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2話「え? 人化?」

一応2話まで書いてたので・・・

 暖かい春の日差しのような優しい光を受けて俺は目覚めた。

 はっきりしない意識の中俺は上体を起こして周りを見渡す。

 森。

 そうここは森の中だった。

 林にしては木が多いし、森と林の区別なんてよくわからなかったので森と思った。

 だんだんと意識がはっきりとしていく。

 俺、トラックに轢かれて死んだはずじゃ……

 だが、現に俺は今ここで意識を持っている。

 俺は地面を掴んだ。

 ひんやりと冷たい土を手にとることが出来た。

 と、俺が視線を下に向けたときだった。

 

「え……?」


 隣に全裸の女の子が横たわっていた。

 いや、そこも驚いたのだがそれよりもすごいところがあった。

 

「猫耳……」


 頭の上に丸めの三角の形をした猫の耳と思わしき物があった。

 それに良く見ると尻尾まで生えている。

 これってコスプレ?

 いや、でもなんでこんなところに俺と二人で? しかもなぜ全裸?

 ハッ! これはあれか! ここで俺が手を出そうとすると木の影から怖いお兄さんたちが出てきて身ぐるみはがされるってやつか!

 とそこまで考えてアホなことに気がついた。

 ……って俺アホか。トラックに轢かれて死んだじゃん。

 意識が戻っても重体だったりするだろ。

 でもなら本当になんで俺はこんなところで動けているんだ?


「ぅうん」


 女の子が唸って目を覚ます。

 俺と同じように上体を起こして眠たそうに目をこする。 

 その仕草がとてつもなく可愛いのだが俺はある一点に目を奪われた。

 ダイナマイトボディ。

 もうそれしか表現できないだろう。

 あれはG級だぞ絶対。

 

「ニャにを見てるのニャ?」


 可愛い声が聞こえてきて俺は胸から視線を外す。

 桃色の突起が……まさかあれを現実で見ることになるとは……

 俺は思わず手を合わせて拝んでしまうところだったので声をかけられて本当に良かったと思う。

 俺は視線を上げて顔を見る。

 グハッ!

 やばいよ。マジで可愛いよ。

 まん丸とした目に、整った眉。薄い唇にほどよく肉のついた顔。

 鮮やかなブラウン色の髪を肩甲骨あたりまで垂らしている。

 この子は俺が今まで見てきた中で一番可愛いかもしれない。あ、俺碌に女の子見たことないんだっけ。

 と、俺は女の子の顔を凝視していることに気づいた。


「あ、ご、ごめん」


 なぜか謝って目を逸らす。

 女の子は喋らない。

 しばしの間沈黙の時間が過ぎていく。

 と、突然眠そうな顔から一転して、


「勇太ー!」


 女の子が俺の名前を叫びながら突っ込んできた。

 俺は突然腰に抱きつかれ、びっくりして倒れた。

 女の子は抱きつくのを止めて俺に馬乗りになる形になる。

 俺はずっと、え? と混乱していた。

 かろうじて俺は声を出せた。


「き、君は誰?」

「ニャ?!」


 記憶喪失みたいなセリフを言うと猫耳女の子は驚いた。いや、ニャって。ニャってどうよ。

 答え、悶える。

 じゃなくて、なんで向こうは驚いているんだ? まるで俺を知っているかのようだ…… 

 女の子は慌てた様子で俺に問い詰める。


「ほ、本当に覚えてないのかニャ?」

「ああ、俺はお前を知らない」

「ニャんと……」


 女の子はガックリと肩を落とす。それと一緒にブルンと揺れる双丘。

 女の子は諦めない、といった表情になるとまた喋りだす。


「ミリーニャ! 覚えてないのかニャ?」

「ミリーだと!」

「ニャ!?」


 俺が突然大声を上げて女の子はびっくりしてしまった。猫耳までビクッとした。 

 でも、すぐに嬉しそうにするとまた俺に抱きついてきた。いや、さっきから柔らかくてふにゅふにゅした物が俺のお腹に当たってるのですが……

 

「やっぱり覚えてるのニャ!」

「……お前本当にミリーなのか?」


 俺は一旦お腹に当たる感触を楽しむのを止めてミリーに聞く。

 だってミリーは猫だよ? なんで人化してるの? しかも超絶美少女になって!

