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みんなのことが好きだから

とっても遅れました!

詳しくは最終回のあとがきで!



みんな聞いてるかな

僕はみんなと一緒に帰れない

きみちゃんと外国に行くことにした

急なことだけどごめん

それと、轟に言わないといけないことがある

別れよう

もう君と一緒にいられない

本当にごめん






柳君のいる部屋にたどり着くのは簡単だった

だけどその部屋には誰もいなかった

そこに聞こえてきたのがさっきの放送

「轟さん…これは柳君の本心じゃないですよ」

「柳君がこんなこと思ってるんけないわね」

「…私もそう思います」

2人が励ましてくれた

「柳くんが私たちをおいて行くわけないよ」

それに理奈ちゃんも

「理奈、素が出てるわよ」

「いいの!早く探そうよ!」

そう

こんな放送が流れたって関係ない

私たちは柳君に会って話をしないといけない

私たちの気持ちと柳君の本当の気持ち

ちゃんと伝え会わないといけない



「あなたたちしつこいわ」


唯鬼魅花

やっぱり簡単にはいかないみたいだ

「今の聞いてなかったの?」

「あれは嘘です」

「なんでそう言えるの?」

「柳君が本心であんなことをいうわけがないから」

「じゃあなんで嘘をついたんだと思うの?」

「それは仕方なくでしょ!」

「あの場に私はいなかったし何も脅迫なんてしてないわ。それなのに嘘をついたのよ。酷いとは思わないの?」

「嘘には悪意のある嘘と愛のある嘘があります。柳君の言葉には愛を感じました。きっと柳君は私たちを傷つけないようにと思って嘘をついたんです」

「そんなのあなたたちが言ってるだけじゃない」

「だから確認しに行くんです」

「…」

「…」







部屋の外から話声が聞こえる

あれは嘘だって

やっぱりばれちゃってるか

改めて考える

あの子たちは僕の事を思いすぎてるんだ

僕は特に取り柄もない普通の男子高校生

なのにとても可愛い女の子に

しかも1人じゃない

「なんで僕なんだろうな」

そう思ってしまう

轟だってなんで僕と付き合ってくれたんだろう

そういえば理由を聞いたことはなかった

確かあの時轟は僕みたいな人は初めてだって言ってた

…優しくしたからってこと?

いや、とにかく僕じゃなくてもあんな風に接したのなら誰でもよかったんじゃ?

…本当になんで僕なんだろう

優美だって理奈ちゃんだって白百合先輩だって

僕に執着する意味がわからない

「話したことないもんな」

…でも

僕はあの子たちに傷ついて欲しくない

僕がこのままきみちゃんと一緒にいればいいならそれでいい






いいのか?




彼女たちの思いはどうする?

自己完結でハッピーエンドなのか?

この選択が正しいのか?



それこそ話さないとわからない







「柳君!」

気づいたら僕は部屋の外へ出ていた

「柳…どうして出てきたの?早く戻って今日は寝た方がいいわ」

「きみちゃん。少し、時間をくれないかな」

「でも」

「ごめん。ちょっとだから」

僕を部屋に戻そうとするきみちゃんを制してみんなの前に立った

「柳君、わたしたちは」

「うん。わかってる…一方的に突き放してごめん」

「いいんです。柳君にも理由があったんですから」

やっぱりわかっていたんだ

でも

だからって話さない理由にはならない

「話しましょう」

「え」

「話しましょう…私たちは話さないといけません」

また

「また思ってること言われちゃったな」






僕たちが話している間きみちゃんは黙って待ってくれていた

もしかしたらきみちゃんはどんな結末になるかわかっていたのかもしれない

それでも僕たちを待ってくれていた





「きみちゃん」

みんなから話を聞いて僕は答えをだした

「わかってるわ」

僕が答えを言う前にきみちゃんは言った

「わかってる…あなたが彼女たちの元へ戻るのはわかってた」

そう言う彼女は涙を流していた

「でも、私だって…柳のことが好きなの。柳を愛しているの」

それでも

それでも僕は答えを言わないといけない

「きみちゃん、僕は」

「待ってください」

僕の言葉を遮ったのは轟だった

「唯鬼さんの気持ちも考えてください」

「きみちゃんの気持ち…」

そうだ

きみちゃんだって僕のことを想ってくれてる

それを忘れてはならない

「…うん」

みんなの顔を見る


「…」


きっと彼女たちは僕がどんな答えを出しても驚かないだろう

もしかしたらもうわかってるのかもしれない

それでも僕は言わないといけない


「僕は」






おわり


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