザトは見る。
髪はポニーテール。化粧はしていないが目元ははっきりしている。
服装は季節に合った、機能性を重視したパンツとスニーカー。飾り気はない。
肩からスクールバッグを提げており、使い込まれた感じと少女の体格から彼女が高校生であることが窺える。
言わずもがな、初対面の少女である。
人と接するのが苦手なメザトは、担当者のように女子をナンパするような性格でもなければ、質素な服に身を包む少女自身も見知らぬ男性に声をかけるような性格ではないことは、清廉そうな雰囲気から分かる。
だが少女はメザトに声をかけ、その上逃げ出したメザトを必死になって追いかけて来た。
メザトの記憶が正しければ、確か――少し話したいことがあるので、近くの喫茶店に寄ってくれますか? ――と話し掛けてきた少女はその時、真剣な表情をしていたように思える。
しかし女子をナンパした経験も無ければ逆も然りであるメザトは動揺して、「忙しいので」というような事を言ってその場から走り出したのだ。
――そうだ。急に走り出したのだ。
自分でも思い返せば妙な行動であったし、普通に考えれば街中で突然走り足すような奇妙な人物に再度声をかけようなどと思わないはずだ。
だが、少女は「待ってください」と声をかけた。
少し時間をください、と追いかけて来た。
――彼女にとって挙動不審なボクを追いかけなければならないような理由があるのか?
「…………あの」
メザトがブランコに座ってから、様子を見ているのか少女はこちらを見詰めてくるだけ。
沈黙が痛く、いたたまれない。このまま時間をむやみに潰すのは無意味だ、と判断したメザトはとりあえず、話しかけてみる。
おそるおそる出した声は思ったより小さなものだったが、少女には届いたらしい。
はっと我に返った様子で、少女が口を開く。
「すいません急にこんなところで…………えっと、私は逢宮といいます」
「あ、はい。えっと、ヒトジカ、です」
普通に、自己紹介された。
自然に名乗られたのでメザトは反射的に名乗り返す。苗字を名乗られたので苗字で名乗り返したが、若干声が裏返り片言になってしまった。
気恥ずかしくて少女――――逢宮から視線を外す。彼女の方から掛けているスクールバッグにぶら下がった、ウサギのストラップが目に付いた。彼女はウサギが好きなのだろうか。
軽く自分の失態から現実逃避をしているところで、逢宮と名乗った少女はそれで、と早速本題らしき話を始めた。
「さっき偶然、ヒトジカさんの独り言を聞いたのですが……」
「……独り言?」
言われ、少しメザトは数十分前を振り返る。
独り言…………確かに、ぼそぼそと言っていたかもしれない。自覚がないのだ。
だが、その独り言が今の状況にどう関わってくるのか。
ブランコに座るメザトが見上げた逢宮の、目。
それはじっ、と。まるで見定めるように冷静で、感情の機微すら感じさせない機械的な眼差しで、少し背中に薄ら寒いものを感じる。
今時の女子高生はこんな冷たい目が出来るのか。メザトがぼんやりと思考していると、逢宮はおもむろに口を開き。
「さっき、ヒトジカさんと街で擦れ違った時、聞いたんです。
『天狗が山から降りて来てる』――――と。
この時ヒトジカさんは“何も無い”電柱の上を見ていました。
まるで、そこに『見えない何か』がいるみたいに――――…………」
――――心臓が凍った。
どぎり、と厭な音を立てて心臓が鼓動を止めた。そんな錯覚を覚えた。
目が開く。息が止まる。目の前に天幕が降りてきたかのような、暗闇に包まれる感覚の中で、悟る。
――聞かれてしまっていた。
聞かれたくなかった独り言を。
聞かれてしまった。
ああしまったどうしようと、動揺を隠すために繕った無表情の下で絶望感を味わうメザトだったが、ふと思い直し、平静を取り戻す。
そうだ。あの独り言を聞かれたからと言ってなんだというのだ。
彼女には“本当に見えているわけではない”のだし、別に焦ることなんてないじゃないか。
――たとえボクが“そういうものが見える”と言ったところで、真偽を問うための手段なんてこの世にあるわけがないのだから。
「正直に答えてください。
ヒトジカさんはいわゆる、『普通の人には見えないものが見える』んですか?」
査定するような淡々とした眼差しを正面から受けるメザトは、「うん」と頷き、傍から聞けば奇妙極まり無い質問の内容を肯定する。
