後日談
俺たちは、日本の復興をするのに金が必要だった。
東亜連邦共和国の一部として、復興資金を求めた。それなりの金額はでた。
軍隊も500の武装獣がいる。あの戦いで数が減ったのを補充してもらったのだ。
軍隊の維持には金がかかるのでこれくらいが今の財政状況では一杯だ。
50機を1部隊として、10部隊を治安維持に回している。はっきり言って足りないのだがしょうがない。
武装獣がいない地域での機人の来襲には、俺がサンダーボルトとギガバレットの乱れ撃ちで対応しているのが現状だ。
機人はどうやら太平洋諸島から来ているようだ。
機人がいないと魔石が取れない。東亜連邦は魔石を取るために戦闘艦を複数用意して太平洋諸島で戦っているようだが、俺にはお呼びがかからない。俺が行くと機人を殲滅してしまうからだ。東亜連邦の目的は魔石の定期的な確保であって殲滅ではない。
日本では、四国だけ機人を残して置いた。そこから飛来する機人から魔石を取るのだ。なので俺の部隊は四国周辺の地域に主に展開している。
後は地道にインフラ整備をする必要があった。魔導機関を作成する工場を東亜連邦の協力で建築をしていった。これがないとこの世界では動力源がない。発電も魔導機関で行なっているのだ。
四国周辺からインフラ整備を始めた。なぜなら武装獣の部隊を配備している治安を維持できるところがこの地域だけだからだ。
具体的には九州、中国、近畿地方が対象になる。投資する資金が限られているのだ。ここから俺とアヴェルアーカは復興の仕事を始めた。
発電所を造り道路を造り、廃墟になっていた街を作り替えていく。気の長い仕事だ。
仕事をしていくうちに俺は200才になっていた。約10年で日本にも人が住むようになっていた。冒険者には機人が必要だ。冒険者も集まってきていた。ギルドも作られている。冒険者が入ればそれを当てにする商売をする人間もやってくる。
東亜連邦では主にインドネシアから魔石を取っているがそこは軍の戦闘地域だ。ユーラシア大陸から隔てられた諸島では冒険者が行くには難しいようなのだ。
人が増えてくれば食料の確保も必要だ。農業、漁業にも投資を行った。瀬戸内海は危険地域だが日本海なら安全だ。
これは気長に投資をしていくしかない。いつまでも東亜連邦に頼ってはいられないのだ。
更に10年が経った。経済は順調に立ち上がっているようだ。俺は西日本での利益を東日本に当てれられるようになっていた。東日本の担当はアヴェルアーカだ。アヴェルアーカも40才になっていたがまだ元気だ。だが、ロードはエルフほど長生きはできない。魔力が高いほど長生きするようだが、それでも200才が限界だろう。
更に20年が経った。東日本の復興も順調だ。発電所も建設した。道路や街の復興も行なっていった。東京は最優先に復興した。名古屋も順調だ。元々あった病院、学校などの福祉的な施設も次々と増やした。魔導機関による列車も次々と開通中だ。もう東亜連邦の支援はいらなくなった。問題は俺とアヴェルアーカとの間には子供はできないということが分かったことだ。俺は人造人間ではない。どちらかと言えば人間に近いのだ。人造人間と人間の間には子供は生まれない。少し寂しいがこればっかりはどうしようもない。俺たちの子供はこの日本だ。そうアヴェルアーカに言った…。
更に30年が経った。北海道を除けばほぼ復興は終わった。北海道は観光地と漁業、農業、畜産、林業として育ててはいるがなかなか人が集まらないのだ。やはり寒いのは嫌なのだろうか。それに比べて沖縄は順調にいっている。南国は確かに魅力的だ。
それでも沖縄は赤字だ。昔の日本でも沖縄は国の補助金で賄われていたのが大きかった。北海道と沖縄はお荷物なのだ。
俺とアヴェルアーカは北海道について話しあった。
「どうするのよ?これ以上は人は集まりそうにないわよ」
「仕方がない、北海道に限って農業と畜産の法人化を認める。人さえ集まればいいのだ。それで商業もうまくいく」
「分かったわ、それしかないようね」
これで北海道は企業による参入で回復した。
とうとう、その時がきてしまった…。アヴェルアーカが倒れたのだ。もうアヴェルアーカも180才だ。引退してもらっていたが、それでも老化ばかりは止められない…。若返りの魔法などないのだ…。
「アヴェルアーカ聞こえるか?」
「聞こえるわよ、セージ」
「俺たちの子供、日本は成長した。お前は十分な仕事をしたんだ、ゆっくりしてていいんだぞ」
「そうね…、ゆっくりさせてもらうわ…、今まで楽しかったわ、セージ」
「まだ一緒にいよう!な?アヴェルアーカ」
「私はもう駄目みたいなの…」
「俺が回復してやる、死なせない!」
全体回復を発動した!だが、探知で俺は分かっていた。アヴェルアーカへの探知が弱っている。もうじき死ぬと…。
「俺もアヴェルアーカといて楽しかった!アヴェルアーカがいたからこの世界で生きていこうと思ったんだ」
「あ…り…が…と…う…」
アヴェルアーカは息を引き取ったのだ…。
「アヴェルアーカ!!!!」
俺は泣いた。涙が止まらなかった。
それからの俺は魂が抜けたようだった。仕事をする気にもならなかった。もう俺がやらなくても日本の運営は回るようになっている。
俺はなんのためにここにいるのか分からなくなったのだ。
自然と足がモスコーヴィアに向かっていた。そう魔導研究所だ。
「英雄がこちらへなんの御用でしょうか?」
ここの所長のヴァスカーヴィルというらしい。
「以前、俺はここで召喚魔術の方法を伝えた、それについて情報共有したい」
「分かりました。付いてきて下さい」
俺は魔導研究所の召喚魔術の研究所に足を踏み入れた。
そこにはあの魔方陣が完成していたのだ。ここには6人いた。
一々、聞いて教わる必要などない。俺はそこにいる全員の意識を順々に奪って次々と知識を奪っていた。
どうやら、召喚魔術は完成に近づいているらしい。発動のキーがあと一歩足らないのだ。
俺はそれがなにか分かっていた。前の世界の魔導院の資料室で俺が知った知識の一つを埋め込めばいいのだ。
そして、今どこかで召喚術が発動する気配を観測していることも奪った知識で分かった。
どこかの異世界からこの世界の人間を召喚しようとしているのだ。
俺は魔方陣の中に立って、詠唱を開始した。その召喚とこの魔方陣を繋ぐのだ。
魔法は発動した。俺は光に包まれそしてこの世界から消えた。
これが後日談です。4章ルートが開いていますが、無理っぽいです…。