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24話「魔王? 聖人? 俺人間?」

 すいません! ちょっと内容が変わったんで再投稿です。

 改稿してもよかったんですが、早とちりといいますか、やっちまいやした。

 ということで前半は前と同じ内容です。後半が新しいところなのでまあ、前半は流し読みでもしてくだせぇ。

 ではどうぞ!

 左右の泉から続々と玉が出てきては目の前の二人の人物が出てきたように弾けてその姿を現す。

 光の玉はガラスが光を乱反射するかのようにキラキラと。

 黒い靄はヒアが変身するときのようにスッと。

 そして現在、直径十mほどの綺麗な円をした泉の上には合わせて五十はあろうかというほどの小さな人物が揃った。

 お互いに睨み合い、膠着状態が続いている。多分目の前にいる人物がリーダー的なので、こいつらが指示を出せば戦争が始まるのだろう。

 そう予想した俺は目の前の二人の人物に話しかけた。


「あのさぁ、少しは落ち着いたら…………」

「魔王様ぁ。こいつどうにかしてくださいよぉ」

「聖人様。この輩をどうにかしてくださいませんでしょうか?」

「…………は?」


 俺が落ち着けと言おうとしたら二人ともこちらを向き、それぞれの呼び方で俺を呼んだ。

 その呼び名に俺は思わず聞き返した。きっと聞き間違いだろうと思って。

 しかし、俺は間違っていなかった。


「え? 何を言ってるのぉ? この方はぁ、魔王様でしょぉ?」

「あなたこそ何世迷言を。この方は聖人様です。どこをどうしたら魔王と間違えるのですか?」


 二人の人物はまた口喧嘩を始めてしまった。

 俺はそれも耳に入らずただ驚愕していた。

 え? 俺魔王? 聖人? 聖人って勇者的な? いや、それは対極の二人ジャマイカ。ん? その前に俺って普通の人間だよね? 魔王とか勇者とか人外生物じゃないんだけど…………

 無意識のうちに勇者を人じゃないとディスる(けなす)俺。ま、本当のことだしいいか。あの力は人外だろ。


 俺が驚愕して呆けていると目の前の二人がまたも話しかけてきて俺は現実へと戻った。


「ねぇ、魔王様ぁ。魔王様は魔王様ですよねぇ?」

「聖人様。この勘違いをしている輩にどうか真実を、そして殲滅の指示をください」

「いやいや! 俺魔王でも聖人でもねぇし! それに殲滅とか言わないの! 物騒だろ! 戦うのは一旦やめろ! 話はちゃんと聞いてやるからその険悪な雰囲気をやめろ」


 俺は二人の言葉に思わず叫ぶ。ついでに始まりそうだった戦争を停止させた。

 二人は渋々と言った風に仲間を引き返させた。

 ふぅ、なんとかたくさんの尊い命を救うことが出来た。


 精霊たちはまた光と靄の玉に戻ってそれぞれの泉の中へ消えてった。

 そして俺は小悪魔姉ちゃんと清純お姉さんと話をする。


「よし、まずは話し合おうではないか」

「魔王様ぁ。どうしちゃったんですかぁ?」

「そうです、聖人様。あなたはこやつらを我らと共に殲滅するべく生まれた聖人なのですよ?」

「ちょい待て。まずはその魔王様と聖人様と呼ぶのをやめようか。あと清純派お姉さんはちょっと俺を洗脳する感じで話すのをやめてほしいのだが」


 俺が話し合いをすると言った途端に喋り出す二人。

 それぞれの言い分を聞いて改めて俺は俺の呼び方を注意した。ついでに清純派お姉さんの言葉がちょっと怖かったのでそっちも注意しておいた。

 清純派お姉さんと呼ばれた天使(仮)と悪魔(仮)はどちらが呼ばれたのか分からず首をかしげる。しかも同時に、お互いの頭が近づくように。ちょっ! なにこの可愛い生物! 今すぐ胸に抱いて思いっきり愛でたい! そんでクンカクンカしたい!

 ちょっと剥き出しになった俺の野性に気づいたのか天使(仮)と悪魔(仮)は眉を寄せた。それすらも可愛いってもはや卑怯だよ。てか少し理性を取り戻しつつあるからか、この子たちの可愛さに翻弄されつつある俺である。

 

 っと、危ない危ない。今はそれどころじゃない。てか他のラルルとミリーとヒアは未だにポカンとしてるな。ヒアは相変わらず無表情だがピクリとも動いていないから唖然としているのだろう。他の二人はやはりお馬鹿全開で大口開けて固まっている。とりあえずそのアホ面を直すために優しく口を閉じてやる。それでもまだ現実に帰らない三人。ま、こいつらはおいといていいだろう。

