20話「あいつがやってくる…………」
今日三話目っス!よろしくっス!
「そんなの知らなかったですよ~」
ヒアの人化についてラルルに話すと、ラルルは秘密にされていることに不満の声を上げた。
ちなみに今ヒアは俺の隣で手をつないで立っている。ヒアさん意外に大胆なんですね。いきなり恋人つなぎとか……いや、うれしいですけどね。うれしいですけどね! 大事なことなので二回言いました。
服装は、俺のTシャツの代わりにこの世界の服で少しダボッとしたもの。色は少し汚れた白色だ。ダボッとしていてもパッツンパッツンの二つのお山。眼福眼福。ズボンもまたピチッとしたものでこちらは若干青っぽい。ジーパン? スレンダーな体型によく似合ってる。あとちょっとエロい。
え? 下着は、だって? ご想像にお任せしやす。ぐへへ。
そんなヒアがボソリと呟いた。
「……別に聞かれなかった」
「それはそうですけどぉ……」
ラルルはまだ自分だけに隠し事をされてたことが許せないようだ。
う~ん、そこまで機嫌が悪いって感じじゃあないんだけどなぁ。でもこのままだとなんとなくいやだしなぁ。
俺は顎に手を添えて考える。ザ・考える人! ……あ、はい。余計なこと考えるなってことですね。わかりました。
少し真面目に考えて俺は一つの結論を出した。
ラルルって子供っぽいしこれならいけるんじゃね? みたいな。
ということで早速実行してみることにした。
「ラルル」
「なんですか?」
ラルルの返事はどこか棘のある言い方だった。でもそこまで拒絶はしていないって感じ。器用な怒り方するなぁ。
と、まあそれはおいといて、俺はラルルの正面に立つと少ししゃがんでラルルの脇の下を両手でガシッと掴んだ。
「えっ?!」
「ほ~っら!」
俺は渾身の力でラルルを持ち上げようとする。
しかし、さすがにラルルは小さいといっても百二十cmある。正直重い。
ということで、俺はラルルを俺の胸元まで引き寄せた。
こうすることで手を伸ばしたまま上に上げるより持ち上げやすくなるのだ!
「ふぇえ!?」
「高い高~い!」
出来た。俺の渾身の『高い高い』。
子供はみんな大好き。どんなに無表情でも楽しそうにしてくれる!
……まあ、俺の場合人間の子供には見られたそばから石を投げられたりしていい思い出ないけど……
あ、わかってると思うけどさっきの、子供はみんな大好き、ってのは動物に限っての話ね。みんな俺がやると喜んでくれるんだよ。
ラルルは俺に脇の下を掴まれ、持ち上げられていることに困惑していたが、徐々に顔を赤らめていった。あれ? 喜ばないの? しかも顔を赤らめるってことは……最近の子供はませてやがりますね。
「ほ~ら、高い高~い」
俺がそう言って微笑んでやるとラルルは一瞬ニコッと屈指のない笑みを浮かべた。うんうん、やっぱラルルは笑顔が一番可愛いよ。
が、それも一瞬経つと無理矢理笑みを引っ込めてプイッと顔を背けた。
「こ、こんなのでご機嫌とろうなんて無駄です!」
「………………」
俺は固まった。
それはもうピタッと。はたから見れば俺だけ時が止まったように見えただろう。それくらい微動だにしない。
そして俺の目は見開かれ、視線はプイッと背けられたラルルの横顔に向けられていた。
ラルルの顔はりんごのように赤くなっており、その口元は笑みを抑えようとヒクヒクしている。まあ、結局抑えきれていませんがね。
と、まあこんな感じの新しいラルルをじっくり観察したわけで。結論でました。
(ツンデレキタコレ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
いやぁ、これはきたでしょ! 俺が固まるのも無理ないわ。
そんでもって前言撤回ね。このツンってしてるけどデレが隠しきれてない顔…………最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
思わず頬が緩んでにへらとなってしまう。これが先ほどまで命を狙われていたやつらの顔かな? ま、仕方ないよね俺だもの。
……まだまだもっともっとラルルのツンってしてるけどデレを隠しきれてない顔を堪能したいけど腕が限界です。
ということで、
「腕が限界だわ……降ろすぞぉ」
「う、うん。大丈夫?」
震える声で俺がそう言うとラルルは心配して声をかけてきてくれた。ふふ、作戦通りだ。
しかし、ここで予想外の出来事が起きようとしていた!
来てる…………ゆっくりと、しかし確実に来ている…………
数々の人々を苦しめてきた悪魔が…………
いつなんどきでもお前を狙っているぞ、とでも言うようにいつも突然訪れるあの悪魔が…………
その悪魔は数多の人々を動けなくしてきた。
あるときは荷物の運搬中に。あるときはしゃがんだときに。あるときは中腰で作業をしているときに!