きっとこの逢宮という少女はオカルトの類いが好きなタイプなのだろう。
だから『そういう』独り言を零したメザトに目をつけたのだろう。ならこの状況にも納得だ。
「人の目には見えないそういうものが見えてる――――って、言ったらどうする?」
なら話は早い。
大まかな逢宮の性格を予想したメザトは、逢宮の話に乗ってやることにする。
人は誰しも一時、存在しないものに憧れ近付きたいと思うものだ。
宇宙人然り。オカルト然り。漫画の登場人物然り。
おそらくこの逢宮という少女もそういうものに憧れ、思わせぶりな独り言を零したメザトに興味が湧き話をしようと思ったのだろう。
それなら対処方法は簡単だ。適当に話を合わせて相手を満足させればいい。
幸いにもメザトは実在しないものを描く職業をしている。ネタ集めのため一時何かにとり憑かれたように蓄えたオカルトやSFについての知識は山ほどある。
どうせ休暇のような気分で旅行に来ているのだ。女子高生一人を満足させるために時間を使ったって良いだろう。
そう考えたメザトはなので少々意地悪な質問を投げかけた。
話題を広げるためだ。コミュニケーションが苦手なメザトではあるが、自分の好きなことや興味があることに関しては、さらに過去好きだったことならいくらでも語れる。
そうした思いで逢宮の反応を見ていると、毅然とした態度で返答したメザトの言葉を真実と受け止めたらしい彼女は、僅かに頬を綻ばせた。
冷たかったその目には期待が浮かぶ。
――予想通り。これならどうにかこの状況を乗り越えられそうだ、とメザトは希望を抱く。
だが、メザトが心の中でガッツポーズをしたその次の瞬間に、逢宮はメザトの意表をつく言葉を口にした。
「なら、試させてください 」
――…………え?
――試させてください、って…………え?
何を、という疑問の言葉をメザトが訪ねる間もなく、時折反対の肩にかけ直していたスクールバッグを足元に落とした逢宮は、バッグのファスナーを開けると中に手を入れ、なにやら中身をあさり始めた。
何をしているのだろう、とメザトが見守る中で、目的の物を見つけたらしい。
丁重な手つきでそっと逢宮は、バッグの中から目に映えるほど鮮やかな赤い紐のついた『それ』を取り出す。
『それ』はよく神社なので売られている、御守りであった。
質の良い赤い袋に、龍堂寺――――と。
漫画の世界などでよくありそうな寺の名前らしき文字が毛筆で書かれたそのお守りの袋の紐を、マニキュア一つ塗られていないが爪の長さは整えられていた、清潔感のある指先で絡め取るように解く逢宮。
爪を整えているところはやっぱり女子なんだな、と逢宮に化粧に興味がないという印象を持つメザトが逢宮への認識を改める中、逢宮の手の中で御守りの袋は口を開かれ。
闇が、溢れた。
「――――――」
――――“世界が闇に喰われている”。
手のひらに収まるくらい小さな御守りの袋から溢れ出した、夥しい量の深い闇。
それはまばたきする間もなく晴れた青空を、暑い日差しを、黒く染め上げ、飲み込み、熱を奪って。
寂れた公園も、錆びたブランコも、メザトの肉体さえも。
ただ一つの闇の中へ、取り込まれ――――この世から消えて。
声を上げる隙も無かった。
何も見えない。何も感じない。
果てしない、皮膚を凍てつかせる冷たさだけが自我を闇から独立させる。
何もかも暗い闇に呑み込まれるのを。
消えることがないと心のどこかで信じていた、あの、太陽さえ、闇に塗り潰されるのを。
全てを見届けていたメザトは、ドロドロとマグマがかき混ぜられているかのように蠢く眼前の暗黒に、思う。
世界が、闇に喰われている――――と。
――――そして。
世界が喰われる様子を見届けたメザトの二つ眼は、見た。
星のない深夜の空のように、どこまでも暗く染められた空間の中に、ぼうっと浮かぶ光を。
その光は――――血液のように。
目に――――脳裏に焼き付く、酷く鮮やかな赤さで。
煌々と――――爛々と――――
――――ギラギラと。
小さく丸まる――――胎児のように――――
鼓動し――――脈動し――――
赤く――――あかい――――赤が、赤に――――赤で――――赤を――――
