にじみ出る人柄、にじみ出る不満。
今回めちゃくちゃコメディ臭します…(^^;)最初以外、蜜柑目線で進みます。
俺は、迷わず目的地にたどり着いた。
ごくりとツバを飲み込む。
覚悟しなきゃと思う。
「優衣の初体験の話なんて…聞くから…!」
真っ赤になって朝方ようやく聞き出した私たち。優衣さんは他の部屋に逃げてドアをバターンと閉めて「開けないでね!」と言わんばかりの行動だった。想像とは違ったけれど、聞けば聞くほど…優衣さんのことを好きなんだと思って、叶をちらりと見やる。叶は一言「彼奴、滅茶苦茶愛されてるな」と言うので、「寂しい?」とくすりと笑ってみせる。
「俺は、蜜柑が居ればいいよ」
「また、優衣さんにぐらりと揺れたら許さないからね」と私と叶はキスしたの。優衣さんが他の部屋に居ることを考えると、隠れたキスしか出来ないぐらいなのだが…
「最近叶が優衣さんをあまりに心配してたから、意地悪したくなっちゃったの。叶、優衣さん気に入ってるからね」
むぅと唇をとがらして、旦那を見れば、おたおたしてるでもなく、
「俺、蜜柑に会えて良かったと思うし…でも、優衣は、俺と蜜柑のキューピットなんだ。俺、正直『僕』ってお前からも逃げてた。どうせ蜜柑も他の奴らと一緒、優等生としての俺が好きなんだって。それが無かったら何の価値もない小さな男だって。
でも…違うよな。小さい器とか関係なく、自分と向き合う時っていつか来るんだよな…」
「そうね、優衣さんの素直な所が貴方の心を解かしたのよね。でも…」
私は堂々と言えることが一つ。
「新婚なのに、いちゃつくことすら出来ないなんて、辛いわ…。」
「ああ、俺も」
私たちは、もう既に早く優衣(今だけ呼び捨てごめん!)出てって!!と心の奥からにじみ出る野望と苛立ちに震えてた。
気付いたら、自然と優衣の置いて行ったカバンから携帯を取り出し、どちらかと言うわけでもなく、電話を掛けた。
「「あの、もう、優衣さんを迎えに着て下さい…」」
「わ、蜜柑先輩、叶さん、すみません…優衣の事はきちんと迎えに行きますから」
「「今すぐ」」
「あ、はい…もう家の前なので。」
私と叶は、すぐにギューン☆と玄関にダッシュして開けドアー♪と言わんばかりの勢いでドアノブを片方に回しながら引く。
「優衣を迎えに着ました」
そこに居たのは優しい声をした、綺麗な柔らかな雰囲気の青年だった。ガシッと肩を叶と掴むと、靴を慌てて脱ぎ始めて、きちんと私たちに背を向けて靴を揃え、「これ、美味しいんですよ」とお菓子まで用意していた。
「「いや、気遣いが痛いです。」」
「え、でも、お世話になりましたから…」
何という好青年。優衣さん幸せね、叶の事は忘れて幸せになってねと思いつつ、叶は肩を、私は足を掴み、
「え、2人とも…?力がどうしてそんなに??うわぁああっ」
こんこん優衣さんの居る部屋をノックして、「え?なぁに??」とドアを開けた瞬間、放り投げて、鍵を掛けた…。
玲君がいい人過ぎるのと、それが新婚夫婦の本音だと思うのよね。




