意外な一面
蜜柑のターン続きます。今回は穏やか…??なはず。
あの後、何かあったのか知らないが、優衣が俺を避けているような気がしてならない。
そうこうしてる中、お昼の時間が来て、他のクラスから蜜柑がドアを開けて入ってくる。
優衣は色んな女や男に人気があるが…狼少女はやっぱり言葉がたどたどしいんだなぁ…と同情をしてみる。
優衣の顔がみんなに囲まれて見えない。
何故こんなに俺は気にしてるのだろう。
同情なんて今まで誰にもしてこなかった気がする。
「今日はお弁当作って来たから、一緒に食べましょう、屋上とかどうかしら?」
そう言った瞬間、蜜柑が入って来てざわめいたのが、更にざわめいた気がした。
「うん、僕は…うん、楽しみだな…」
案の定、屋上に上る階段を一つ一つ上ってるうちに心臓がドキドキする。
このときめきは蜜柑にしかできない…。
「はいっ!叶の好きなハンバーグ作って来たわよ」
屋上には偶然誰も居らず、彼女がお弁当の蓋を開けた途端、ぶわっと油のような毒々しい香りがした。
石油?油が腐ったかのような匂いが鼻をくすぐる。
クラスの男子と女子が、「お弁当」の蜜柑の発言にひっそり「男を見せろぉおおお!」とか、親指を立てて、「GJ!」とか、
「頑張って、叶君!」とあまりにいつもの反応なので、もう戸惑いが隠せないのは慣れてしまった。
本来茶色のはずのハンバーグは真っ黒に焦げ、フォークで中を割ってみると、中は生焼け、
このマカロニサラダ、固いなぁ…と涙目になりつつ、頬張ることにした。
色っぽくて、綺麗で大人で妖艶な美女の蜜柑は、料理だけは果てしないくらい下手だった…。
男子憧れの「お弁当作って欲しい」は、上手な女子限定にしような?(切実)
ちなみに家庭科の実習と言ったら、芸術的で(?)、洗濯物は乾かすだけなのに、何故か焦げて炎が出ることがある。
まぁ、欠点のない女なんていないんだなぁと可愛らしいと思える自分が怖いんだが…。
家で前、料理を作って貰ったら、炎の料理人のごとく、ファイアーした(作者もしたが…)
ハンバーグは食中毒にならないか心配だけど、蜜柑が一番無邪気なのはいつもこの時なので、慣れた。
わざとレアなステーキ、頼むヤツいるじゃん??そう思うことにした。
それなのに一番なのは、彼女がそれにコンプレックスを持っていて、他の教科を勉強してるからだ。
それに関しては、尊敬してるし、彼女にしては勿体ないくらいいい女だと思う。
「ねぇ…美味しい?」
不安げに見つめてくる彼女は、ギャップ萌え?と言うのだろうか、いつもと違う目で見てくる。
その仕草にドキッとして、「勿論、蜜柑の料理は美味しいよ」と笑顔を作れば、ぱぁっと明るく笑うのだった。
冷静に可愛いなぁと思う。
「そう言えばもうすぐだな、中間」
「そうね、良かったら今日うちに泊まらない?親は今日は居ないの…勉強会しましょう」
色っぽい吐息で、耳元に息を吹き掛けられると、それが別の意味に聞こえて照れてしまう。
いつの間に後ろに?気付いたら、顔が近づいて来て、そっと軽く柔らかな唇の感触が残る。
がしゃんと何か落とした音が聞こえたと思い、振り返ると、そこには泣きそうな優衣が居た。
ドアノブを逆に回して去って行ってしまった。
お弁当の悪夢は終わりそうにない。今、正直それどころじゃない…優衣の事を気にしてるほど、暇じゃない。
パンだけは市販だよなぁと思って安心したら、「実はパンも作ってきたのよ」と…
背筋に走るのは悪寒だろうか。
どうしたのだろう?優衣も蜜柑も…。
宜しければコメント下さいv蜜柑のお弁当いかがでしたか??□(((((^^)←蜜柑のお弁当から逃げる私。