蜜柑の本音
前回優衣目線だったので、今回蜜柑目線です。
蜜柑は好き嫌いが分かれそうなキャラですね。
正直、自分と正反対な香川さんと話してると、苛々した。
女独自のヒステリーというヤツだろうか。
最初はこの人と付き合えば、ステータスが上がるだろうなんて軽い考えで…。
でも、いざ告白してみれば、「好き」と言う気持ちを言葉にした事で私の考えは揺れ、傾いた。
最初は、利用してやろうと言う気持ちだったのに、いつの間にか好きになってた。
彼を追う目が、執拗に回数が増える毎に何かが違うなぁと思っていたから、それは必然だったのかもね。
彼はまだ私に「全て」を信頼していない。
というか、信頼されていない。本性を隠そうとする。
そんなところに、ズキッと胸が痛む。
私は彼にとって単なる恋人じゃなく、もっと深い関係になりたいのに…。
揺れる女心を彼が理解って(わかって)くれればいいのにと思う。
彼の愚鈍な点は、女と付き合って来た自分に自信を変に持ってることだ。
それと同時に彼は「飾らないと女は寄ってこない」と言う考えまで持っている。
なので、男のプライドを傷つけないよう「私は理解してるわよ」と振りまくしかない。
男の「理解してるわよ」が、浮気などに駆り立てないよう、私は、彼に声をかける前、寝ていた彼の首を引っ掻いた。
こうすれば、彼の隠してる「香川さん」の面を見られると思ったから…。
でも、彼は変わらず「僕」と言う。
香川さんの前で、ハッキリ「俺」と言うのを聴いてから、ずっと私らしくなく自信が揺らぐのよ。
今、疑えば、香川さんに譲る形になるだろう。
あんな、女、叶にちっとも似合わない。
だからもう、受け入れる振りをして、「お前だけだ」と囁かせる。
女の強かな面で、繊細な男心を包んでやることにした。
本当はね、女って嫉妬深くて強くて…弱い生き物なのよ。
香川さんがその気なら、絶対に譲らない。
私だけが彼に似合うんだから。
一緒に楽しく住んでればいいわ。
私はその分毎日迎えに行って、あんたとの仲を引き裂いて、見せつけてやるからね。
あんたから、「叶とは一緒に住みたくない」と言うまで嫌がらせしてやるわ。
クッと漏れた意地悪な笑みは、多分周りには気付かれなかったと思う。
同時に悔いる。今までどうして、叶にもっと本性を見せるよう努力しなかったのか。
私の賢さなら出来たはず。
彼の艶っぽい声や同時に流す汗の匂いは私しか知らないのだから、もっとどんと構えていればいいのかもしれないけど。
自信を持つことを立証できる行為が、あんな小娘のせいでチャンスを逃して、体が「寂しい」と悲鳴をあげている。
見た所、彼と彼女は、そう言う関係に至ってない…と思うことで、どくどく波打つ鼓動が少し緩やかになる。
―絶対、負けない…!
蜜柑があまりに女性らしいので、嫌われないか心配です…。