21話「お約束」
今日四話目です。話数にお気をつけくだちい。
そんなこんなで夜になった。
え? 急すぎて展開がわからない? しょうがないなぁ。土下座して靴を舐めるっていうんなら……イタッ、ごめんなさい石は投げないで。
え~、コホン。まず俺がラルルを高い高いしてあげたらギックリ腰になってしまった。この歳でなるとは思わんかったわ~。
んでヒアに乗って、うぇ、うぇいく…………薬草を取りにいくため出発したんだ。ヒアの乗り心地はとてもよかった。それはもう、リムジンなんて目じゃないほどにね! 乗ったことないけど。
だけど、しばらくして俺は嫌な予感がしたんだ。よくあるよね、なんとなくの直感? ってやつ。
そこで愛くるしく俺の顔を舐めてくれている子猫たちに、ヒアにいろいろ命令をしているラルルを呼んできてもらうことにしたんだ。あ、そういえば子猫たちの名前決めてなかったなぁ。あの時はすぐに森にでも放してやろうって考えてたからな。愛着わかないようにしてたんだな。
そしてやってくるラルル。いろいろ話してまとめると森を彷徨っている、と。
脳天チョップを決めてやりたかったが、生憎俺はギックリ腰で手が届かない。あのときなんか中二っぽいこと言ってた気がするが……気のせいだな。
そこから後は野となれ山となれ、で進んできた。諦めが重要だ。うん。
途中で半径二十mほどのクレーターとか、ドラゴンがいそうな洞窟(想像)があったが腰が崩壊寸前の俺には気にする余裕などなかった。しょうがないよね? 痛んだもの。
そんな感じで森を彷徨ってたら夜になっちゃって今焚き火をしているわけだ。
よ~っし! 回想終わり! これで大体俺がどんな理由でここにいるか分かった。
こういう時って誰かに聞かせるように言えば自分にも分かりやすいって聞いたからな。本当か知らんけど。とりあえず俺には効果あった。
俺がこうやって回想して分かったことは…………あまりにも無鉄砲だということだ。
だってさ、俺たちの行動ひどすぎね? 俺がギックリ腰になったから森の奥深くにある超レアな薬草(あとで聞いた)をなんの準備もなしに取りにいこうとしてんだぜ? 笑えるだろ? 俺は笑えんけど。
てかそろそろ一人で誰にも聞かれないのに語っているのが虚しくなってきた……人肌が恋しいぜ。
ということで、俯いていた顔をフッと上げる。まず、ユラユラと揺れる焚き火の火が目に入る。その向こうには、二人の人物が座っていた。
「考え事終わったのですか?」
「何考えてたの~?」
俺が顔を上げて前を見ると二人の人物と目が合う。目と目が合う~♪
最初に目が合った小柄のドワーフ、ラルルは俺と目が合ったことが嬉しいようで嬉々として口を開いた。
次に目が合った猫耳&猫尻尾の美少女、ミリーは自分が二番目だったことに少しむくれたが、すぐにいつも通りの太陽のような笑顔を浮かべる。
「まあ、ちょっといろいろ考えててな。俺らが馬鹿だってことが結論に出た」
「む~、あちしは馬鹿じゃないです!」
「もう、私もちゃんと考えて行動してるんだよ!」
「……ヒア、頭いい子」
俺が馬鹿だというと、みんな揃って自分は馬鹿じゃないと断言する。どんな根拠があってそう言えるんだよ…………てかいつの間に人化してんだよ、ヒア。
俺はそういった目で後ろから俺の首に抱き着いているヒアを見やる。
するとヒアはその意味を理解したのか説明する。
「……ヒア、もう自由に獣化できる。だから平気」
「なるほど、まあ俺弱いからヒアが守ってくれよ」
「……いいよ」
このときいつも無表情のヒアがわずかに笑みを浮かべた気がした。
しかし俺が、え? と思っている間にいつもの無表情のヒアに戻ってしまった。
…………これはあれか? 俗に言うクールな人がたまに見せるデレ。クーデレか?!
いや、待てよ。それならばまだまだこれだと足りないな。もっと胸にズッキュン! と来るはずだ。
つまり、今ヒアはクーデレに目覚めようとしている! うぉぉおお!!! なんということだ! 俺の周りの女の子はなぜこうにも俺の心を射止めるような行動ばかり起こしてくれるのだ! いや大歓迎だけどね! 大歓迎だけどね! 大事なことなので二回言いました。
などと、俺が勝手に盛り上がっているとスッとヒアが離れた。え? もう終わりですか?
