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静かな夜に


あの後残された私たちは柳君を乗せて走り去る車を追うこともできず呆然と立ち尽くしていた

何も考えられずに時間は過ぎて行った




学園祭は終わりに近づいていた

校庭では屋台の片付けが始まり一般客は校内から出て行き始めた

「みんな…もう帰ろう?」

優美の言葉をきっかけに私たちは後夜祭が始まる前に帰宅することにした

校門を出た後すぐに、後夜祭の始まりを告げるような歓声が聞こえてきた

「…後夜祭、柳くんと」

一緒に参加したかった

なぜ唯鬼未花は今日を選んだんだろう

あと一日でも遅ければ私は本当の自分を見せることができたのに

…本当に?

昨日あれだけ頑張って無理だったのに?

柳くんのことを心から愛していないのでは?

「私は…」

自分に自信が持てなくなってきた

唯鬼未花が言っていることが本当で自分で自分のことがわかっていないから

こんな自分が柳くんの彼女だと名乗っていいのか

…よくない

よくないけど




優美



家に着いても何も変わらない

気持ちの整理ができない

未花ちゃんが柳くんのことが好きだというのは薄々気づいていた

けどあそこまでの執着心があるとはわからなかった

それに未花ちゃんに言われたこと

「今の立場に満足している…かぁ」

本当にその通りだと思う

私は柳くんが好きで、他のみんなも同じ気持ち

だからみんなが仲良くして、みんなが笑顔だと嬉しい

幸せだと思う

けどみんな本心は柳くんの1番になりたいと思っている

私もそう…だった

いつからか、この幸せな時間を壊したくないと思うようになった

なら私は1番になれなくてもいい

ずっとそばにいられればいい

それで十分だから

…十分

十分だけど




理奈


あの後私は今住んでいる部屋に戻らず実家に向かっていた

親に会うために

夕凪高校に入ることになり1人暮らしをすることになった

だから親とはあのお願いをした時から会っていない

会いたいとも思っていないけど

でも会わないといけない

自分を変えるためには会わないといけない

私は自分の気持ちを隠して生きてきた

自分を偽って生きてきた

そうしてもバレないと思っていた

そうしないと生きていけないと思っていた

けどあの子に気づかれてしまった

そして変わらないといけないと気づがされた

私は変わる

自分のためにあなたのために私は…




舞華


本当の自分を見せてない

そう

私は本当の自分を柳くんに見せていない

怖いから…そうなのかもしれない

柳くんに好意を抱いてから今の私ができた

それは自然にできていた

柳くんに本当の自分をみせたら嫌われるのが怖かったから

だから隠すための今の私ができた

昔からそうだ

他人に嫌われるのを恐れていた

小さい頃から、いつか物語のような恋がしたいと思っていた

それは幼い子供ならよく思うこと

けど私は普通はそれがおかしなことだと笑える年になっても思い続けていた

そのせいで他人に嫌われることを恐れた

物語を壊したくないから

私はみんなに好かれるお姫様でいないといけないから

…けど私は





夕食はあまり食べなかった

こんな時にたくさん食べれない

自分の部屋に入るとすぐにベッドに横になった

お気に入りの薄いピンクの枕に顔を沈める

柳くんのはどうしてるだろう

どこにいるんだろう

誰のことを考えているんだろう

そういえば唯鬼未花は柳くんのことが好きと言っていた

もしかしたら柳くんが危ない!

…立ち上がろうとした

けどすぐに横になる

今私が行ったって何も解決しない

また唯鬼未花に言い返されて私は動けなくなる

どうしようもない

私は何も出来ない

「…柳くん」

そう呟いた時だった

♪♪〜♪♪〜

携帯電話から着信音が流れた

この音は友梨ちゃんから

「もしもし」

「もしもし!柳くんが攫われたって本当?!」

いきなり大きな声で言われた

「うん」

「だからすぐ帰っちゃったんだね…」

友梨ちゃんは私を心配してくれているようだった

「あのさ」

「なに?」

「轟ちゃんはさ…1人で溜め込んじゃうところがあるから相談くらいしてよ。柳くんに言えないことだってあるでしょ?」

「友梨ちゃん」

「轟ちゃんらしくいてほしいんだよ。轟ちゃんはいつもみたいに柳くんが引くくらい元気じゃないと!」

…私はなんていい友達をもったんだろう

「実は…」

私は今日あったことを話した

私が柳くんに心を開いていないということも

「私はそう思わないけどね」

話を聞いた後の友梨ちゃんの第一声はそれだった

「だって轟ちゃんは柳くんが好きなんでしょ?」

「うん」

「だから十分心開いてるよ」

「で、でも敬語になっちゃうし」

「それも直そうとしてるでしょ?まあ柳くんに聞けば絶対にそう思わないって言ってくれるよ」

「そうかな?」

「うん!絶対に!」



友梨ちゃんとの電話が終わったあと、私は外へ出ていた

ある場所に行かないといけないから

私は友梨ちゃんに勇気をもらった

自信は少ししかない

少しはある

だから行動する

柳くんを取り戻すために





それぞれが悩み考えるそんなお話でした

読んでくださりありがとうございます

活動報告には書いたんですけど、8月でこの作品を終わらせたいと思います

予定ですがね←


あと2回、3回で本編はおわりです

本編はね…


最後までお付き合いしてくださると嬉しいです

感想等お待ちしてます!

なお、活動報告の方に更新予定を書いていますので気になる方は見ていただけると助かります

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