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19話「あるところでは」

 説明回?

 そして短め。

そんでもって今日二話目です。

 真夜中。

 マスルル王国王城のある一室で秘密裏に話し合いが行われていた。

 円卓を囲むように配置されている椅子の対極に座る二人の影。

 円卓の真ん中にある蝋燭のようなものがユラユラと揺れ、二人の影を作っている。

 光は弱く、二人の口元までしか認識できない。

 一方の者が口を開いた。


「今日何かがあったらしいな」

「ええ、なんでも怪しいやつがきたそうで」


 二人は男だ。声で男だとわかる。

 話を切り出したほうは低く、野太く、思わず冷や汗が出るような威厳のある声だ。

 もう一人の男は、切り出したほうと比べると高めで、楽天家を思わせるような口ぶりだ。


「だが、門番の兵士は詳しいことはなにも聞いていなかったようだな」

「ええ、見た瞬間に、こいつは危ない、って思ったらしいそうですよ」

「おかしくないか? いくら見た目が盗賊などのように悪いとして、何も聞かずに追い返すとは。しかもその場で殺そうとしたそうじゃないか」

「らしいですね~。でも、そう思っちゃったんだからしょうがないというか」


 ここで威厳のある声が黙った。何かを考えているようだ。

 威厳のある声を邪魔しないように楽天家の声は黙って待つ。

 やがて話し合いは再開される。


「……俺はその様子に心当たりがある」

「と、おっしゃいますと?」


 ここで威厳のある声は一呼吸おいた。

 そして、重々しい口調で、


「魔人だ」


 と言った。


「魔人、ですかい?」

「ああ、そうだ。今から千年ほど前だ。この世界には魔族という種族があった」

「千年とは大分昔ですな。で、魔族ってのは今の魔物のことですかい?」

「少し違うな。魔族というのは知性を持つ。魔物は知性がない」

「確かにそうですねぇ。では魔人というのは知性があったということで?」

「そうだ」

「で、少し違うというのは?」

「魔人というのは魔物を配下にし、わずかに知性を与える。だから魔物は魔族であるやつもいるが、そうでないやつもいる」

「へぇ、それで魔人が今回となんの関係が?」

「魔人というのは強さなど関係なく人間を恐怖させる。いつもどんな悪党に見えても質問をする門番が門前払いをし、増援を呼ぶくらいには、な」


 ここで話が一旦途切れる。

 しばしの沈黙。光がユラユラと揺れ、ピタッと止まる。


「ということは門前払いを受けたやつの誰かが魔人だと」

「いや、俺はもっと恐ろしい可能性を見つけてしまった」

「というと?」

「そやつらは『コクヒョウ』に乗っていたらしいな」

「ええ、最初は驚いたよ。でも今の話を聞いたら別にそこまでだな」

「そうだろう。そしてコクヒョウの上には二人いたらしいな。男と猫の女獣人が」

「はい、その通りですよ」


 またも威厳のある声の持ち主は黙りこむ。自分の心を落ち着かせるように。

 そして威厳のある声は更に重くさせて声を発した。


「……俺はその男が『魔王』に思えて仕方ないのだ」

「『魔王』……ですかい?」

「ああ、魔を統べる王だ」

「……なんでそうお思いに?」


 楽天家の声に真剣みが帯びてきた。


「魔王というのは魔人を生み出すのだ。魔王と触れ合い、魔王に忠誠を誓った魔物に知性を、そして人となる権利(・・・・・・)を与えるのだ」

「人となる、権利……ですかい」

「そもそも魔人は千年前に勇者によって魔王とともに滅ぼされた。魔物は動物が突然変異のようなもので魔力を持ち、生まれる。しかし、どれだけ魔力を持っていようと魔人にはなれないのだ」

「つまり、魔人は自然に生まれることはないと」

「今まではそうだった。隠れて生き延びた魔人、という可能性もあるがそれは限りなくゼロに等しいだろう。勇者の仲間には探知の天才がおったからな。魔人ほどの強さならば半径数百km以内ならわかるほどに、な」

「なら魔王も自然発生しないのでは?」

「いや、それはありえる。千年前、魔王がどこからともなく現れて魔人を生んでいったとされているからな」

「それで、あの男は魔王だと」

「ああ、おそらく猫の女獣人は魔人、コクヒョウは魔人の配下だろう」

「なる、ほど…………」


 長い説明を終え、威厳のある声は、ふぅ、と息をついた。

 楽天家の声はしばらく口を紡ぎ、思考していた。

 やがて考えがまとまったのか口を開いた。


「……なら、なぜわざわざこちらにきたんですかね? 殺されるとわかっているのに」

「それなのだ。それがわからん。実はあのあとコクヒョウの子供を手に入れた商人がここに来る途中で襲われて全滅していた。コクヒョウの子供はもちろんいない。コクヒョウの子供は厳重に『魔法鉄』で作られた檻に入れてあったのだが、一面だけなにか鋭利なもので斬られたかのようなあとがあった」

「おそらく、あのコクヒョウだと」

「ああ。だが、それでもやはり門の前まで来た意味がわからん。目をひきつけて、というのなら逆効果だ」


 二人は思考に陥ったのか、しばらく沈黙が続く。

 かなりの時間そうしていた。

 不意に威厳のある声が声を発した。


「とにかく、不安物質は排除しなければな」

「ですね。コクヒョウがいるということで国一の魔物使いの『ブランドベアー』に向かってもらいますよ」

「ああ、確実に頼むぞ」

「もちろんですとも」


 光に照らされた口元には三日月形の残虐な笑みが浮かんでいた。






















 また一時間後に次話を投稿します

 よろしくっス!

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