 俺は今なぜここにいるのか、ここはどこなのか、という疑問を全てかなぐり捨ててミリーのみを見る。

 俺がすっごい、ミリーを見てるとミリーは照れたように、ニャ~、と鳴いた。

 

「そんニャに見つめないで欲しいニャ」

「ああ、ごめん」


 俺はすぐに視線を逸らすと、そんニャ簡単に?! とミリーが言ってくる。じゃあどうすればいいんだよ。

 俺は未だにミリーが全裸なのを思いだして着ていたコートをかぶせた。

 まだ見たかったけど……オホン、ずっと裸とか恥ずかしいだろ。

 俺がコートをかけて上げるとミリーは頭にクエスチョンマークを出したように首をかしげる。


「ニャんで服を着せるのニャ? 見たいのにニャんで?」


 と言ってせっかくかけて上げたコートの前を開く。

 さっきからずっと座っているのでかろうじて下の大事なところは見えていないが上が丸見えだ。

 俺は慌ててミリーの手を掴み、コートを閉じる。ついでに簡単にとれないようボタンもかける。

 ミリーはまた首をかしげていた。が、しばらくすると今度はムッとした顔になった。


「これニャんだか動きづらいニャ」

「我慢しなさい」


 俺はまるで親のようにピシャリと言った。

 渋々と言った風にミリーはコートを脱ぐのを諦めた。

 と、そこで突然ミリーが、あ! と声を出した。


「どうした?」


 俺はごく普通の返事をする。

 だが、ミリーから返ってきた言葉はアホそのものだった。


「勇太と喋れているニャ! ニャんでニャ?」

「…………奇跡じゃね?」


 死んだはずなのに生きている。全く知らない土地にいる。全裸の女の子がいた。

 これらのことで俺の頭はすでにオーバーヒートしていた。

 だからもう考えることを止めて全部奇跡で済ませた。

 

グギュルルル~


 突然腹の虫がなる。

 虫が鳴ったのはミリーの方からだ。

 ミリーはお腹を押さえてグダ~と俺にもたれかかる。

 俺の方に頭を乗せてスリスリしてくる。猫の時、俺が寝転がってるとよくやられたことだ。

 肩に頭をスリスリしてそのまま丸くなって寝る。

 

「スー……スー……」


 あらら、思った通りミリーは静かな寝息をたてて寝てしまった。

 おい、腹減ってるんじゃないのかよ。

 まあ、俺も頭が容量オーバーでオーバーヒートしてたからちょうどいい。頭を冷やそう。

 俺はミリーを起こさないように冷静に今の状況を確認し始める。


 え~っと、まずは俺が死んだのか、についてだ。

 記憶では確実に死んだよな。あんなトラックに突っ込まれてこんな五体満足で生きてるほうがおかしい。しかも森の中で。

 う~む、なぜだ……?

 と、そこで俺は閃いた。

 『異世界トリップ』じゃね?

 つい最近みたあの小説でも俺と同じような感じで死んで気づいたら森の中だったし。

 あれ? でもそうなると俺は神様に会っていないな。

 ま、そこらへんはいいだろう。神様が呼んだならまた今度にでも指令的なのが来るだろう。

 

 さて、次だ。

 次はミリーについてだな。

 正直わけわかめ。どゆこと?

 まあ、こいつも俺に巻き込まれてトラックの衝撃で死んじゃったからな。さっきと同じ考えなら一緒にトリップしたって納得できる。

 でもなぜに人型? しかも超絶美少女じゃねぇか。

 改めて見ると良く分かる。

 見た目は俺と同じくらいの年齢っぽい。今は子供のように寝ている。だが、そんな子供っぽいミリーでも体は大人だ。わずかに開いた唇とか艶かしくてなんかエロイ。

 あー! いかん! 煩悩立ち去れ! ……またオーバーヒートするところだった。

 まあ、ミリーについては保留だな。とりあえずミリーはミリーってことで。どうせ考えても答えは出ないだろうし。

 

 さて、続いては現在地とかだな。

 ここはどんな世界なんだ? 出来ればあの小説と同じ剣と魔法のファンタジーがいいな~。そうとなると魔物とかいて、冒険者ギルドとかもあるのだろうか?

 うおぉぉお! 妄想がとまらねぇ!

 ……落ち着け俺。またオーバーヒートするぞ。

 よし、落ち着いたところで話しを戻すか。

 と、いったところでここがどことか全く分からないわけだが。

 うん、これは置いとこう。どっかの村かなにかで……村!

 そうだ村だ! とにかく今は森を出て村とか人がいるところを探そう!

 よし、そうと決まれば早速行動だ!

 そう決めた俺はミリーを起こすために肩を叩こうとした。

 が、その時ミリーの寝言が耳に入ってきた。


「勇太~……えへへ、撫でてくれた~……スー……」

「…………」


 ま、ミリーが起きてからでもいいか。

 俺がミリーの頭を撫でるとミリーは、えへへ、と顔をにやけさせる。

 猫耳もペタンと伏せて気持ちよさそうだ。

 俺はミリーが起きるまで空を見上げて物思いにふけていた。













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