表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/30

18話 悪の元凶

 花畑から離れ、やがては荒野に行き着いた。


 高田健志は歩いている間に考えた。


 誰が元凶なのか。


 ダーク高田健志は言っていた。お前ならもう分かるはずだと。


 人間界に舞い降りてから今までのことを思い出していた。


「……!」


 正体に行き着いた。


 ダーク高田健志を作り、世界を滅ぼした張本人。


 それは一人しかいなかった。


 張本人はまさに今、荒野に現れた。


「……やはりお前がそうなのか。ダーク高田健志を作り、世界を滅ぼし、俺を人間界へと呼び寄せた張本人。」


 その男は、わざとらしく笑っていた。


「おまおじ……、お前が全ての元凶なんだな。」


 そこには、インドで死んだはずのおまおじが立っていた。


 おまおじの顔から笑いが消え、疑問の表情に変わる。


「……この場で大々的にネタバラシしてやろうと思ったのに、残念やで。あのロボットがゲロったか、いや、ありえない。」


 おまおじは教祖服を脱ぎ捨て、ダーク高田健志と同じ、黒いローブ姿に変わった。


「どうやって分かったんや?」


 おまおじは高田健志に聞く。


「……第一の違和感は、最初に見せてもらったビデオだ。」

「ビデオ? あぁ、あのテープか。」


 ダーク高田健志が高らかに宣言をしていた、あの旅番組のビデオテープのことだ。


「あのビデオでは、ダーク高田健志が両手を掲げて宣言していた。つまり、ダーク高田健志本人はカメラを持っていない……そこで俺は疑問に思ったんだ。あのビデオは一体()()()()()()()()()()()()。」

「ん、そんなモン、撮影スタッフかそこら辺にいたやつに撮らせたんやろ。」


 おまおじの景色ばかりの反論に、高田健志は動じず答える。


「カメラは途中で一度倒れた。おそらく、スタッフも全員まとめて一瞬で殺されたんだ。それに、撮影された場所は人が一人もいないような険しい山道の中、通行人なんていなかったはずだ。」

「ふん、なら、神の気とやらを使って、念力でカメラ浮かせて撮ったんやろ。」

「実際に戦ったから分かる。『邪悪な神の気』は戦闘用に特化したものだ。念力が使えるような代物じゃない。」


 つまり、ダーク高田健志には誰かしらの協力者がいた。ダーク高田健志の恐ろしさを地上波で伝えるために。


「……ほーん。で、それは『協力者』がいたってことは証明できるけど、それが俺ってことにはならんやろ。」

「お前が協力者だって証拠はもう一つある。……それは、ダーク高田健志の言葉だ。ダーク高田健志は俺に言った。『破壊してやる。インドの地で散った、お前の友達のように』と。無差別に殺戮するだけのダーク高田健志が、なぜお前のことを知っていたんだ? インドだって、一瞬で消し去ったはずだ。俺とおまおじの関係性を、ダーク高田健志が知っているわけはない。」


 おまおじの眉がぴくっと動く。


「考えられるのは一つしかない。ダーク高田健志は最初から知っていたんだ。おまおじと俺が接近していることを。」


 しばらく、張り詰めたような無言のときが流れる。荒野の風の音が、虚しく響く。


 おまおじの小慣れた関西弁が沈黙を断ち切る。


「なるほど、正解や。さすがは神といったところやで、ホンマ。」

「まだ分からないことが一つだけある。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