優衣の底力
優衣との約束はどうなったのでしょうか?
僕は将来蜜柑と結婚する。
それは昔から感じて物だったし、こんなにウマの合う相手はいないだろう。
僕達の仲は本当誰から見てもお似合いだろうし、高校卒業と同時にするものだとお互い将来を誓い合った日々は忘れない。
たまたまお互い両親が忙しく、承諾を得られなかっただけで、高校を卒業したら「娘さんを僕に下さい」と言いに行こうと思ってた。いや、娘さんを僕に下さいと言うより、蜜柑はもう決めてたようで、お揃いの指輪を蜜柑と僕の「勉強」の合間にプレゼントしてくれた。
「ねぇ…私の物だけになってくれる…?」
そう耳元で囁かれては、腰砕けになって、僕は余計理性を保てない。
色っぽく囁かれるだけ、僕は本当にこの女を独占することが出来る、とオモチャを買って貰った子供のように求めた。
彼女は返してくれている。
そんな幸せな日々だった。
優衣が勉強してまで、俺とデートをしようとしてくれるのに、何やってるんだろうと思った。
女の上位に立ちたくて、何を求めて来たのだろう。
一週間後、嘘みたいな出来事が起こった。
10位あたりまでは絶対お互いが載ることがない、9,8,7,6、5,4…の順で蜜柑と見て、ぎょっとした。
3に俺の名前。
2に蜜柑の名前。
1位は、何と優衣だった。
唖然とする蜜柑を見たのは初めてかもしれない、お互い口を開けたまま、5分間止まると、優衣がにっこり微笑んで、
こっちに近寄ってきた。
「叶!1位、とったよ!デートしてくれるよね!!」
遠くの喧騒からそう叫んでくる物だから、蜜柑の目に嫉妬と敗北感、焦燥感が浮かんでるのは、自分から見ても明らか。
「ちょっと、叶どういうこと…?私と結婚してくれるって言ったじゃない!」
そう叫ぶと、キッと優衣を睨んで、対峙しながら時が止まった。
ざわざわと騒ぎ立てるような声がたくさんして、自分がしでかしてしまった「ミス」に気付いてしまう。
あの時、優衣に出かけようと言われた時、蜜柑の家で他の勉強をしたとき、いつもよりうっかり手を抜いたこと、
そして…優衣を嫌いじゃなくなっていること。
優衣の逆襲ターンの始まりです。