赤が、鮮烈な赤が、赤が、赤が、アカが赤が赤が赤が赤が赤が赤があかが赤が赤が赤が赤が獰猛な赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤赤が赤が赤が赤が暴力的な赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤がが赤が赤が蠱惑的な赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が残酷な赤が赤が赤が赤が赤が痛い赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が酷い赤が赤が赤が赤が赤が赤が鮮血の赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が脳漿の赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が心臓のような赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が胎児のような赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が血管のような赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が生きている赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が目に赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が焼き付き赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が呪いの赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が命の赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が気味が悪い赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が何だこれは赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤が何だ赤が赤が赤が赤が赤が赤がやめろ赤が赤が赤が赤が赤が赤が赤がやめろ赤が赤が赤が赤がやめろ赤が赤が赤がやめろ赤が赤が赤が赤が赤がやめろやめろ赤がやめろ赤やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ赤がやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ、やめろやめろやめろッッッッ――――――――!!!!!
「あぐ、っぅ゛ぁ――――!!?」
がじゃんっ――――、と。
自分の身体が地面に放り出された衝撃で、メザトは“目が醒めた”。
ごんっ、と頭蓋骨の向こうで重い音が聞こえ、続いて襲い掛かってきた鈍い痛みに「ぅぐお……」と情けない悲鳴が喉の奥から掠れて出る。
時間に換算するなら二秒。たっぷりと目の前できらきらと流れ星が通り過ぎるのを眺めたメザトは「あ゛ー……っ」と、喉の奥でタンが絡んだような呻き声を上げながら目を閉じて、再び開く。
青空をバックに、逢宮と名乗った少女の心配そうな顔が視界に飛び込んできた。
しかも、しゃがみ込んでいるのか。
意外に、逢宮の顔が近かった。
モデルのように整った顔というわけではないが、良く見れば平凡より整っている逢宮の、しかもあの冷たい眼差しではない、こちらを案ずるような優しい瞳。
中学生時代の初恋の気持ちを思い出したメザトは、耳が熱くなるのを感じながら、今の地面に転がる自分の姿を冷静に分析し『だっさいな……』と気まずく思いながら、なんとか言葉を絞り出す。
「あー…………すいません。起きるから退いてくれ、ないかな……?」
「あ、はいっ。すいません」
二、三歩距離を置いて立ち上がる逢宮。素直で良い子だとメザトは純粋に思う。
これでもう少し歳が近ければ、文通を始めようと言い出していたかもしれない――――わりと真面目にそんなことを考えたメザトは、ぐらぐらと揺れている感じがする頭をゆっくりと起こし、立ち上がる。
背中についた砂埃を払い落として、自分が転げ落ちたブランコに座り直したところで、逢宮が訊ねる。