俺が名残惜しそうに(ついでにギックリ腰で痛そうに)後ろへ視線を移すと、
「……今のユウタなんか嫌だ」
「グフゥ!」
腰に響きました。これは大ダメージです。ヒアに抱きつかれていたときもかなりのダメージだったけど、今回は精神と身体両方やられた。思わず声も出ちまったぜ。
まあ、そんな感じでじゃれあっていると何かがズルズルと引きづられてくる音が耳に入った。
俺は努めて真面目な顔を作り、ヒアに尋ねた。
「ヒア、この音はなんだ?」
「……………………」
「……ヒア?」
「……………………」
ヒアは俺が尋ねても返事をしてくれない。聞こえてないのかな? と思いもう一度呼んでみるがやはり返事はない。ただの屍のようだ。
冗談はほどほどにして、俺はちょっとビビりながら音のするほうを見つめていた。ヒアが答えてくれないもん。自分で見るしかないじゃん。
やがてその音の正体が露になった。
「……お前らか……」
視線の先には一mちょいある猪を頑張って引きずる五匹の子猫たちの姿があった。
俺たちのために一生懸命猪を倒してここまで引きずってきてくれたんだな…………あれ? なんか目から熱い汁が……
俺が感動して涙目になっていると近くまで引きずってきた子猫たちが猪をその場へ置いて俺の元へ駆け寄ってきた。
俺はなんとか座っているものの、手すらも動かせない。首は動いた? 気合だそんなもん。ついでに言うともうそんな気力は残ってない。
こうやって健気に俺に尽くしてくれるのはうれしいが、俺はなにも返せないんだよなぁ。少し心苦しいよ。
そんなことを思っていても子猫たちは俺の体に頭をこすり付けたりしてゴロゴロと喉を鳴らしている。あ、そういえばこいつら猫じゃないんだよな? ヒアと同じ黒豹だったっけ? 耳とか丸いし。行動とか完全に猫だから忘れてたわ。
しばらく俺が子猫(面倒なのでこのままいくわ)に遊ばれていると飯が出来た。ラルルが見事な手際で猪を捌いて木の棒を削ったと思われる串で刺して焚き火で焼いていた。やっぱドワーフということもあって手先が器用だな。特に串とか即席とは思えんほど綺麗だ。売れるんじゃね?
とまあ、それは置いといて(置いとくの多い気が……)なかなか旨そうな匂いがしてきたので食べることにする。火も通っているだろ。
そうと決まればさっそ…………あ。
俺はここで自分の状態に気づいた。
俺、ギックリ腰で動けねぇじゃん…………
クソッ、こんな旨そうな肉が目の前にあるというのに?
程よく焼けて肉汁が溢れる表面は焚き火に照らされて腹の底から食欲がわきあがる。
あれを口に入れたら肉汁が口いっぱいに広がるんだろうなぁ。そんで熱いからたこ焼きみたいにはふはふ言いながら食べるんだよ。
…………無駄に想像力豊かなのが災いした。こんなに想像してるのに食えないとはなんたる拷問か。
どうすれば…………
ピコーン!
ここで俺はあることを思いついた。
ぐふふ、これなら肉も食べれるし、ウハウハ出来るし最高だな。
ということで俺は焚き火の向こうにいるであろうミリーたちを見やる。
「お~い、ミリーちょっと俺に食べさ、せ……て?」
俺がミリーを見ようと前を見たが、そこにミリーの姿はなかった。いったいどこに?
「ここにいるよ~。そうだよね、動けないから食べられないよね。私が食べさせてあげる」
そう思ったら横から声が聞こえてきた。
横を向くのはまだ痛いため、眼球だけで横を見る。
そこには肉汁滴る串を持つミリーの笑顔があった。よっしゃ! これで俺も食べれるぜ! しかも俺がお願いしようと思ってた『あーん』を自らやってくれるとは! やばい、俺キテるかも。
最初は自分はミリーの飼い主だと思ってたけど、こんなにストレートな好意を寄せられちゃもう答えるしかないわな。
俺は出来るだけ顔に出さないように心の中でデヘヘと笑うと、
「おう、頼むわ」
と、言って口を開けた。
「はい、あ~ん」
ミリーは前世を知っているためか、これがなにを意味するのか分かっていた。まあ、恥ずかしさはあるようでチラリと見えたミリーの顔は赤く染まっていた。焚き火のせいかもしれんがな。俺は自分の都合のいいように解釈するぜ!
