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11話「服屋さん」

「ほぉ~」


 俺は町の大通りと思われる道を歩いている。

 ここは崖から見た感じ、英語のCの形で高い壁に囲まれている。そこからまっすぐ反対の突き当たりまで続いているのが今俺たちの歩いている大通りだ。まあ、落石の危険からか、壁際には建物がないけど。

 そんで、俺らはちょうど入り口の反対側から侵入したことになる。


「見て見て! すっごいきれいだね~!」

「おお、あれって大剣か!? なんか異世界って感じがするな~」


 後ろのミリーが俺に体を密着させて耳元で叫ぶためちょっとうるさい。

 こんなに叫ぶなんてどんなもんが置いてあるんだ?と思って見てみると刃渡り二m弱、幅四十cmほどと思われる大剣があった。

 やっぱり本物の剣を見ると異世界って感じがするよな。


 ……それよりも、周りを見て気づいたんだか……


「ちょっと服屋に行こうか……」


 道を行き交う人々の視線が痛い。確かに上裸の俺にとびきり可愛い女の子が抱きついているんだ。いろんな目で見られるわな。

 俺は縮こまりながら服屋を目指した。ミリーはずっと後ろではしゃいでいたが……頼むから大人しくしててくれ。


 そういえば、ここの人たちはあまり嫌な顔をしないな。男たちの恨めしそうな顔とかはあるけど、前みたいに問答無用で最低評価を受けてはなさそうだ。現に女性からは普通に変なものを見る目で見られてる。あぁん!もっと見て!

 ここなら普通に生活出来そうなんだけど、ちょっと聞いて見るか。


「なあ、ここなら別に住めそうじゃないか?」


 俺が顔だけ後ろを向いてミリーに問うと、


「やだ! あの森で勇太と暮らすんだもん!」

「ちょ、声がでか……」


 俺の制止も間に合わず、周りからは盛大な舌打ちとますます俺を見る目が険しくなったように思う。はぁはぁ。


 と、そこでヒアが鳴いた。

 前を見るといつの間にか服屋っぽいところに来ていた。


「ヒアがね、『イチャイチャしてないで早く服を買って来て』だって。別にイチャイチャしててもいいじゃん」


 あらら、ヒアさんちょっとご立腹らしいです。鼻息荒くなってるし。

 俺はヒアから飛び降りて服屋へと向かった。ミリーもついて来ている。ちなみに子猫たちは、大人しくヒアの背の上で待っている。人がたくさんいるからか、あまりじゃれたりしてこなかったな。


 服屋は片開きのドアで、上にはベルっぽいものまでついている。さすがドワーフの国だ。技術力パないっすね。

 まあ、さすがに金属製ではないけど。それにドアノブとかじゃなくて、なんか取っ手みたいのがついているだけだし。あれ? そこまで技術力高くないのか?


 とまあ、久しぶりのドアを見て長々と感想を述べていたのだが、ミリーがそわそわしだしたので中に入ることにする。

 カランコロン、と心地良い音を鳴らしながら扉を開く。店内はそこそこ広く、奥にカウンター、左右に服と言った感じだ。

 なんていうかな、日本(ていうか地球)と違うな。服の数も少ないし、並べ方も適当だ。売れてるのか心配だよ。

 それにやけに子供用の服が多い気がす…………あ、ドワーフってみんな背が小さいんだったな。ヒアに乗るとかなり高くなるからよく分からなかったわ。


 と、俺が店内を見渡していると店の奥から店員らしき人が出てきた。

 立派な髭を蓄え、小さいながらも屈強そうな体つきをした男。まさに絵に書いたようなドワーフだな。

 ま、男だしそんなまじまじとは見ない。女(美人・美少女に限る)だったら穴があくほど見つめるけど。


「おう、あんちゃんどうしたんだ?」


 男は俺を見るなり目を見開き驚いたように言う。


「いや、ちょっと急に上半身裸で外を歩きたくなったものですから」

「………………」

「……冗談ですよ」


 ジョークが通じないやつめ。ちょっとおどけて言ってみたらすっげぇ変なものを見る目で見られた。男にそんな目で見られたくはない!

 冗談だと言うと男は、ガハハと盛大に笑った。あんた武器屋の方が向いていやせんか?


「ま、それはおいといて、どうしたんだ? 服が欲しいんだろ?」

「あ、はい」


 一息ついたところで男が聞いて来たので返事をする。急に言われるとどもっちゃうな。前世? ではろくに人と話さなかったからか……

 まあ、それはおいといて(無駄なこと考えすぎ自重)、服を選ぶか。

 俺は店内を見渡す。うーん、やっぱ服が少ないな。布とか貴重だから少ないのか?ちょっと聞いて見るか。


「すいません、なんでこんなに服って少ないんですか?」


 そう聞くと男は、なにを言っているんだ? と言った顔をしたあと答えた。


「なんでって、そりゃあ基本は依頼を受けてから作るからに決まってるからだろ。そこに並べているのは急いでいる人用だ」


 へぇ~、基本はオーダーメイドなんだな。てかもしかして服って結構贅沢な品…………あ!


「おいおい、どうしたあんちゃん、家に帰った瞬間に嫁にビンタされたような顔をして」


 おいおい、俺は馬鹿やろうだな。なにをやってんだよ。

 ここまで来てやっと俺は重大なミスに気づいた。

 なんでもっと早く気づかなかったんだ、当たり前のことなのに。

 ここに住めばいいんじゃね?とか言ってた俺を殴りたい。殴ってガチムチレスラーたちがひしめくリングの中に放り込みたい。

 俺はこの世界に来て常識すら忘れてしまったのか。

 俺は……俺は…………















「………………お金持っていません」


 普通に疑問でしたよね。


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