「それで…………見えましたか?」
「………………」
質問の意味を瞬時に理解したメザトは、自分の顔が苦々しく歪むのを自覚しながら、“あんなもの”を持ち歩いていた逢宮に自分の体質を隠すことは無いだろうと悟り、正直に答えた。
「ああ…………見えたよ。
とんでもなく恐ろしい、“存在”がね」
×
メザトには物心ついた頃から、人には見えないものが見えた。
それは幽霊だったり、精霊のようなものであったり、妖怪であったり、人々が現象と呼ぶ『力』の流れだったりした。
人には見えないものが見える。
そのことが異常であると、幼稚園の先生の反応から学んだ幼いメザトは以来、見えるもののことを誰にも知られないように、そして人には見えない『それら』極力見ないようにしてきた。
メザトが見えると知った『それら』は面白がってメザトをからかい、何も無いところに話しかけるメザトを気味が悪いとみんなが避けていくからだ。
だが、メザトの視界には――――特に家の外では、誰も見えていないだけでいたる所に『それら』はいるのだ。
人ではないものが話をしているのだ。
人類の文明では説明出来ない『力』が流れているのだ。
まるで漫画の登場人物のような体質だ。原因なんて、病院に言ったところで『それら』を見ることの出来ない大人に分かるはずもない。
誰も、メザトの悩みなど理解出来るはずもないのだ。
だからメザトは人と話すのが苦手だ。
――――どうせ誰も真にメザトを理解しないのだから。
だからメザトは一人になれる、静かな場所が好きだ。
――――家の中なら何も見なくて済むから。
だからメザトは祖父のことが好きだった。
――――唯一メザトの悩みを真剣に受け止めてくれた人だから。
だからメザトは漫画が好きだ。
――――今見えている世界よりも、漫画の中の世界の方が現実のように思えるから。
だからメザトは漫画家になった。
――――メザトのその目は、漫画家に向いている。
そう言って、見えないものが見えるメザトを理解し、愛してくれた祖父の夢を代わりに叶えたいと思ったから。
×
『真実の目』。
同じ体質を持つ歳の離れたメザトの従弟は、『それら』や『力』が見えるこの体質をそう呼んでいた。
人には見えないようにしているもの、もしくは見えるはずのない『本当の世界』を見る。
――――世界から偽りを取り除き、真実だけを見詰める二つ眼。
故に『真実の目』。
『目』は従弟が苗字と繋がりがあるという理由で、ラテン語から取ったという。
なんともカッコつけた雰囲気の漂う名称だが、他に名前が無いのでメザトは従弟同様にこの『見える』体質を『真実の目』と呼んでいる。
そんな名前の由来はなんとなく恥ずかしいので明かさず、『真実の目』の特徴ついて説明したメザトは、逢宮の抱えている事情を聞かされ、直後深々と頭を下げられた。
戸惑うメザトに、逢宮は言う。
「お願いします。ヒトジカさんのその『目』を、私たちに貸してください」
「…………その、『邪神の器』とやらを捜すために?」
「はい。どうしても、ヒトジカの力が必要なんです…………!」
お願いします、と再度深く頭を下げる逢宮に頭を上げるようにと促すメザトは、考える。
――――邪神の器、か…………。
話を聞くところによると、逢宮の主である邪神の遣いは、邪神の器を捜すことを邪神と約束したのだという。
邪神の遣いの妹にかかった病気を治すことを、交換条件として。
これが漫画であるならなかなか面白そうな話ではあるが、だがこれは現実であると、真剣な逢宮の目が語っていた。
あまりに突飛な話だ。現実味がなさすぎる、作り話、フィクションのようだ。
だが、メザトは逢宮の言葉を信じることにした。
メザトの『目』について真摯に耳を傾け、真面目に事情を語った彼女が、嘘を吐いているとは思えなかった。
それに――――メザトは実際に、逢宮が受けたという邪神の加護を、その目にしたのだ。
思い出すだけでぞっと身の毛が弥立つ、先の見えない暗黒と赤色。昼を塗り替えた闇。
――――あれは正真正銘、邪神の力だった。
あんなにおぞましいものを生まれてこの方見たことがない。
しかも目だけではない。全身で。邪神の加護と対峙した全ての五感が警鐘と共に知らせていた。
あれは本物だ――――と。
しかし。邪神の加護が本物かどうかと、逢宮に協力するか否かは、また別の話である。
