6話 駆動丸
インドについた高田健志達は、街の様子に安堵した。
栄える街、ひしめき合う町の者たちの様子を見て、この都市がまだダーク高田健志の魔の手に犯されていないと分かったからだ。
「良かった……この街はまだ大丈夫そうですね。」
「そうだな、おまおじ。お前は人間だから腹が空いただろう。何か食べてきていいぞ。」
「分かりました!」
おまおじは、高田健志の言われた通り、市場の中に乗り込んでいった。
高田健志は、おま田おじ太郎のことを『おまおじ』とあだ名で呼ぶことにした。
道中、高田健志は人間界の『友達』という概念に対して憧れの気持ちを抱いていることをおじ太郎に話した。
そうしたら、おじ太郎は「人間界には『あだ名』というものがあるんですよ。例えば、私はテレビ業界で働いてた頃は『おまおじ』なんて呼ばれていましたね。自分のことはなんと呼んでもらってもかまいませんよ。」と言ってくれたので、高田健志は友達のように「おまおじ」と呼ぶことにしたのだ。
「……さて、ダーク高田健志の接近に備えよう。」
高田健志は再び、自分の気を高める。ダーク高田健志がインドに入ってきたときに一瞬で察知できるようにするためだ。高田健志は神の気を張り巡らせた。
「ッ!」
そのとき。
短刀が高田健志の頬を掠めた。
どうやら、襲撃者だ。ダーク高田健志ではない。人間の襲撃らしい。
「チッ、当たらなかったか。」
高田健志から向かって十数メートル先に、その男は立っていた。
「お前は一体……」
その男は、まるで江戸時代の浪人のような風貌だった。三角の笠を頭につけ、日本刀を差している。
男は刀を抜き、高らかに名乗った。
「俺の名は駆動丸。世界の破壊者、高田健志を倒す者だ。」