22話「状況整理」
今日は(もう終わるけど)5話投稿してます
話数に気をつけてくださいね
日の光を通さない森でも、朝の明るさは入ってきた。
直接太陽の光を受けれない分、冴えない頭を抱えながら俺は起き上がった。
餅のように粘っこく睡魔が俺を二度寝という天国へいざなおうとするが、持ち前の気力で振り切る。
まだ頭は泥沼に浸かっているように重々しいが、なんとか考えて動けるようになったのでヒアから離れようと決める。あぁ、こんなに良い寝心地のベットから出ないといけないなんて…………
後ろ髪を引っ張られる思いをしながら立ち上が…………ろうとして激痛が走り、自分がギックリ腰だったことを思い出した。クッ、俺のアホやろう。自分の状態くらいちゃんと理解しとけよ……
動けない俺はとりあえず、ラルル、ミリー、ヒア、子猫たち五匹を確認してそっと息を吐く。
「ふぅ、なんとか生きてたか……」
俺は昨日のどんちゃん騒ぎをした後いろいろな不安を抱えながら眠りについた。
ここは森の中だ。しかも危険だと言われているところの奥にある更に危険なところ。危険度で言うと家に誰もいない状態でトイレの紙が予備も含めて全部なくなったくらい危険だ。ついでにいうと下痢のような大便だ。
この世界は魔物がいる。そして魔物はやたらと好戦的だ。そんな真っ只中で野営と呼べないような状態で寝ることがどれだけ愚かなことか…………い、いや、俺はヒアを信用してたから、あ・え・て(ここ重要)愚かなほどに無防備で寝たんだ。
コホン、それはいいとして、全く日が差さないなぁ。まあ、光は入ってきているから今が朝だということくらいは分かるが。
とりあえずみんな起こそうかな? でもなぁ、この世界は日本じゃないしなぁ。別に時間に縛られたりしないしなぁ。…………なんで俺二度寝しなかったんだろう。
ま、過ぎたことはしょうがないとして、みんなが起きるまでちょっとこれからのことについて考えようかな。ずっとノープランできたことだしそろそろなにか考えないと。それ以前に俺動けねぇし。
さて、とりあえず状況整理だな。これ大事。
今俺たちはうぇい、うぇい……あの薬草を取りに森の奥まで来ている。
なんでもその薬草は水洗いして丸かじりするとたちまちに様々な体の異変を取り除いてくれるそうだ。あれ? 今思ったけどそれってかなり希少な薬草じゃね? 森の奥深くにしかないっぽいみたいなこと言ってたし…………それをギックリ腰に使うって……いや、もはや何も言うまい。あいつらは常人と違う。まず人じゃないやつがほとんどだし。
あ~、また余計なことを……よし、淡々とやっていこう。そうしないと日が暮れる。
え~、薬草を取りにきたんだろ? んで今は獣化したヒアに優しく包んでもらって休んでいるわけだ。めっさ気持ちええ…………早速決意を破りやがった……
じゃあ、今からどうするか。選択肢は二つかな?
一つはこのまま薬草を見つけに行く。正直見つかる気がしないけど。
もう一つは一旦帰る。家まだ途中だったしとりあえず完成させねば。でもそれだと俺がしばらく動けなくなる。ギックリ腰ってきついんだよね~。てかそれ以前の問題であいつらが道を覚えているのか心配だ。…………さすがに、ねぇ? 大丈夫だよな?
俺はどっちを選べばいいのか迷い、う~んと唸っていた。
「ふにゃ~…………あ、おはようニャ~、ユウタ~」
俺がピクリとも動かずに唸っているとミリーが起きた。あれま、起こしちゃったか?
まだ首もあまり動かしたくない俺は目だけ動かしてミリーを視界におさめた。寝起きのせいか、ミリーの自慢の(俺の見立て)猫耳は青菜に塩を振ったかのようにしおれていた。別にしょんぼりしてるわけじゃないんだよな?
そして肩甲骨あたりまで伸ばしているブラウン色の髪は少しボサッとしていてところどころ跳ねている。それでも失わない輝きはなんなんだろうか?
ミリーはペタンと女の子座りで寝ぼけ眼を猫のように手の甲でこすりながら俺を見る。く~! こう、グッとくるものがあるよな!
でも…………あ~! これにナイトキャップ(寝るときにかぶる三角帽子みたいなの)と枕を脇に抱えていれば最高だったのに!
