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16話 怒

「……。」


 スーパー高田健志は、何も言葉を発さなかった。


 ただ、動いた。


「んぐッ……!!」


 その瞬間、ダーク高田健志の腹に蹴りが入った。ダーク高田健志の身体が海の中に消える。


(な、なんだ……? 動いたのさえ見えなかった……!)


 ダーク高田健志はあまりの変貌に驚愕したが、同時に、わくわくもしていた。


「こんな気持ちは初めてだ! この俺が感情を抱くなど!」


 ダーク高田健志は高鳴る気持ちのまま、海から出ようとした。が、


「ッ!」


 その前に高田健志が海の中に来て、追撃を与えようとした。


「『ドンモー』。」


 高田健志の気功波がダーク高田健志を襲う。無論、以前までの威力ではない。高田健志の神の気は以前の数百倍もの力になっている。


「ぐあぁああッ!」


 ダーク高田健志はそれをまともにくらい、無理やり水面へ飛び出された。


 ダーク高田健志は名前も知らない孤島に打ち出される。


「なんだアイツ、性格も変わったのか。……そうか、スーパー高田健志は怒りの破壊神の姿。理性が飛ぶのは自然の理か。」


 そう、今のスーパー高田健志は目の前の物体を破壊しつくす破壊神。ダーク高田健志を殺したあとは、地球そのものを消滅させるまで暴走は止まらない。


 高田健志が海から飛び出した。そして孤島にいるダーク高田健志に再び襲いかかる。


 高田健志の無数の拳がダーク高田健志に直撃する。あまりの速さに、ダーク高田健志は上手くいなすことができない。ただ身体を丸めて防御するしかない。


 ギシギシと全身が軋む。高田健志の猛攻に、身体中が悲鳴をあげているのだ。


「く、クソが……!」


 ダーク高田健志は防御しながらも、手に神の気を込める。


「俺をナメるなよッ! 俺だって高田健志なんだァーーーっ!!」


 ダーク高田健志は、苦し紛れながらに特大のダークドンモーを放つ。攻撃の隙をつかれ、高田健志に直撃した。


「……っ! やったか!?」


 ダーク高田健志の全力の一撃が直撃した。


 爆発の煙が晴れる。


「くっ……マジか……」


 そこには、不動のスーパー高田健志がいた。どうやら避けるまでもないと判断したようだ。


 高田健志は不敵に笑う。その笑みは不気味に口角が吊り上がっており、邪悪な神であるダーク高田健志ですら、恐怖に震撼した。


「こ、これじゃどっちがダーク高田健志か分かんないな……」


 次の瞬間、ダーク高田健志の顔面に最速のパンチが打ち込まれた。


 ダーク高田健志は無惨に飛ばされて、ロンドンまで戻る。そして、先ほど粉々にされた時計台の残骸に身体をめり込ませた。


 自我を失った高田健志は、おそらくイギリスごとダーク高田健志を吹き飛ばすだろう。


 ロンドンまで戻ってきた高田健志は、覚醒した神の気を目いっぱい手に込め、時計台に向かってドンモーを放とうとした。


「……っ!」


 が、放つ瞬間に思いとどまって、ドンモーは結局発射されなかった。


 これは、高田健志が正義の心を突然取り戻したから、というわけではない。


 衝撃の事実が発覚したからだ。


「だ、ダーク高田健志……お前!」


 スーパー高田健志になってから初めてまともに話した言葉だった。時計台にめり込んだダーク高田健志を見て、高田健志は驚愕し、自我を取り戻したのだ。


「……何ダ。あぁ、俺の()()姿()を見て自我が戻っタのか。」

「ダーク高田健志、お前は……」


 ダーク高田健志の顔はビリビリに破けて、金属が露出していた。高田健志とは似ても似つかなくなったその姿。グロテスクでもありながら、ある意味人間の神秘を現してもいるその姿に、高田健志は放心した。


「ロボットだったのか……!」

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