19話 目標でもあった。
高田健志はおまおじを指差す。
「なぜこんなことをした? 世界を滅ぼしかけてまで俺に会って、一体何が目的なんだ?」
ここまでして、一体何がしたかったのか。
おまおじは微笑して答える。
「……俺が元々から高田健志教の教祖で、建志を信仰していたのはホンマのことや。……だが!」
おまおじは語気を強めて言う。
「高田健志は信仰の対象であると同時に、俺の確かな『目標』だったんや! 最初は周りと違う自分に違和感を覚えた。そして、気づいたんや。周りの下賎な人間どもとは、信仰の方向性がそもそも違うんやと!」
おまおじは荒野に転がる石を無造作に蹴飛ばす。その顔には邪悪な微笑が灯っていた。
「駆動丸と同じや。俺は修行と、高田健志経典を研究することによって『神の気』を会得した。……しかしそれだけでは高田健志を超えることはできない。そこで俺は、高田健志を超える新たな神の気を開発した。」
「……邪悪な神の気か。」
戦闘用に特化され、破壊の限りを尽くした、邪悪な神の気。
「テレビ業界で働いて貯めた金を使い、ダーク高田健志を開発した。あのロボットの目的は、高田健志の全力を引き出すこと。つまりはスーパー高田健志に覚醒させることや。その点はよくやってくれた。そしてこっからが本題や。俺の目的は、全力の神に勝ち、俺が新たな神になることッッ!!!」
おまおじは恍惚に満ちた表情で天を見る。高田健志はかつての友を見ず、俯いて、質問を続けた。
「……それが、この美しい地球よりも大事なことか。」
「そうや。」
めらめらと、神の気がゆらめく。
「なな湖の先輩よりもか。」
「なんべんも言うとるやろ、俺が神になるためには必要な犠牲や! あんなやつはな、俺が新たに作る世界にはいらん人間や。いくらでも死んだらええ。」
高田健志は拳を握りしめる。血の涙が流れる。
「許さん……許さんぞ……」
神の怒りが、爆発した。
「お前だけはこの世に塵一つ残さんぞッッ!! おまおじーーーーーーーーっ!!!」
高田健志はそこら一帯の地面を吹き飛ばし、激しい雷雨を呼び、雨に打たれ、スーパー高田健志となった。