本命登場
ついに叶の××が出てきます。優衣ともどうなることやら??
嘘だろ…おい。
優衣を観る目が男達のいやらしい視線に気付く。
そんなのはまぁ置いておき、彼女が再び俺の前に現れたのは間違いない。
「よろし、くっ!!」とにっこり微笑む彼女(優衣)と、ばっちり目が合ってしまう。
更に彼女は俺の丁度後ろの席に座り、何故だか熱い視線を注がれ、あんなに前冷たく言い放ったのに何故…と疑問に思う。
授業中も、ミニテストも、休み時間も、優衣はじっと見ている。
「優衣ちゃんて、どんな男が好みなの?」
「香川さん、どこから来たの??」
「わた、私は、実は外国から来て…いて、叶が…好き!!」
にっこり上目遣いで照れながら、たどたどしく周りの取り巻きに囁けば、俺への目線も冷たくなるわけで…。
「香川さん、ちょっと僕にお時間いいかな??」
そう言うと、俺は強引に『香川さん』の手を引いて、図書委員の特権の図書室の鍵を使って、閉めた。
「何…?」
「何で俺に付きまとうんだよ」
不機嫌オーラ全開で、壁に追い詰める。
彼女はきょとんとして、またお馬鹿な発言をした。
「肉まんくれたお礼っ!!」
ハァ、何ですか、それ。
「何?どんなお礼してくれるの?」
冗談交じりでいつもの女に迫ってるみたいに言ってみると、彼女は全く意味が分からないようだった。
「うん?」
その意味にヒントを与えるように、首の綺麗なうなじをそっと撫でてみる。
「んっ?」
多分この子は何も知らない。自分と違いすぎて苛々する。
女なんてどいつも変わらない。甘い言葉を囁いて、ルックスさえ良ければ着いて来る。
「何やってるの、叶…」
「蜜柑…」
蜜柑は嫉妬バリバリの目で彼女をキッと睨む。たまたま見えないところに最初から居たらしい。ちなみに彼女も鍵を持っている。
「だぁれ??」
不思議そうに顔を傾ける空気の読めない優衣は、子供そのものだ。
「お友達…?」
「違うわ。」
勝ち誇ったようにニッと蜜柑の紫色の長い髪がたなびいたと思うと、
彼女は俺の肩に手を置いて、
「あたしは、叶の彼女なの」
「僕の本命、彼女なんだ」
それでも本当にどこまで意味が分かってるのか分からない優衣は、暫く考えて、
「『彼女』って何??」
「「ハァ??」」
そんなとぼけた考えでよくこの学校の編入試験に受かったなぁと思う。
「だってどの参考書にも教科書にもみんなのお、話にも、出て来ないし…
蜜柑は叶が好きなの??」
おいおいおい、蜜柑って言ったらこの学校で一番綺麗だって崇められてる女だぞ?
「ええ、好きよ。彼も私が好きだし、貴方みたいなのうざいのよね」
…性格は俺と同じ。蜜柑から言い寄ってきた。クールな美人として知られる女。
「うざい?分からないけど、私も叶を愛しテルっ!」
臆面なく、爽やか且つ可愛げな笑みでそう言われたら、普通男はコロッといくと思う。
でも、僕は蜜柑をとると思う。こんな幼稚な女に迫られても何も感じない。
「ごめんね、<香川さん>」
そう言って蜜柑と立ち去ろうとすると、優衣はまた親に見捨てられた子供のような顔で見てくるので、
少し珍しく良心が痛んだ。
僕に良心なんてあっただろうか。
女なんかみんな同じか…。
何となくその後蜜柑と楽しくおしゃべりしつつも、優衣の顔が気になった。
蜜柑は家の前まで来て、「今夜、泊まっても良い…?」と色っぽくキスをねだる。
そんな蜜柑を部屋に招き入れようとした途端、明かりが何故か点いてるのが気になった。
「蜜柑、ごめんね、僕の両親帰って着てる見たいだから、今日は帰ってくれるかな?」
「ぇええ~?しょうがないわね、分かったわよ…」
あからさまに嫌な表情を浮かべてるが、蜜柑は美貌も妖艶さも、トップクラス。
成績だって、僕が2位で彼女が1位。クラス中が「お似合い」だって言っている。
何で優衣を「可愛さナンバーワン」だなんて思ってしまったのだろう。
「蜜柑は今日も綺麗だよ」
そう言うと、すっと立ち去って玄関のドアを開ける。
「おかえ、りっ!!」
またもや聞き慣れた声に、嫌な予感がした。
本命登場いかがでしたでしょうか?タグがタグなので、分かると思いますが。