あと少しで口に入る、というところで邪魔が入った。
「あー! ミリーちゃんだけずるいです! あちしがやるのです!」
視界の端でコックリコックリと船をこいでいたラルルがふと俺とミリーを視界におさめると騒ぎ出した。子供みたいにうるさいなぁ。あ、子供か。なら許す。
ラルルは一気に覚醒して俺の正面へと陣取る。ちなみに俺はずっと胡坐をかいている。意外に楽なんだよ。まあ、その姿勢を少しでも崩せば激痛だけど。
ラルルは後ろの焚き火のところから一本串をガシッと掴んで引き抜くと俺のほうを向いた。
「お兄ちゃんにはあちしが食べさせてあげるのです!」
そう言ってまさにひまわりのような笑顔を見せる。いっぺんの曇りもない心を持っているからこそ出来る笑顔だな。そんな笑顔俺は五歳のときに出来なくなった……
「ダメ! ラルルちゃんはユウタに高い高いしてもらったじゃん!」
「それは違うのです! 別にうれしくなんてなかったのです! だからいいのです!」
「ダメったらダメ! 私が食べさせるの!」
「あちしです!」
「……ヒア、やる」
二人が言い争っているところにヒア参戦! ミリーの反対側に陣取り、更には手に串まで持っている。準備万端だな。それより、ややこしくなるからやめとけって……
てかとりあえず食いたいなぁ。そう思いながらボーっとしていると誰かが無理矢理話を打ち切った。
「もういいよ! 勝手にやる! はい、ユウタあ~ん」
「だめです!」
「……させない」
ミリーが言い争いが無駄だと分かったのか無理矢理俺に食わせようとする。
俺としてはようやくだったのでもちろん口を開ける。少々ムード的なのが台無しだが嬉しいものは嬉しい。ありがたくいただこう。
そう思っていた。しかし、そう簡単にやらせてくれないのが他の二人。
串が俺の口に入る直前でミリーは二人に手を掴まれる。
すると当然串は狙いを外す。外れた先は…………
「アチャァァアアア!!!! 鼻が! 鼻が火の海に!」
口から上にそれた鼻の穴へとまっしぐら。例えがおかしいが、鼻の穴がすごいことになった。
しかし、俺の絶叫は聞こえていないのか言い争いは続行させられる。
俺は当然抗議しようと声を上げようとする。
「おい! お前らいいかげ…………」
「あちしが一番なのです! お兄ちゃん口を開けてなのです!」
「ダメ!」
「……させない」
「アチャチャチャチャチャチャ!!!!!!! 唇! ちょっと肉汁入って旨いけど唇がぁぁぁあああああ!!!!!!!!」
俺の抗議の声はラルルの叫び声に中断させられ、口を開けさせられる。
そしてまたも他の二人の妨害。今度は唇へ熱々の串はいざなわれた。しかもラルルは手を掴まれても押し込もうとするのでグリグリと動き回る。当然被害は拡大する。
こりゃあ明日はタラコ唇確定だな。…………ヒアはやらないよね?
痛みでパニクり、怒りよりも明日の心配をしていると、残りの人物が頭に浮かんだ。
こういうときはお約束と言った形で絶対くるよね? いや、でもそれは漫画とか小説での話であって現実ではそうそうおこらな…………
「……口開けて」
「させません!」
「ダメです!」
「アチョチョチョチョチョ!!!!!! クソゥ! 結局かよ!」
気づいたらヒアの持つ串が目の前にあり、当然のごとく他の二人に邪魔されお約束を守りやがった。いいって言ったのに…………
そんな感じでどんちゃん騒ぎをしながら俺らは獣化したヒアに寄り添って寝たのであった。この世界に来て初めての就寝。なんだかんだで疲れていたのか俺は泥のように深い深い眠りについたのだった。
そういえばここって危険な森の奥深くなんだよね? 俺ら明日生きてるかな?
大wwwwww暴wwwww走wwwwwwwww
筆が進む、進むww
自分勝手に好きなように書いていたらガンガン進んでいますww
てか気づいたんですけど、今回の21話でようやく異世界に来てからの一日目が終わりましたねwwなげ~な、おいw
んで一時間後にもう1話。今日の最後です(最終話っていう意味じゃないよ)