だからむやみに返答できない。
懇願の眼をこちらに向けてくる逢宮に、苦い愛想笑いを浮かべるだけだ。
――――そもそも、“邪神の器”を捜すという時点でいろいろ嫌な予感はしているのだが。
考えてもみよう。天使や聖遺物まだしも、“邪神の器”捜しである。
古来より聖なるものの対をなす存在として忌み、嫌われてきた存在だ。
そんな邪神がこの世界で自由に動ける身体が欲しい、と言っているのだ。
一体何のために、自由に動く身体が欲しいのか。
そもそも本当に邪神の遣いと交した約束を守ると、言い切れるのだろうか。
様々な疑問がぐるぐると頭の中を回るメザトだが、そんないまいち決断に踏み切らないメザトに、逢宮が申告する。
「ヒトジカさん、確かさっき漫画家とか言ってましたよね? 漫画描いてるんですか?」
「ああ。だけと描きたいと思えるストーリーが無くてね」
「なら、この話を漫画にしてもらっても良いですから!」
「……それは魅力的な話なんたけどね」
確かに、『“邪神の器”を捜す』などという話は漫画の中で滅多に見かけない。
それに正直な話、メザト自身この話を漫画にしたい、とも思っている。
だが、それでもやはり気になるのだ。
“器”を得て自由の身になったた邪神の目的が。
もしかしたら――――この世界を支配しようとしているのではないか、と考えてしまい、折角漫画以外では役に立たないと思っていた自分の『目』が必要とされ協力したいとは願ってるのだが…………リスクを考えると、決断に持ち越せない。
自分の決断が今後もしかしたら世界を壊すかもしれないと考えると、メザトは容易には頷けなかった。
実を言うと、得体の知れない邪神というものに協力したくない気持ちが大きかった。
判断に悩むメザトはしばらくうーん……、と唸り頭を傾ける。
傾けた視界の中で頼るようにこちらを見つめてくる、逢宮。
――――と。ここで急に逢宮への疑問が浮かび上がったメザトは、また頭を下げそうな雰囲気を漂わせる彼女に問う。
「そういえば、きみはなんで邪神の器捜しなんていうのに協力してるんだ?」
返答は、すぐだった。
「好きだから。あいつのことが」
「――――…………」
目を、見開いた。
純粋にメザトは今、驚いていた。
堂々とした、彼女の返事に。
――――“邪神の器”を捜すことによるリスクなど、頭が悪いわけではない逢宮が分かっていないはずなのに。
だが――――そのリスクを承知で、今、彼女はなんと言った?
――好き?
好き。好き。好きだ、と。自分の主であり邪神の遣いであるその人物が好きだと、はっきり彼女は言わなかっただろうか――――――
まじまじと逢宮を見る、メザト。
物珍しそうに見詰められて居心地が悪いのか。堂々と胸の内に仕舞っていた本心を口にして恥ずかしがっているのか。
照れ臭そうにはにかむ逢宮は、取り出しから始終ずっと握り続けていたお守りに視線を落として、穏やかに語る。
「私は、あの人の馬鹿で優しいところが好き。
いつも中二病全開で、聞いているこっちが恥ずかしいことバンバン言うけど…………でも、毎日妹のお見舞いに行ってたり、友達思いだったり…………自分のこと棚に上げて、いつも誰かのことを考えていたり。
空気を読まなかったり雰囲気ぶち壊したりすることもあるけど、あの人のそういうところ、全部ひっくるめて好き」
だから私は――――と。
メザトを正面に見据えた逢宮は、断言する。
「私はあいつのために、頑張るって決めた。あいつの力になるって決めた。
どんなリスクを背負ってでも、私はあいつのためになんでもするって決めた」
そう言って、この世全てを幸せを手にしたと言わんばわかりの笑顔を浮かべた、逢宮。
メザトは目の前で惚気てみせた、そして邪神の遣いのためになんでもすると言った逢宮の固い意志と覚悟を目にして、
「――――ふ、ふふっ…………ふ、ふふはははは、はははははははははははははははははははははははは!!」
――――笑った。
心の底から、笑った。
思い切り、全力で。
腹の底から。
必死で堪えた。決死で耐えた。
しかし耐えれなかった。笑みがこみ上げてくるのを、止められなかった。
腹筋が痙攣する。声帯が愉快に震える。口角が愉悦に歪む。
全身全霊で身体の隅々から湧き上がる、本気の笑い。
逢宮が訝しく珍妙なものを見る目を向けてくるのも構わず、メザトは笑った。