 俺は天使(仮)と悪魔(仮)に向き直る。たまには真剣になるか。

 俺は声のトーンを落として極めて真剣さが伝わるように喋り始めた。俺の雰囲気の変化に気づいたのかこの二人の表情がキリッとしたものになる。


「さて、まずは自己紹介といこうか。俺から行くぞ。俺は勇太。魔王でも聖人でもない普通の男の子だ。ついでに成人でもない」

「……わたしはぁ、魔界に住んでいたサキュバスの悪魔よぉ。名前はないわぁ。魔王様につけてもらおうとしたのだけれどぉ、あなた本当に違うのぉ?」


 俺の自己紹介は軽くスルーされ、悪魔(仮)が自己紹介を始めた。

 悪魔(仮)は本当に悪魔だった。しかもサキュバス! 死ぬまで吸われるのは嫌だが、是非とも夜を共にしたいところだ。…………俺の思ってた通りの人間と同じ大きさのサキュバスだったら、だが。

 え? これ本当にサキュバス? これは仮初の姿で本当は俺と同じくらいの大きさなのだぁ! とかじゃなくて?

 俺がそんな風にサキュバスの大きさに疑問を思いっきり顔に出しているとサキュバスは答えた。


「私は普通夢で人間の精をとるのよぉ。だからぁ、現実では弱いこの体を小さくして隠れやすくしたのぉ」

「へ~、ちなみに夢だと人間と同じ大きさなのかな?」

「ふふ、そうよぉ。試してみるぅ?」


 答えてくれたサキュバスにそう言えば妖艶に笑ってお誘いをもらった。

 是非! と言いそうになったが、先ほど考えた搾られすぎて死ぬというのを思い出し、なんとか理性をとどめた。ふぃ~、あぶねぇ。危険はいつも身近にあるもんだな。

 

 さて、次はっと。


「じゃあ、次は君ね」


 なんか合コンの自己紹介みたいだ。誘われたことないけどね!

 自分で言っといてなんだが、ちょっと落ち込んだ。


「えっと……大丈夫ですか?」

「大丈夫。続けて」

「は、はい。私は四精霊を束ねる大精霊です。名前は忌々しいですが、そちらと同じで聖人様につけてもらおうと考えておりました。というよりは代々精霊の名前は聖人様につけてもらうことが決まっているのですよ。そもそも精霊は別に名前がなくても生きていけますし。聖人様が困りそうだからつけてもらうのです」


 なんかいろいろ情報が入ってきた。

 ま、とりあえず一つ分かることは、


「この二人の戦力差は歴然としていることか」


 大精霊とサキュバス。軍配は完全に大精霊に上がるだろう。あんまサキュバスって強いイメージないし。夜は果てしなく強そうだが。

 そう思っての呟きだったが、サキュバスは、え? と言った顔をしていた。ちなみに大精霊の方は、俺に自分の方が強いと言われた事に優越感を得たのかどことなく誇らしげにしている。

 サキュバスは慌てて弁明した。


「あ、あのぅ、まお……ユウタ様ぁ。これでもぉ、私は魔界全てのサキュバスを統べるサキュバスの女王なんですよぉ? 立場的にはぁ、そこのちんちくりんと同じ、いやそれ以上ですよぉ?」

「でもサキュバスはサキュバスだろ? そんな強いイメージないんだけどな」


 サキュバスの言葉で額に青筋を浮かべた大精霊が何かを言う前に俺は先制して口を出す。

 俺の言葉に満足したのか大精霊はニコニコとしているが、サキュバスは心外だとばかりに弁明を続ける。


「たしかにぃ、私は肉体のある者には弱いですがぁ、そもそもが精身体である精霊とかにはすっごく強いんですよぉ? そこのツルペッタンよりもはるかに」

「なっ! ツルペッタンとはどういうことですか!」

「どうもこうもそのまんまよぉ? ぶかぶかのローブで誤魔化そうたってサキュバスの私にはお見通しよぉ」


 とりあえずこの会話で俺が言えることは唯一つ。

 俺は別にツルペッタンでもイケる。

 割と、本気でどうでもいいことを考えているなぁ、と自分に呆れる。

 またギャーギャーと騒ぎ出した大精霊とサキュバスを、まあまあ、と落ち着かせる。なんでこんなことやってんだろう? いまさらだが。

 というわけでさっさと核心に迫ることにした。


「んで、結局どうしたいわけ? あーたら(あんたら)は」

「私はぁ、魔王様に連れて行ってもらわないとぉ、魔大陸にいけないからぁあなたについていくわぁ。それにあなたが自覚してないだけかもしれないしね」

「私もついていきます。サキュバスに殺されないか心配ですので。それに私はそこの淫乱よりも戦闘力があります。そこいらの魔物程度だったら一人で倒せます。それと、やはりあなたは聖人様のような気がしますもの。自覚していないだけだと思われますので」

 

 二人して俺に自覚がない自覚がないって、俺は鈍感系主人公か! 

