祭りの前の嵐(後編)
2013ねん最後の更新です
「放課後がやってきました」
「やってきてしまいました」
「最終種目!柳っちクイズ!」
あれ、なんかわかりやすい名前だ
「…一応聞くけど、どんな競技なの?」
佐藤さんはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに胸を叩き
「柳っちクイズとは、柳っちに関するクイズに一番多く答えられた人が勝ち!という簡単な競技なのです!」
「確かにそれは誰が一番柳について詳しいのかということになるから…良い競技かもしれないな」
「ちょっとまって!」
ふと気づいた
「それって轟が有利なんじゃない?あの、その…彼女だし」
ーガンッー
ーダンッー
ーベキッー
「「「ひっ!」」」
なんだ今の音!
「そんなことですか。大丈夫ですよ柳くん、私は負けるつもりは無いから」
「わ、私も負けません!」
「年下だからってなめないでね!」
「…みんなやる気まんまんですね」
…愛されてるなぁ、僕
「第一問!柳くんの身長は?」
ピンポン!
「鷺ノ宮さん!」
「164.3cm」
「正解!」
「第二問!柳くんの好きな食べ物は?」
ピンポン!
「鷺ノ宮さん!」
「甘めの肉じゃが」
「詳しくはわからないけど正解!」
…さすが轟、と言えるのかどうか轟が先手をとっている
なんかさっき気づいたんだけど
「これ僕の個人情報だよね」
「今頃気づいても遅いぞ。もう5問目だ」
…個人情報保護法なんて飾りでしかないんだね
「第5問!柳っちの歯ブラシの色は?」
「いやいやいや」
知ってるわけないでしょ、それは
ピンポン!
「なんで!?」
全員ボタンを押してた
身長とか押してなかったのになんでこんなことは知ってるの?!
「白百合さん!」
「水色水玉模様、メーカーはクリア○リーン」
「…柳っちあってる?」
「…あってる」
もう怖い
「そのくらい知っていて当然よね」
「くっ、押し負けた…」
「は、早押しは苦手」
「うーん反応鈍いんじゃないかな」
やっぱりみんなわかっていたようだ
「なぁ柳」
「ん、なに?」
「…お疲れ様」
そんな言葉いらないよ祐介
僕がなんかかわいそうな人みたいじゃないか
接戦だった
知識量はみんな同じ(なんでだかわからないけど)
勝負の決め手は早押しだった
「ラスト!もう柳くんにしかわからない問題しか言ってないんだけど…」
「気にしたら負けだよ佐藤さん」
「ということで気にせず…ラスト!柳くんの小学5年生の時の右隣の席の子の名前は?」
「「知るかっ!!」」
おっと、祐介と一緒につっこんでしまった
だって5年生の時の隣の席の子の名前って
僕でもうろ覚えだ
…いや、5年生の時か
確か5年生の時の隣の席の子は転校しちゃったんだっけな
ん?何か忘れてる気がする
何か…大事なこと
「名前なんかわかんないよー!!」
はっ!
…理菜ちゃんの声ではっとした
今は名前だ
名前名前
…えっと…ゆい…ゆいき…み…きみ?
そう、きみちゃんって呼んでたんだ
えーとだから名前は…
ピンポン!
「え?」
「マジかよ」
「そうだ」
あの子の名前は
「「唯鬼未花」」
え?
…今答えたのは
「白水さん…正解?」
「…なんでしってるの」
まさかの優美だった
「え、えと…私のお父さんの会社って海外でも有名らしいんです。それで海外の貴族の方にその、唯鬼様がいまして。…つまり…お友達なんです」
…わお
「…柳っち、優勝は白水さんということで文句ない?」
「…さすがに文句言えない」
「…俺もなにも言わない」
ということで僕のプライバシーなんてものは無いことが改めて確認されたクイズは終わりを告げた
で、僕の二人三脚の相手は
「わ、私頑張ります!」
優美になった
わあ、腕に何か柔らかいものが当たるよ
そんなこんなで練習中
「そ、そういえば柳くん」
「何?」
「未花ちゃんなんですけど…近々日本に戻ってくるみたいなんです」
「え!本当に?」
「はい。手紙に早く柳くんに会いたい、と書いてありました」
それは楽しみだ
あれ、けど唯鬼さん…というかきみちゃんは覚えてくれてたんだ、僕のこと
今まで忘れていて申し訳ない
「柳くん、もっと練習しましょう!」
「うん!」
さて、とりあえず練習しないと!
後ろから突き刺さる視線が痛いし!
やっと帰ってきた
私が産まれた日本に
やっと会える
やっと約束を果たせる
早く会いたい
早く
「今会いに行くからね、柳」
番外編はかけませんでしたが…年内に後編終わりました!
楽しんでいただけたら嬉しいです!
何やら新キャラが出るフラグが立っていますが、まだ理菜ちゃんとか優美とかの秘密が明らかになってないんですよね
そこらへんも楽しみにしながら読んでいただければと思います
2014年も良い年になりますように




