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23話「精霊?」

 『ウェイクサー』ゲットだぜ!

 話が跳んでると思ったチミ。安心したまえ。ちゃんと物語は続いてる。

 

 『ウェイクサー』の探索を続けると決めた三秒後くらいかな? ラルルが急に、あー! っと叫びだした。

 どした? と相変わらず地面に仰向けに寝転んだまま聞くと、『ウェイクサー』あったのです! とニコニコしながら言ってきた。なんというご都合主義…………

 なぬ?! と驚きながら俺は必死に見ようとするが体が動かない。 

 しょうがないので、持ってきて~、と言ってラルルに言うと、ラルルは力んでいるような声を上げた。まるでなにかを引っ張っているような……

 そして『ウェイクサー』を持ってきてもらった。


 『ウェイクサー』は俺のよく見慣れた形をしていた。

 円柱の白い実を持っており、片方の先っぽが細くなっている。細くなっているほうの逆には艶やかな緑色をした葉っぱが放射状に広がっていた。

 うん、これ大根だわ。しかもめっちゃおいしそうな。

 とりあえず『ウェイクサー』改め、大根は実の部分だけで長さが八十cmもある馬鹿みたいな大きさだった。太さなんて両手の指が回せないほどに太い。

 早速かじろうと思ったのだが、なんせ泥がすごい。ここで俺は水洗いしてから丸かじりの意味を知った。生野菜って美味しいのかな? 前世ではいい思い出なかったんだけど……

 

 俺が洗ってきてと言うとラルルは、はいです! と言って走り去った。

 俺は慌てて、子猫たち! ラルルの護衛頼むね! と叫んだ。五匹の子猫たちはそれぞれ可愛らしく鳴くとラルルと同じ方向に走り去った。

 ラルルが戻ってくるまで暇になった俺はミリーに声をかけた。


「なぁ、ミリー。この近くに洗える場所なんてあるのか?」

「うん、近くにね、とーっても綺麗な湖があったんだよ! キラキラってしててね、なんか光の玉が浮いてたの」


 やたらと興奮した様子で言うミリー。

 ミリーは俺がなにかを言う前に続けた。


「でもね、そこの近くに行くとヒアはヘナヘナ~って力がなくなっちゃうんだって。それでも十分凄かったけど」

「……………………」

 

 俺はそんな条件を満たす場所を知っている。いや、この世界でも同じ条件化なのかは分からないけど多分そうだろ。

 うん、絶対そこ『精霊の泉』とかだわ。

 神秘的、光の玉、魔物の弱体化。全部当てはまるわ。

 でも、一つ引っかかることがあった。


「ミリーは弱らなかったのか?」

「うん? 全然平気だったよ」


 ミリーは首をかしげて、それがどうかしたの? とでも聞いてくるような目で見てきた。

 ふ~ん、ミリーって魔物ではないのか。

 いや、ミリーが人の状態だからなのかな? ま、いいや。後で俺も行こうっと。

 

 そうやって話しているとラルルが全力疾走で戻ってきた。

 ニコニコしながら走ってるけどそんなに慌ててると…………

 

「ラルル~、そんなに慌ててると……」


 俺が、危ないぞ~、と続けようとしたところでラルルは木の根っこに足をとられてこけた。ほら、いわんこっちゃない。

 当然汚れてしまった大根をもう一度洗いにいくはめになったラルルだった。















 そんなこんなで俺、完・全・復・活!

 ふっふっふ、これでこの世も我の手中に…………

 

 大根はものすごいものだった。

 ひとかじりすれば腰の痛みが引いた。

 ふたかじりすれば体の内臓がスッキリするような感覚を味わった。

 みかじりすれば肌がツヤツヤになった。

 

 よかじりしようと思ったのだが、そこで体が受け付けないとでも言うように拒絶反応を起こした。あれか、薬も飲みすぎると体に悪いってことか。美味いから普通に食いたかったんだがなぁ。

 それにしてもデッケーな。俺みかじりしたけどほとんど減ってねぇ。めっちゃふたかじり目とみかじり目は大口でめっちゃ頬張ったのに。

 

