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ATMに寄生する男



――私にはプライドなんてなかった。だから上手くいった。

ただそれだけ、早く元の生活に戻りたかった。




『ATMに寄生する男』




産休から戻ってきたアキちゃんは妊娠中とは違い

スマートになっていた。

そしてボトルをドバドバ開けて売上げを作っていた。

メイちゃんとも上手く打ち解けていた。

コミュ力が高い人は得だなと思った。




私は遠目でそれを見ながら、仕事をしていた。

この頃からミミさんのアキちゃんに対する扱いがひどくなっていった。

手懐けているボーイにアキちゃんの悪口を言っていることが多くなった。




ボーイの名前は佐久間さん。ミミさんより10歳も年下の男だ。

私よりも年下だったが綺麗な身なりをしていた。

高級ブランドの時計にスーツ。

ボーイの給料で買えるような物ではなかった。

ミミさんが買い与えていることは周知の事実だった。




ある日、私はお客さんに聞かれる。




「ミドリちゃん、ミミさんってもしかして

ボーイさんと付き合ってるの?

この間一緒に買い物してるところみたよ」




言葉に詰まった。

それを遮ったのがアキちゃんだった。




「実は私も一緒に見たんですよね。

あの2人が一緒にいるところを」




アキちゃんは以前から2人が付き合ってることを

知っていたので、まさかここでしゃべるとは思わなかった。

私は何も言えなかった。




「ミミさんってニッキくんとも付き合ってるんでしょ?

佐久間さんとはもう3年付き合ってるらしいよ。

最低なのよ、あのクソ女」




自分の宅でボトルを開けたせいもあって

アキちゃんは淡々としゃべり続けた。




「私の客に色目使ってホテルに連れ込んだこともあるみたいだし。

お客さんからメール着てキレそうになった。

掲示板見た?あいつ好みなら誰とでも寝るのよ!」




アキちゃんは自分に向けられた悪口と同じような内容を

ミミさんの客のニッキさんに向けていた。




「そう……」




そのあとのことは覚えていない。

ただマミさんがミミさんを宥めていたことを覚えている。

私はそれをただ見つめていた。

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