作文事件〜鷺ノ宮轟、白水優美〜 その1
少し量多めです
作文事件の後は新キャラ登場なのでお楽しみに
まあこんな感じかな
え?
こんなんじゃまだ全然わからないって?
だよね、僕もそう思うよ
だって今話したのは僕と彼女たちの初めての出会いの話だからさ
これから僕と彼女たちはより親しくなるんだ
本当にあのときの僕はついてた
正直浮かれてたね
じゃあ続きを話すよ
鷺ノ宮さんと白水さんがどうして僕を跨いで口論するような人になったのか
そのきっかけになったのであろうあの事件のことを
作文事件〜鷺ノ宮轟、白水優美
図書委員になってからというもの、僕はとても楽しい日々を暮らしていた
簡単に言うと毎日鷺ノ宮さんと帰るようになったのだ!
とても嬉しいことです
鷺ノ宮さんはあまり友達がいないらしく、まともに話したことがあるのは僕くらいしかいないらしい
だからこそ下校するときに一緒に帰ろうとさそわれたのだ!
しかし、帰り道が違うのはどうにもできなかった
できるのなら市役所に電話している
しかし、僕は鷺ノ宮さんの誘いを断りたくないために独自のルート(帰り道)を導き出したのだ!
かなり遠回りだけど一応帰れるので最近は毎日鷺ノ宮さんと帰っている
それと…
「柳くん、帰りましょう?」
「はい!今行きます!」
なんと名前で呼ばれるような関係になったのだ
周りからすればあいつら付き合ってんの?って感じだろうな
あー幸せー
「そういえば柳くんは作文どうします?」
「作文…ああ、図書委員のやつね。とりあえず気になる本を読んでるけど…難しいね」
「柳くんも進んでいないんですか。安心しました。私もまだまだなんですよ」
下校中の会話
いちいち僕の顔を覗いて話しかけてくるしぐさがまたたまらない
じゃなくて
以前図書委員で決めた読書感想文を書かなくてはいけないのだ
期限はあと3日
作文を書くのが苦手な僕にとってそれは夏休みの宿題のようなものなのだ
けど…
「鷺ノ宮さんも書けていないなんて…ちょっと驚いたな」
「なんでですか?私国語は全体的に苦手なんですよ。本を読むのは好きなんですけど…」
「へー意外だな。鷺ノ宮さんてなんでもできるイメージだから」
「そんなことありませんよ!苦手なことくらいみんなとおなじようにあります。」
「あはは、そうだよね。完璧な人なんていないんだし」
そのとき鷺ノ宮さんが急に止まった
「そうです…完璧な人なんて…いないんです…」
「さ、鷺ノ宮さん?」
「…え?あ!すみません!ちょっと考え事をしてしまって…」
「ならいいんだけど…」
今の鷺ノ宮さんなんかおかしかったな
なんにもなければいいんだけど
次の日の下校中
本日は鷺ノ宮さんと
一緒ではない
なぜか、それは鷺ノ宮さんが早退してしまったからだ
担任は体調が悪いからと言ってたけど心配だ
おや?
今日は最短ルートの帰り道
見知った後ろ姿の子がしゃがんでいる
「やあ白水さん」
「ひっ……あ、白凰寺くん。こんにちは」
「こんにちは。また猫かな?」
「違います…子犬です」
ダンボールの中には小さな子犬がいた
可愛いなぁ
「あ、もしかしてまた持ち帰ろうか悩んでる?」
「はい。けど、以前は失敗してしまいましたし…」
以前…
あの性格一変のことね
「なら僕が持って行ってあげるよ」
「え?!でも…」
「いいよ、別に暇だからさ」
「そ、そう言うならお願いします」
「任せて」
というわけで白水家なう
ヤバイ豪華だなう
なうなうなう
「いやーわざわざ娘のためにありがとう。これはほんの気持ちだよ」
ぽんと机に置かれる白鳥の卵(饅頭みたいなお菓子)
僕の前に座る白鳥の卵を置いた人、白水渡さんは白水さんのお父さん
なんと某有名お菓子会社の社長らしい
白水さんて社長の娘だったんだね
しかし、社長といえども犬を運んだだけでお菓子を渡すのはどうだろうか
遠慮してしまうにきまっているでしょうが
だからここはもらわないで返そう
「ありがとうございます」
うん、やっぱり断るのも失礼だよね
「長居させてしまってすみません」
「いやいいのいいの。楽しかったしね」
もう外はだいぶ暗くなった
あの後白水さん父、母と会話をした
白水さんについて熱弁されただけなんだけどね(娘自慢)
それで遅くなってしまったんだから送りますと白水さんがついてきてくれたわけ
「あ、そういえば白水さんは作文書き終わった?」
「え?あ、図書委員のですね。書き終わりましたよ。自信はないんですけど…」
「書き終わってるんですね…僕も早く書かないとなぁ」
そして作文締め切りの日の昼休み
「鷺ノ宮さん、作文書き終わったよね?」
「もちろんですよ。柳くんこそどうですか?」
「もちろん書き終わったよ」
昨日徹夜したし
「あの、柳くんさえ良ければ…読みあいっこしませんか?」
「いいね!しようよ!」
自分の席から作文を持ってきて鷺ノ宮さんに渡す
読んだ本は銀河鉄道の朝だ
結構面白かった
最後のメーレルが魔法少女だったという衝撃の事実には驚いたな
「あれ?作文がないです…」
ん?
作文が見つからないようだけど…
「机の中にもないの?」
「はい、どこにもないんです。持ってきたのはたしかなんですが」
鷺ノ宮さんが忘れ物なんてするわけない
つまり落としたりしてなくしたか…いや、それも無いな
つまり
盗まれた?
「鷺ノ宮さん、思い当たることは?」
「…確か朝鞄を開けっ放しで教室を出てしまいました」
「それかな…で、どこに行ったの?」
「そ、それは…」
なぜか顔を赤くする鷺ノ宮さん
まさか
「ごめん!言わなくていいよ!」
「は、はい…」
あー気まずくなったー
じゃなくて!
放課後までに犯人見つけないとね