そうか、俺もとうとうその悪魔に捕まっちまったか。へへっ、歳はとりたくねぇな。
「え~っと、お兄ちゃんあちしを降ろした格好のままなんで動かないのですか?」
「………………腰、やっちまった」
俺は…………この歳でギックリ腰になってしまった。
「それじゃあ、しゅっぱ~つ!」
ミリーの元気な声でヒアは動き出す。
腰をやっちゃった俺たちはそれを治すためある薬草を探しに行くことになった。
その薬草は、水洗いしてむしゃむしゃ食べると体のあらゆる状態がよくなるそうだ。いわゆる万能薬みたいな? ……それをギックリ腰に使うって贅沢だな、おい。
あの状態から動けない俺はラルルとミリーに持ち上げられてヒアの背中にうつ伏せで乗せられた。ドスンって落とされたときは死ぬかと思った…………
ちなみに家はほとんど出来てない状態で置いてきた。あれなら最悪壊されても作り直せばいいだろう。別に俺が作ってるわけじゃないし。
そして今俺たちはスススッと動くヒアの上でのんびりしている。ヒアのね、動きがね、とても優しいの。ほとんど振動が伝わらないの。まるで忍者のようなの。
軽くアホになってたが、おいといて。ヒアは木の根や、段差があるにもかかわらずほとんど振動を俺に伝えずに移動している。本当にすごいなぁ。
「~~~~~!!!!」
じっとしていてもたまに激痛が襲う。あぁ、いてぇ…………
俺が苦悶の表情を浮かべていると大活躍した子猫たちが心配そうに鳴きながら俺の顔の周りに集まってきた。
そして一匹がペロッと俺の頬を舐めた。大丈夫? と聞いてきているようだ。
それに続いて残りの四匹も次々にペロペロと舐め始める。あ~、癒されるわ~。やっぱり子猫は拾っといて正解だったな。
「………………」
俺はここであの商隊を思い出した。
ヒアに蹂躙されて一人も生き残らなかった商人たち。
…………正直言ってちょっと罪悪感がある。
人間なんていつも俺を見下して、蔑んできた。
けど、やっぱり同種だからかな。ちょっぴり可哀想だと思った。
…………まあ、ちょっとだけどね。
てかまた話逸れた。俺の悪いところだ。直さんけど。
さて、今どこに向かってるんだろう? ラルルがなにやら指示を出しているからちゃんと場所とかは知ってるのだろう。
だが、心配というか、場所がわからないと不安だ。俺は子猫たちにラルルを呼んできてもらうことにした。
「ちょっと、いいか? ラルルを、呼んできて……」
なんか死ぬ前の最後の言葉風の言い方になっちゃったけどいっか。子猫たちにはわからないだろうし。
そんな俺の頼みを子猫たちは一瞬悲しそうな目をしたが、決心したような目になると力強く頷いた。いや、別にまだ死なないよ?
子猫たちは我先にとラルルの元へ駆ける。ここで、決して体を一瞬でも宙に浮かせないように走るところに小さくても強いんだと感じる。
それにしても急ぎ方が尋常じゃないなぁ。なんか、俺がお願いされたんだ! とか、いいや俺に頼んだんだよ! みたいな雰囲気を感じる。微笑ましいな。決して死にそうだから急いでるとかじゃないよね? 俺ピンピンしてるよ?
しばらくしてラルルが四つんばいのまま近寄ってきた。高速で動くヒアの背中を一瞬でも離れると置いていかれるのだ。ちなみに俺みたいに伏せていれば毛皮のおかげで結構平気だ。
「どうしたのですか?」
ラルルが俺の頭の上から声を投げかける。どうやら機嫌はすっかりよくなったようだ。ま、もともとそんなに怒ってなかったしね。
ということで俺は不安を取り除くため質問をした。
「行き先は、どこなんだ?」
「『ウェイクサ』があるところまでです!」
「いや、そこが、どこか」
「多分あっちです!」
「いや、多分とかじゃなくて正確に」
「じゃあ、あっちです!」
「いや…………」
俺が質問をすればうぇい、なんとかのところまでと言い、そこの具体的な場所を聞けば多分と言いながら方向を指差し、正確にお願い、と言えば、じゃあ、と言う。
…………まさかね。適当に森を彷徨ってるとかないよね?
俺はちょっと、いやかなりアホな子のラルルに直球で最後の質問をした。
「ラルルは、薬草のある場所を、知らないのか?」
「もちろんです!」
膝立ちになり、ない胸を張って堂々と言い放つラルル。
俺はあまりの威風堂々とした姿に、きっと知ってると聞き間違えたんだな、と思ったがやめた。現実逃避はやめておこう。現実は厳しいのだ。
こんなことで厳しいとか言うとはさすがゆとりだな。
って話逸れた。
本当ならここでラルルの脳天にチョップをお見舞いしてやりたいところだが、残念ながら俺の体は動いてくれない。クッ、力の解放を早めすぎたか…………中二病乙。
まあ、脳天チョップを食らわせても状況は変わらないので、俺はしょうがなくこの後の展開を大人しく待つことにした。
最近好き勝手やりすぎな気がwww
ま、俺が好きでやってるんでいいですがねww
次も一時間後に投稿です!
オネシャス!