「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは――――――ッ、あ、ああすまない。いや、本当に笑えてしまって、貶しているわけではないんだ」
無言で距離を取る逢宮に弁解するが、その間も笑うのをやめないメザトの弁解に説得力など皆無だった。
ああこれは本当にすまない、と述べるメザトではあるが、やはりその表情は笑みの形をしている。
仕方ないではないか。
笑えて笑えて、仕方が無いのだから。
一体急に何なんだ、と笑みを噛み殺している間に投げかけられた問い。
これにどうにか笑みを噛み殺しているメザトは、笑顔のまま答える。
「いやあね、若いなって思って」
「……?」
意味がわからないと、不思議だと言わんばかりの不満混じりの顔をする逢宮に、いつか従弟が言っていた言葉を思い出しながらメザトは。
「いやぁ……ね? 恋のために、リスクを背負ってでも“邪神の器”を捜すって聞いてさ」
――――凄いなって、思ったんだ。
心の底から嫌味のない称賛を、メザトは逢宮に贈った。
たった一つの、想い。
しかも恋心。ただそれだけのために――――なんでもすると言った、逢宮のその確固たる覚悟と不屈の意志に。
敬意を示したメザトはなおも込み上げる笑いを噛み殺して、言った。
「いいよ――――協力しよう、“邪神の器”捜しを」
こんな――――面白い話を逃すわけには、いかなかった。
こんな、愉快な話を逃すわけにはいかなかった。
ありがとうございます、と。誠心誠意に頭を下げる逢宮を眺めながら、メザトは思う。
――そうだ、ボクはこんな話を望んでいたのだ。
――こんなストーリーをずっと、描きたかったのだ。
自らの想いのために、人類を滅ぼしかねない『存在』を復活させようとする、愚かで尊い人間の話を。
そうだ。自分が描きたかったのはこれだったのだ。知性ではない、本能で理解した。頭の中で歯車が噛み合った感覚があった。
そう。一字架目聡という人物は、これを長年望んでいたのだ。
胸に抱いた想いのために、世界を犠牲にする人間の話を。
従弟から自分のこの目が世界の真実を見詰めているのだと聞かされた時から、ずっと心の奥底に眠っていた。
誰も偽りだなんてこれっぽっちも思っていないこの世界を、基盤からひっくり返すような出来事を。
世界をひっくり返すために必要な、どうしても叶えたい願いと想いを持つ、欲深い人間の存在を。
そして――――偽りの世界に生きてきた人々が、“自分と同じように”真実の世界を見詰める、その瞬間を。
あまりに壮大すぎて叶えられるわけがないと、自覚する前に意識の奥底に沈んでいった願い。
自分には到底叶えられない――――だから、他の人が変えることを。世界を犠牲にするほどの強い想いを持つ人間が現れることを望んだ。
その願いが、今、この手の届く場所にある。
世界が変わるその時を、見られるかもしれないのだ。
ずっと世界が変わる瞬間を願っていたメザトが、協力するのは当然の話だろう。
祖父の夢を叶えるため漫画家になった、メザト。
そして世界が変わる瞬間を、漫画という形で歴史に刻む。
それはなんて――――素晴らしいことなのだろうか。
「協力するのはいいけど、“邪神の器”がどういうものなのか、直接邪神の遣いに訊いてみたいんだけど…………いいかな?」
「協力してくれるなら、勿論」
喜んでと力強く頷く逢宮から聞く話によると、彼女はこの辺の住民ではないのだという。
休日を利用して“器”を捜しに来たという逢宮の健気さに自然と笑みが深まるメザトは、『ならここから移動するために荷物を纏めないとな』と今後の行動予定を建て始めたところで、あっと気が付いた。
これは伝えておいた方が良いだろうと、逢宮に声をかける。
「逢宮、邪神の遣いの所に行くのは一日待ってもらえないだろうか?」
「……別に、私も明日帰ることを予定してたし、いいですけど……何で?」
「熱海に来て三日目になるけど、未だに温泉に入ったことがない」
「……………………」
呆れたような目を向けられているのを自覚しながら、それにとメザトは続ける。
「今のうちに思い浮かんだネームを描きておきたい」
元々は今後の漫画家活動についてどうするか、という悩みについて考えようと企てた旅行だ。
