ふと思い出すのは。
久々の更新になり、失礼しました!玲目線のお話です。玲、浮気しちゃうの?近づく花音の唇に、いい匂いさえ感じてしまう。でも…。
花音と唇が触れるか、触れないかの寸前。
俺は悪魔の誘惑に負けそうになった刹那。
ふわっと、いつもと違う香水の匂いにはっとした。
優衣の、匂いは…優衣…優衣。
優衣がどう思うんだろう?と考えた。
優衣の顔が自然なぐらいに浮かんでは、毎晩毎朝出される料理を疎ましく思ったこともあった。でも、
優衣は、いつでも、俺を思ってサボったことなんてなかった。
優衣は、いつでもじゃないけれど、必死に尽くしてくれた。
20代の女の子が普通そこまでできない。
甘えが出たり、親元に帰ったり、家事サボったり。
それが、優衣の「強さ」だった。
優衣は、ずっと家の隅から隅まで綺麗にしてくれた。
優衣は、俺の着ている洋服をどんな気持ちで洗ってたんだろう。
綺麗に畳み、乾かし、時には消臭剤の香りすらする。あの俺たちの二人だけのアパート。あそこに優衣はどんな気持ちで俺を待っていたんだろう?
どんな気持ちで…食べないご飯、食べるご飯。いつだって。
気付いたら、近づいてくる唇を、俺は、肩を抱いて引っぺがした。
「ごめん、花音とはそういう関係になりたくない。
花音も大事な女友達であるけれど、優衣が一番なんだ。」
そう答えるのに必死になってしまう。
花音は、「ちぇー、この先、またこういうことあるよ、玲の事は誰よりも分かってるもの。」と拗ねた顔で口を尖らした。
「俺もそう思う…優衣は俺のこと分かってないし、むかつくし、相性も違うけど…俺も、優衣のことわかってなかった。普通のあの年の女の子が、急に恋人に拒否られたら、ショックだと思う」
「ちっちっち、優衣さんは、拒否られたことがショックと言うよりも」
「?」はてなマーク全開でキョドキョドしてしまう。
「好きな人に、好きだって信じて貰えない。愛して貰えないのが辛いのよ。誰よりも好きな人のことが知っていたいのに、こんな女にフラッとしないで頂戴ね。いつでも、不倫のお誘いはOKだからね」
花音が俺の顔に手を近づけると、
ドキ。何??と思った瞬間、
「いだっ!!」
デコピンされた。
当然だが結構痛い。
「優衣さん、もっと痛かったんだからね!」
「ごめん。」
「優衣さんに言いなさいよね」
ふぅとため息をつき、やり遂げた感の笑顔を浮かべると、彼女は嬉しそうに笑う。
「ひょっとして、試してた?」
「え?」
「俺が本当に花音に行っちゃったらどうするつもりだった?」
「それはそれで…楽しい夜を過ごすつもりだったわよ?」
「あはは」
その「あはは」は心底から笑えるのと、大丈夫だったのか?俺…と言う心配の笑み。でも、ばかばかしくなってきた。
「俺、今日帰ったら優衣に話してみるよ」
花音が指を鳴らしながら、何かを言ったのに気が付かない。
「これしきのことで諦めるもんですか」
気のせいだろう。酔ってるんだ、きっと。
花音さんは、この性格で地位を少しずつ積み上げてくタイプです(笑)花音さんはまたお邪魔虫として出てくる可能性が…ウフㇷv優衣が中々出てこなくてごめんなさい。AKIRA~玲~待て。




