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1話「クリスマスでの出来事」

息抜きに書いて見ました(*^-^)


 頃は一二月。

 かじかむような寒さの中男と女のカップルと思わしき者たちが腕を組み、談笑しながら歩いている。

 町を歩けばカップル。

 この時期ほど一人身に辛い時期はないだろう。

 よってほとんどの一人身の者は家に閉じこもる。

 つまり、町に見えるのはカップルだらけとなる。

 だが、その中を歩く一人の男の子がいた。








「リア充爆発しろ……」


 凍えるような寒さに身を震わせながら、俺は雪が積もっている道をシャリ、シャリと踏みしめながら歩く。

 今は雪が止んでいるけど十分に寒い。

 それに今日はクリスマス。しかも夜と言うことで俺以外はカップルしかいない。

 俺は赤いマフラーに顔を鼻まで埋めて恨めしそうな目でそいつらを見る。

 と、その時俺の着ているコートの中がもぞもぞと動いた。


「ミャー」


 俺は寒いがコートの一番上のボタンを外す。

 すると綺麗なブラウン色の毛を生やした猫が出てきた。

 猫は俺の方を向いて可愛らしく鳴くと俺の胸に頭をこすり付けてくる。


「あ~、もう! 可愛いな~ミリー」


 俺はコートの上からミリーを抱きしめ、頭を撫でる。

 ミリーは気持ちよさそうな顔をしてされるがままになっている。

 俺はひとしきりミリーを撫でた後、もうちょい我慢しててな、と言ってもう一度コートの中に入れた。

 ミリーは俺のお腹の前あたりで丸くなっている。湯たんぽのように暖かく、心の安らぎも相次いで連れて来て良かったと思った。

 そして俺は歩きだす。

 俺が進む道には人っ子一人いない。

 いや、さっきまでいたのだが俺に気づいた人は俺の進行上からどく。


「本当になんで俺ってこんなに嫌われているんだ?」


 俺は一人でそうごちる。

 俺はなぜか小さい頃から人に好かれたことがない。高校生の今もだ。

 一番ショックだったのが小学一年生だったっけ?


 友達一〇○人出来るかな? などと思って自己紹介をしたんだが、返ってきたのは罵倒の嵐。

 さっさと帰れ! こっち来るな! 私たちを見ないで!

 俺は泣きそうになりながらも教師に助けを求めるべく顔を向けた。

 だが、教師は俺を蔑んだ視線を送るばかりで何もする気配はない。


 あ、思いだしてたら涙出てきた。

 俺は頬を伝う一筋の滴を指で拭う。

 そうだ、ポジティブなことを考えよう。


 俺は小さい頃から動物によく好かれた。

 動物園に行った時なんか寝てばかりのライオンが俺の前まで来てゴロンと寝転がったのだ。

 飼育員さんも驚いていたな。


 …………うん、よし。立ち直った。

 俺は歩き続ける。

 向かう場所へと行くため無言で歩き続ける。

 途中視界の悪い十字路があり、信号が赤になっていた。

 俺は横断歩道の手前で立ち止まる。

 う~、寒い。

 ちょうどしんしんとした寒さになってきたと思ったら雪が降ってきた。

 ホワイトクリスマス、か。

 俺はちょっぴり悲しくなって俯いた。

 が、すぐに顔を勢いよく上げた。

 そうだ、俺はクリスマスなどと言う男女の一対一の付き合いなどはしない! 俺の夢はビッグにハーレムだ!

 俺はたまたまこの前手にとった小説を読んで心を打たれた。

 たまたま死んで、たまたま神に会って、たまたま綺麗な女性がいて、たまたまもらったチート能力でかっこよく危機を救って、たまたま惚れるという。

 しかもそこは異世界だという。剣と魔法のファンタジー!

 異世界、チート、ハーレム。この三つが揃うなんて最高すぎる。

 俺はそんな世界に憧れていた。

 でもそんな世界あるわけがない。あったとしても俺が選ばれることはないだろう。そう思っている。

 そう思うのだけれど……


「やっぱ夢だよな~」


 そこで信号が青に変わった。

 俺は、行きたいな~、などと呟きながら横断歩道を渡ろうとする。

 

「シャー!」


 その時ミリーが叫んだ。

 俺は、どうした? と言いながらも歩みを止めない。

 と、なんとなしに横を見て気づいた。

 大きなトラックが来ていた。

 運転手の姿が見えなかった。多分居眠りでハンドルに突っ伏しているのだろう。

 俺は逃げなきゃ! と思うよりもまずミリーを抱きかかえた。

 こいつは守らないと……

 と、俺が丸くなったところでトラックは俺に突っ込んできた。

 そこまで重くない俺の体は簡単に宙に舞った。

 トラックの衝撃で俺の意識は刈り取られそうになる。が、なんとか耐えた。続いてくる落下の衝撃は雪のおかげで少しは緩和された。

 朦朧とする意識の中コートの下の方のボタンを外し、ミリーを出した。

 

「ミ……リー……」


 俺は正直この誰からも蔑まれる世界に未練なんてない。子供の頃そうそうに捨てられてから俺は一人で生きてきた。

 でも、ミリーはそんな俺についてきてくれた。ミリーのおかげで挫けそうなときも頑張れた。

 だからミリーだけでも生きててくれ、と思い視線を向ける。

 だが、無駄だったようだ。

 ピクリとも動かず、力なく横たわっている。

 

 ミリー、そういえばお前は友達のいない俺に近づいてきてくれたよな。

 小学四年生くらいだっけ? 完全に学校で一人になって寂しいというより、なんで俺はって思うようになったころだっけ。

 

 俺は自然と涙が溢れてきた。

 今までのミリーとの生活が走馬灯のように流れてきたからだ。

 俺は涙しながら、ミリーを見つめ、最後の気力を振り絞り手を伸ばして撫でる。

 ごめんな……

 声になっているか分からないような俺の呟きは降り積もる雪の中に溶けていき、俺の意識もまた遠くなって行った。

メインは「金で戦力整えていざ異世界征服へ!」というのを書いています。

ですので不定期更新になりそうです(メインも不定期になりそうでやばいのですが・・・・・・)


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