2話 高田健志、悪い噂を聞く。
近頃、高田健志は悪い噂を聞いた。
どうやら、自分が作り出した惑星である『地球』に危機が訪れているようだ。
高田健志は久々に下界の『日本』という場所へと降り立つ。すると、その景色はさんざんなものだった。
最後に来たのはおよそ十数年前。そのときはネオンの輝く都会が星中いっぱいに広がっていた。夜でも明るく、これが人類の進化かと高田健志は感心した。
だが、この景色は。
無限に広がる砂漠。ところどころ地面から露出したコンクリート壁の残骸。人影はない。
「これは……」
噂通り酷い。これも全て、彼の偽物がやったらしい。
高田健志は深く悲しんだ。もう少し早く来ていれば、みんなを助けられたかもしれなかった。そして同時に、自分の偽物に対する怒りが湧き出てきた。
怒りに燃えていた、そのときだった。
パンッ、と、短く銃声が鳴る。
銃弾が高田健志の元に迫る。
しかし高田健志は怒りに燃えて体温が数千度まで上昇していたため、銃弾は高田健志に直撃する寸前に爆発し、跡形もなくなった。
「ん?」
高田健志は振り返る。約数十メートルほど離れたところから、こちらを狙うスナイパーを発見した。