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YUI~優衣~  作者: 丹
新たな出会い
22/51

優衣の知らない所で。

叶目線で始まります。二次会に出たメンバーの飲み会話。

ここは、とある都内の居酒屋。

高級という訳ではないが、リーズナブルで綺麗でそこそこお客の居るアットホームな感じ。


蜜柑は結婚式でお金使っちゃったから、ここでいいわよ。と、自ら幹事なるしっかりとした女性だ。良い嫁になると思うし、元々同棲はしていたのだから、今まで+新婚旅行が重なる感じになるとも思う。


俺は自分の部屋とか片付けるのが下手だけど、蜜柑がてきぱきしてるので、いつも部屋の片付けなんかもやってるし、蜜柑も今は女教師として、通っていた進学校にバリバリ勤めている。


俺はと言うと、夢とかあるわけじゃなかったから、サラリーマン。


比較的蜜柑の大変さを観ていると、1度目の面接で受かってしまった俺はラッキーなのかもなぁ。


そんなことをだらだら考えてると、


「おめでとー!!!」

「やりやがったな、叶」


みんなで乾杯した後、高校の時の同じクラスの男子が絡んできた。


蜜柑は蜜柑で、女子トークに華を咲かせている。


「お前さ。いいよなぁ、俺だって蜜柑さん狙ってたんだぜ~」

「ああ、俺は香川さんv何で転校しちゃったんだろうなぁ」


さり気なくギクッ。


「蜜柑には言うなよ!!」


がしっと肩を掴んでヒソヒソ話になる。

蜜柑はいいのよとか言うだろうけど、それじゃあ気が休まらないに決まってる。優衣を本当に結婚式に呼んでいいかも悩んでいたぐらいだし。


蜜柑は優衣が転校して以来、ちょっと変わった。


急に「香川さんを観て、私、自分勝手だって気が付いたのよね。香川さん、悪い子じゃなかったし、ああ言う妹みたいなの世話観て見たいと思って」


ニコッと、爽やかな微笑みで、蜜柑は教育学が学べる大学に進学し、教員免許をとって、実習を頑張りながら、本当に教師になってしまった。


俺は、成績が良かったのとボランティアで活動してきたのを認められ、何と1社で合格。ラッキーな方だったと思う。この努力とゆっくり大学を出て、職にあっさり就いた自分の境遇の違いには未だに心を乱される。


「香川さんと噂になってたけどさ、…どこまで行ってたんだ??」


にまにま小声で聞かれても、お風呂にも入ったし、一緒に寝たし、どこまでこいつらに言っていいものかとも思う。


「は!?どこまで??そんなん行ってねーし!!」


かぁぁっと照れた自分を観て、みんなが「お前、もっとクールだっただろ…」とみんなが唖然としている。


確かにあのまま「僕」と言って欺いてた俺が、優衣が転校した途端に「俺」になって、親しみやすくなり、よく笑うようになったんだ。


これは、紛れもなく、優衣効果。


優衣が居なかったら…俺と蜜柑はきっと別れて、別の人生を歩んでいたはず。


そう言えば、優衣が居ないことに気が付いた。

同時に蜜柑側も気付いたみたいで、「香川さん、居ないわね」と気に掛ける。


「あれ、玲君も居ないよ!?」


ざわっ。


「香川さん、玲君と一緒に居なくなったみたいだよ?」

「ああ、私、一緒に二次会と別の方向に走ってくの観たよ~」


え?


「ってことは~、今頃2人??」


女子のきゃーっと言う独特の悲鳴が聞こえる。


「いやー、玲君狙ってたのに~!!!」

「私だって」

「でも、香川さん、写真撮影の時来るの遅かったじゃない?」

「そう言えば…あの時、ちょっと先に玲君来たよね?」

「キスマークが付いてたってことは、もしかして、玲君のじゃない??」


女子トークが盛り上がって、男性陣も盛り上がる。

みんな酔ってますね…。


「嘘だろ、彼奴、1学年下のヤツじゃん」

「え?居たっけ?」


そう言えば…と記憶をたどれば、昔、玲と言う男は1学年下に居た事を思いだした。頭脳明晰、スポーツ万能、爽やかでちょっと意地悪で、でも気さくなヤツだったはず。


「あいつ、優衣の事好きだったのか…??」


そう思い、モヤモヤする。娘を他の男に盗られた気分。


「ええ、香川さんが気付いてないだけで!!いっつも優衣さんの事狙ってたよ!!」

「そうそう、私たちだって玲君にアタックしたけど、好きな人が居るって言うから聞いたら、香川さんだったの!!」

「優衣、可愛かったもんねぇ」


まぁまぁと蜜柑がみんなを宥める。

「知ってたのか??」

「気付いてないのは、叶だけよ」


ニコッと笑ってるが、蜜柑の表情が怒りが読み取れる。

流石に気にしすぎましたか…と思うと、蜜柑が俺のシャツの袖をきゅっと握って、「私を今夜は独り占めにしてくれたら、許すわ」とぼそっと呟いた。そんな蜜柑が愛おしくて、優衣も優衣で幸せならいいんだが…と思い、この可愛い生き物を今夜どんな風にしようかドキドキしてしまう。


優衣にメールを簡素に送ったが、途端に全員の携帯がランダムで鳴り始めた。


「あ、優衣のお父さん…」

「私もだ…」


。○「「「「優衣、泊まりか…」」」」


みんな、同じ答えだったらしく、優衣の父が手強いことは知ってるので、みんなで一斉に電源を切った。下手に嘘を付いてもここまで来るに決まってるし。


薄情でごめんな、優衣。

蜜柑の尻に敷かれて叶君は頑張ってます。

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