…………さっきまでの真面目さはどこいった……?
「うみゅ? お兄しゃん……おはよーなのです……」
起こしてしまったミリーを見てると反対側から完全に寝ぼけている声が聞こえてきた。あらら、ラルルまで起こしちゃったか。
ラルルはこれまた子供みたいに頭をボンバーさせて、両手で寝ぼけ眼をこすっている。どうでもいいが、俺、寝ぼけ眼をこすってる姿っていいと思うんだよね。どうでもいいが。
とりあえず二人とも起こしてしまったようなので挨拶をする。
「おう、おはよ」
当然俺は動けないので身動ぎせずに口だけ動かす。なんか怖いな、今の俺。
とりあえず俺は半分夢の中にいるであろう二人に指示を出す。
「近くに川がないか? あるならそこで顔を洗って来いよ。あ、子猫たちも連れてってくれよな」
「……ニャー……」
「……です……」
二人はよく分からない返事をして立ち上がり、歩き始めた。あれ? 俺、川があるならって言ったよな? ちゃんとあるのを知ってて歩き出したんだよな? 二人が別々の方向に行こうとしてるのは二つ川があるからなんだよな?!
…………ってんなわけねぇだろ! あるかもしれんけど今のあいつらじゃ信用ならん!
「ちょっと待てぇい!!! お前ら川の場所知らんだろ! 迷子になってもしらんぞ! あと子猫たちはどうした! ……って人の話を聞けぇぇぇええええ!!!!!!」
俺は腰の痛みを我慢しながら叫ぶ。このまま行ったら多分あいつら帰ってこれないだろうから。
てかどんだけ寝ぼけてんだよ。俺の声を無視してどっか行こうとしやがって。
最後のもはや雄たけびと言える叫び声で二人は帰ってきた。あ~、腰が……
俺は帰ってきた二人に目が覚めるまで説教をした。寝ぼけてるから全部記憶に残らないと思うが。憂さ晴らし?
ようやく脳が正常に起動した二人に(正常? とか言わないの)俺は朝考えていたこれからのことを話した。あ、もちろんヒアも人化して話に入っているぞ。石像みたいに全く動かないが。
俺は仰向けで地面に横たえられ、空を覆いつくす木の葉を視界いっぱいに入れながら話した。真面目な話をしているのにこんな状態だとちょっと笑えてくる。
「それじゃあ、これからの行動についてどうしようか」
「はいです! やっぱり『ウェイクサー』は取りに行ったほうがいいと思うのです!」
俺がみんなにそう問いかけると、ラルルが学校のように挙手をして答える。さすがに立ち上がることはしなかったが。
それに対して俺はデメリットを話す。
「でもな、それだと危険があるんだわ。てか今この状況も十分危険なんだよ。なに? この無防備でこんな森の奥深くで話し合うって。そもそも食料とか野営の準備とか全くしてないし、かなり危険が伴うぞ」
「ん~…………でも、お兄ちゃんの腰が……」
「そうだよ。それに食料とかは適当に動物を狩ってくればいいし、火はラルルちゃんが魔法使えるし、ここにヒアと子猫ちゃんに敵う敵はいないって」
「……うん。ヒア一番」
俺がデメリットを話してもラルルは意見を変えなかった。
それどころかミリーまで加勢した。いや、そんな不確かな状態で挑んだら死ぬぞ? それにヒアの一番だよ発言はフラグ臭がする。……バインバインの胸を張るところは眼福でしたが。
俺はまたも唸る。
う~んう~ん、と唸り続けて結論が出た。
フラグ臭がプンプンするが、まあ現実だし大丈夫だろう。フラグなんてものは想像上のものだ。
俺は唸るのをやめて結論を言う。
「よし、なら探索を続けるか。お前らがそんなにいいって言うなら信じよう」
「分かった!」
「はいです!」
「……うん」
俺の言葉にそれぞれが返事を返す。
ミリーは相変わらずのニコニコ笑顔で。
ラルルは見た目通りの元気ハツラツとした声で。
ヒアはいつものように一拍置いてから頷いて。
俺はにこやかに笑いながら返事を聞いた。
うん、こいつらの元気な声を聞いてると俺も元気になる気がするわ。だからさぁ…………
そろそろこの体勢から動けねぇかなぁ……? シュールすぎる…………
やばい、全然話がすすまねぇw
すんません。もうちょい頑張ります。