結論が出たのだから、早急に身の回りを整えて“邪神の器”捜しに専念しよう――――言いながらスケッチブックを広げ、上着の内ポケットの中からシャープペンを取り出し、カチカチとペンを鳴らしながら既に視線は白紙を見詰めるメザト。
「ネームですか……」と呟く逢宮は『そういえばこの人漫画家だったな』とこれまでの会話の中で今日の天気のように軽々しく話されたメザトの職業を思い出し――――何気なく。些細な好奇心からガリガリとシャープペンを走らせるメザトに話しかけた。
「漫画家なんですよね? どんな漫画描いてるんですか?」
「『ケイテキノブララストセイバー』」
「……は」
スケッチブックを広げてから一瞬たりともこちらを見ないメザト。
目の前のネーム――――砕いて言うなら漫画の設計図作りに集中している彼から発せられた一つの言葉は、逢宮にとって非常に聞き覚えのある題名だった。
まさか、と思いつつ逢宮は、熱海に来るまでの電車の広告や昨日クラスメイトが熟読していた単行本にしっかりと印刷されていた、現在の漫画界において有名すぎる名を唱える。
「まさか…………『一字架メザト』……さん?」
「ああ、やっぱり有名なんだアレ…………ファンだったら悪いけど、あれ後二十話で終わらせるから」
「…………え、ぇぇぇぇええええええええ!!?!」
あっさりとされた大ヒット漫画終了宣言。
二分も経たないうちに一ページのネームを描き上げたメザトの手元を、本人確認と言い覗き込む。
そこで逢宮はシャープペン一本でエガカレタとは思えない、繊細な背景と力強い登場キャラクターのアクションシーンを目の当たりにし――――紛れもない人気漫画家本人だと認識させられ、『もしかしたらとんでもないことをしてしまっんじゃ……』と。彼のファンである友人を思い、“邪神の器”捜しのために人気漫画連載終了宣言させてしまったことを軽く嘆いた。
そんな逢宮の悲嘆など露一つ知らないメザトは、次々と思い浮かぶ現在連載中の漫画の展開をスケッチブックに書き込みながら、今は何処に住んでいるか分からない同じ体質の従弟のことを考える。
――確か、十も年下の癖に作家を自称していた、妙に大人びた従弟は言っていた。
『世界が改革される時を記すため、この世に生まれてきた』。
歳のわりには不気味な程に精神が成熟していた、今は消息不明な従弟に向けてメザトは黒く笑う。
それは嘲るような残酷さで、憐れむような冷たさで。
――ボクは世界がひっくり返る瞬間を見る。
そして、その瞬間を永遠に遺す。
漫画として、全てを。
果たして全てがひっくり返った時、この世界はどうなっているのだろうか。
まだ見ぬ変革の時を望み、男は笑う。
その手にあるのはペンと、紙切れだけでいい。
全てを見届けて、記録してやろう。
――さあ、“邪神の器”とやらを捜そうじゃないか。
<終>
×あとがき×
寝落ちしました。投稿遅れてすいません。
今回の企画は『漫画』ということで、漫画家を登場させていただきました。
彼は根暗ですが基本善良的なので、たとえ邪神とかに興味がなくても「役に立てるなら……」と頼まれれば協力するタイプです。
そして影で犠牲者が出ないようにするタイプです。超イイ人。
だけど、どこぞの作家さんが彼に影響しちゃってるから、どっかふっっっっっきれちゃってる。
そんな人です。でも根はイイ人です。
締切二日前から書き始めていましたが、まあ思ったより書くことが増えてこうなりました。
もう少しスマートな文書を書きたいと思います。あとオシャレな言い回しとかできたらなと思います。反省。
今回登場したのは一字架目聡さんと前回の企画で登場した逢宮一思ちゃんです。
前回の企画の最後で逢宮ちゃんが熱海に行くと行ってました。
今回のは逢宮ちゃんが熱海に行った先で人に見えないものが見える漫画家、一字架さんを仲間に引き入れる話です。
時期的には知崎達や逢宮ちゃんが二年生の頃。
まだ物語は始まりません。
いつになったら始まるんだ、と言わんばかりのスローペースですが、いつになるんでしょうね……(遠い目)
それでは、そろそろあとがきを終わりましょう。
最後に、最近締切を破ることに定評があるくせに企画やろうと言ってくれる雪乃さん! シルバーウィークに課題なんてものを出してくれた教員の方々! 突如襲いかかってくる眠気! 切り詰められている時間! そしてこの小説を呼んで下さったすべての方々に感謝を!
ご閲覧ありがとうございました!