表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

3年P組

作者: 口羽龍

 一郎は3年A組の教室で居残り勉強をしていた。宿題が提出できなかったからだ。一郎はとても反省している。そして、次は絶対に提出できるようにしなければと思っている。もう居残り勉強なんてこりごりだ。一生懸命勉強をしないと。テレビゲームばっかりやっていてはいけない。心からそう思っていた。


「はぁ・・・」


 一郎はため息をついた。何としても早く提出しなければ。そして、早く帰らないと、母が心配する。そして、先生に怒られるだろう。


「頑張らなくっちゃ」


 だが、一郎は悩んでいた。ここがよくわからない。どう解けばいいんだろう。一郎は頭を抱えてしまった。これがわからないと、先生にも、両親にも怒られる。どうしよう。


「うーん・・・。どうしよう・・・」


 と、隣の3年B組から声が聞こえてくる。もうどこも帰りの会が終わって、居残り勉強の子供しかいないはずなのに、どうしたんだろう。こんな時間に何の授業がやっているんだろう。全く想像できないな。


「あれっ!?」


 一郎は首をかしげた。とても気になるな。何がやってるのか、その教室に行ってみたいな。


「どうして騒がしいんだろう」


 一郎は立ち上がり、隣の教室に行こうとした。果たして、そこでは何がやっているんだろう。ちょっと覗いてみようかな?


「何だろう」


 一郎は3年B組を廊下からチラッと見た。そこには、生徒がいる。みんな、座っている。どうやら、ここで授業がやっているようだ。でも、何の授業だろう。見た事もない生徒に、見た事もない先生がいる。ここで、何か特別な授業が行われているんだろうか?


「あれっ!? この授業、何だろう」


 と、先生が一郎に気が付いた。先生に見られて、一郎は緊張した。まさか、話しかけられるとは。


「あら、どうしたの?」

「な、何でもないんです・・・」


 一郎は焦っている。廊下で見るだけにしようと思ったのに、まさか見つかるとは。どうしよう。早く教室に戻りたいのに。


「来なさいよ!」


 まさか、誘われるとは。どんな授業なんだろう。全くわからないな。


「は、はい・・・」


 教室には、1か所だけ机が空いていた。一郎のために空けているように見える。


「ここに座って!」

「はい・・・」


 一郎はそわそわしながら、その席に座った。周りの生徒はみんな可愛い。でも、この子たちは誰だろう。どこから来たんだろう。


 と、先生が1枚の絵を出した。それは、赤いだるまの絵だ。それがどうしたんだろう。一郎は首をかしげた。


「まず、これに化けてみましょう!」


 化ける? えっ、まさかこの子たち、キツネなの? タヌキなの? 一郎はびっくりした。


「はーい!」


 すると、生徒たちは木の葉を取り出した。えっ、この子たち、本当に化けられるの? 一郎は呆然となった。


「ポン!」


 掛け声とともに、彼らは煙に包まれた。そして、煙が収まると、そこには赤いだるまがいる。本当に化けたんだろうか?


「えっ!? どういう事?」


 まさか、これはキツネかタヌキの授業なの? とんでもない授業に遭遇してしまったな。


「みなさん、よくできました!」


 ふと、お尻に違和感を感じ、一郎は後ろを見た。すると、一郎のお尻から尻尾が出ている。タヌキの尻尾だ。まさか、タヌキにされた?


「えっ、えっ・・・」


 と、それに気づいた生徒が一斉にタヌキになった。ここの生徒は、みんな化けタヌキだったのか?


「うわっ!」


 驚いて、一郎は椅子から転げ落ちてしまった。


「どうしたの?」


 3年A組の担任の中村先生の声がした。一郎は目を開けた。そこには中村がいる。一体何だったんだろう。全く状況が理解できない。


「いや、何でもない・・・」


 中村は思った。どうして3年B組にいるんだろう。一郎は3年A組で居残り勉強をしているはずなのに。


「どうしてこんな教室にいるの?」

「・・・、わからない・・・。隣で授業がやってて・・・」


 もう下校していて、誰もいないはずなのに、どうして3年B組で授業がやっていたんだろう。まさか、一郎は夢を見ていたのか?


「何もやってないよ」


 と、中村は一郎のお尻を見て驚いた。なんと、タヌキの尻尾が生えているのだ。


「あれ? 一郎くん、何その尻尾!」

「えっ!?」


 それを聞いて、一郎は驚いた。まさかと思って、一郎は自分のお尻を見た。すると、お尻からタヌキの尻尾が生えている。あれは夢だったのか?


「うわっ!」


 一郎は思った。この教室には、何かがある。放課後、化けタヌキが授業をやっているのでは?


 教室を出て、一郎は教室の入り口の看板を見た。そこには3年B組と書かれている。だが、一郎には一瞬、『3年P組』に見えた。一郎はまた驚いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