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15話 高田健志経典・第十七章

 ダーク高田健志の恐ろしさに、高田健志はまだ怖気付いていた。


 それどころか……


「ハハハ……降参だ。さっさと殺してくれ。」


 高田健志の敗北宣言。


 これにはダーク高田健志も少し驚いたようだ。だが、すぐに納得して、再び右手のひらを高田健志に向けた。


「残念だよ、本物。どうやら期待ハズレだったようだな。……ならば破壊してやる。インドの地で無様に散った、お前の友達のようになッ!」


 ダーク高田健志の手に最大級の神の気が宿る。そして、放たれるっ……!


「『ダークドンモー』ッッッッ!!!」


 巨大で、邪悪な気が、高田健志に迫る。もとより避けられる距離ではない。


 そのとき、高田健志は今、別のことを考えていた。


「インドの地で散った、俺の友達だと……?」


 高田健志はぼそりと、ダーク高田健志の言葉を復唱し、味解する。これはまさに、亡き自分の友達のことを言っているのだと。


「それは、おまおじのことか……!」


 ダーク高田健志への恐怖によって埋もれた怒りが、今、呼び覚まされる。


 少しずつ消し飛ばされていく海水と大地。高田健志の中で、忘れていた怒りが、完全に呼び覚まされるッ!


「おまおじのことかーーーーーーーーッッッッ!!」


 高田健志の中に残る神の気を全て解放し、ダークドンモーに立ち向かう。


「今さら戦う気になったか! だが、もう遅いッ! お前はもう終わりだーーっ!」


 ダーク高田健志の言う通りだった。高田健志の今の神の気では、ダークドンモーを打ち消すことはできない。


 高田健志は両手でダークドンモーを押し返そうとする。


「くっ、くぅうぅうッッ……!」


 高田健志は極限だった。もはや、普通の人間よりも弱くなってしまっている。


 ダークドンモーに接する手は徐々に焼かれ、邪悪な気に呑まれそうになる。


 たった数秒間の間、何度も挫けそうになった。


 ──しかし、高田健志の中にある闘志がそれを許さなかった。


「ぐ、……うぉおおぉおおぉぉおおおッッッッ!!」


 極限状態と、怒りが、高田健志を新たなステージへと誘った。


 ダークドンモーは、突如として消滅した。


 激しい砂埃が起こる。


 ダーク高田健志は、自分の必殺技が急に消滅したのを見て、驚愕する。


「な、何が起きた……!?」


 困惑の声。だが、次の瞬間、ダーク高田健志は何が起きたのかを理解した。


「……そうか、なるほど。高田健志経典・第十七章か。」


 高田健志経典・第十七章。


 高田健志は、穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めしとき、伝説のスーパー高田健志に変身する。


 砂煙の中から、高田健志は姿を現した。


 改めて登場した高田健志の髪は黒髪から金髪に変わっていた。


「ようやく姿を現したか……『破壊神』スーパー高田健志ッ!」

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