 とりあえず全身健康体に大変身した俺はミリーたちに連れられて『精霊の泉』へと歩き出した。あ、別に『精霊の泉』って決まったわけじゃないか。

 ヒアはそこへ行くといった瞬間に豹の姿で顔をしかめた。わずかな変化だったが、雰囲気からもヒアが嫌そうにしていることが分かった。

 そこで俺はあることを思いついてヒアに命令した。


「ヒアは人化してついてきて」


 そう言うとヒアは大きな頭をコクリと縦に動かして黒い靄に包まれた。

 人化し終えるとヒアはいつものように無表情のままそこに立っていた。

 よし、これでいいか、と思ったところで鳴き声が聞こえた。

 子猫たちだ。

 あ~、子猫たちも魔物だったな。でもさすがに人化は出来なさそうだし……チラッ

 俺はこんなことを思ってたらヒアみたいに人化させれないかなぁ、とちょっと期待していたが、ダメなようだ。チッ、ご都合主義も完璧ではないんだな。


「子猫たちはちょっと遊んできてね」


 しょうがないので俺は子猫たちの前にしゃがむと優しい声色で話しかけた。あの強さのヒアがヘロヘロになっちまうんだ。子猫たちだと動けなくなるかもしれん。もしかしたら死んでしまうかも……

 だから遊んできてもらうことにした。

 子猫たちは寂しそうに俺の足に擦り寄ってきた。俺は無言で立ち上がると、絶対についてきちゃダメだからな、と念を押して歩き出した。

 

「んじゃ、『精霊の泉』に向けてレッツゴー!」


 ま、ちょっとの別れだしそんなに寂しがるなよベイビー。ちょっくら精霊たち虜にしてくっからよ。

 俺が声高に言うとラルルたちが、おー! と乗ってくれた。うん、いい子たちだな。

 

















 俺は今戸惑っている。

 なぜか? それは…………


「…………なんかおかしくね? キラキラとどんよりが共存してるわ」


 今現在『精霊の泉』と思われる場所に来ていた。

 しかし、そこは俺の思っていた場所とは少し違っていた。

 俺から見て右半分はミリーに聞いたとおりの『精霊の泉』と呼べるような綺麗な場所だった。

 しかし、左半分はまさに魔界を思わせるようなおどろおどろしい雰囲気だった。

 具体的に言うと、まず泉はドス黒いやや赤みがかった黒で、何故かボコボコと泡が浮かんでははじける。左半分の空気はまさに異様としか言いようがなく、冷蔵庫の裏にあるゴキブリの巣を連想させる。いや、俺ん家には巣なんてなかったけどね。 

 ついでにその空気の中に、ヒアが変身するときに出る靄がふわふわと浮いていた。大きさは右半分の光の玉と同じでメロンくらいの大きさだ。うん、例えが分かりづらい。

 

 俺はミリーに話が違うではないか、というような視線を送る。

 ミリーは、あれ~? と言った風に首をかしげていた。

 ふむ、ミリーのいたときは全体が右半分のような感じだったのか。どうして変わったんだ…………


 そうやって俺が思案いていると右と左、両方から一際目立つ玉が泉の真ん中から浮かび上がってきた。

 お互いに喧嘩でもしているかのように押し合いながら俺の元までくる。え? なになに? とうとう精霊の登場? じゃあ靄のほうはなんなんだよ……

 そう思っていると二つの玉が弾けた。

 光の玉はガラスの破片が光を乱反射するかのようにキラキラと。

 黒い靄は、ヒアの変身と同じように靄が霧散してスッと。

 そして現れるのは二人の精霊と思われる者。


「ちょっとぉ。そんなに押すなんてひどくなぁい?」

「そんなことを言われる筋合いはありません。そもそもあなたたちが私たちの領域に入ってきたのです」

「私たちだってぇ、急に人間界に呼び出されたのよぉ。魔界に帰るには魔王様に連れてってもらわないといけないしぃ」

「そんなこと私たちには関係ありません。早く出て行けば手は出しませんよ?」

「なぁに? それはまるで私たちに戦って勝てるって言ってるように聞こえるけどぉ」

「そう言っているのですよ。分かりませんか?」

「仕方ないわねぇ。喧嘩を売られたらしょうがないわよねぇ」

「別に喧嘩など売っていません。どうして格下に喧嘩を売らなければいけないのでしょう?」


 出てきてそうそう口喧嘩をし始める二人の精霊と思わしき人物。

 色っぽいお姉さん風に話す人物は身長三十cmほどと小さいながらもボンッキュッボンッの完璧なプロポーションを持っている。服装は肌の露出が多い、過激なものだ。ついでに背中には蝙蝠(こうもり)のような羽を持っている。

 もう一人の堅苦しい喋り方をする聖女のような人物はこれまた身長は三十cmほど。こちらはゆったりとしたローブを着ているのでプロポーションは分からない。服装は先ほど言ったように、ゆったりとした純白のローブ。足元までの長さで、背中に天使のような羽がなければ病院の患者にも見える。

 

 俺たちはそのような人物たちの口喧嘩を驚きで固まったまま見ていた。

 完結させたい…………

 でもぼんやりとしかラストが思い浮かばない。あんま納得できねぇし。

 ま、このまま頑張っていきます

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