 まあ、それは置いといて、ついてくるならこのままの姿だとまずいんでねーが? 結構有名というか、知られてそうな姿してるし。てかこの大きさの生物とか精霊くらいしか思いつかねぇし。

 そう言うことで言うことにする。

 

「そんならその姿っていろいろまずいんじゃね? 人間とかいろいろ知ってそうだし、サキュバスなんてのが俺の近くにいたら俺が魔王って勘違いされて殺されかねない」

「大丈夫よぉ。そんなことしようとするやつらはぁ、み・な・ご・ろ・し☆」

「そんなうっふん、って感じでやられても……内容がこえぇよ」


 俺がこのやり取りにげんなりしていると、大精霊が口を挟んだ。


「その問題私たちなら解決できますよ。私たちはこの森にいる動物に憑依すれば意思を乗っ取って行動できますから」

「さらっと言ったけどお前も対外だな! 憑依して意識を乗っ取るとか怖すぎ!」


 俺の言葉に大精霊は、どうしてでしょう? と首をかしげた。いや、その乗っ取ることをなんとも思ってない考えがこえぇんだよ……

 でもまあ、小さな動物に憑依してもらえばいけるよな。虎みたいに馬鹿みたいにでかいやつに憑依しなければ。

 

 うん、とりあえず大精霊の方はいいっぽいな。

 俺はサキュバスを見る。


「ということで、お疲れさん」

「ちょ! ちょっと待ってよぉ」

「え? 特段大精霊みたいな能力ないんでしょ? ならついてくるのは無理。必然的にお疲れちゃんってことじゃん」


 俺の言葉を聞いたサキュバスはなにやら考え事をしだした。ちなみに大精霊のほうをチラッと見ると勝ち誇ったようにドヤッてた。案外仲いいのかもな。

 しばらくして、サキュバスはハッとした顔をして話し出す。


「私もぉ、魔物に憑依して意のままに操ることが出来ますよぉ。なんならここら一帯の魔物全部まお、ユウタ様の配下に出来ますよぉ?」

「お前は俺に世界征服でもしろと言ってんのか?!」

 

 どんだけ過剰戦力を持たせる気だ! てかそんなたくさんの魔物を操れるやつとか他の人にとって脅威でしかないだろ! 俺だったらすぐに潰すね! 今は俺がその潰す対象なのだが……

 でもまあ、こいつも憑依できるらしい。ただし魔物に限る、か。

 俺の近くに魔物がいたら絶対勘違いして襲って来る人いそうだよなぁ。あながち間違いでもないんだが。そこが性質が悪い。 

 

 ともあれ、こいつらはついてくるらしい。どうせついてくるならあまり目立たないように動物かなんかの方がいいよな。

 まあ、魔物は俺がテイマーみたいなものっていえば納得してくれるかな? …………なんかダメな気がする。ハッ?! これがフラグというものか?! ……ちょい違う。

 こんな感じでいいだろ。フラグ云々は無視で。大丈夫だって。なんとかなるさ。ナンクルナイサー。あ、そういえばナンクルナイサーって挫けずに頑張ればいいことあるよ、みたいな意味だった気がする。ちょっと違うかな?

 

「まあ、動物でも魔物でも憑依してくるならいいよ。あ~、出来ればもふもふしたやつがいいな」

「了解しましたぁ。みんな行くよぉ」

「分かりました。では皆さん、行きますよ」

「え? みんな? 皆さん? どちらさま?」


 俺がさりげなく注文をすると、サキュバスと大精霊はなんか他の人を呼び出した。あれ? この場合は人じゃないのか? 激しくどうでもいい。略してハゲドー。意味が違う!

 常に混乱の状態異常がかかっている俺の頭は更に混乱してわけのわからないことを考え出した。

 

 そんな俺をよそに二人が呼んだであろうものが出てきた。

 左右の泉からポコポコと何十もの玉が。

 あぁ、分かってましたよ? 皆さんとか言って出てくるのなんてさっきの部下っぽいのだけですもんね。

 てか、え? こんなにいるの? 俺はてっきりこの二人だけかと……

 これ全員動物に憑依とかしたら動物園作れるよ? え? 何がしたいの? 目指せ! 動物王国?! わ け わ か ら ん!

 

「あ?! ちょっ!」


 そんなことしている間に小さな玉たちは飛んでいってしまった。もちろんあの二人も一緒に。

 俺の声は虚しく普通の泉となった泉に溶けていった。

 











「お~い、起きろ~」

「ハッ?! え?! 今までの何!」

「ミリーいきなり耳元で大声出すなよ」

「ご、ごめんなさい……」

「そ、そんな落ち込むなよ! 垂れた猫耳可愛い……」

「え? 可愛い?」

「うん、可愛いよ。後でもふらせてね。でも今はみんなを起こして戻ろっか」

「うん!」


 そんな感じでミリーを誘導して気にしないようにした。

 それにしても、ミリー…………こんな騙されやすくて主人は心配です! 俺でも、垂れた猫耳可愛い、は無理だと思ったのに。

 

 とまあ、こっちのみんなはこんな感じで巻いた。

 






 数分後、激しい地響きが起こったと思ったら周りを動物と魔物っぽいのに囲まれて、こいつらがさっきのやつらと分かったときはなんかいろいろ諦めた。





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