10話 駆動丸vs高田健志
駆動丸のパンチの速度は、並一通りではない。
人間の中でも最高峰だったものが、神の気によって人間の範疇を超えた。彼のラッシュは、高田健志でも止められなかった。
「ぐはぁッ!」
駆動丸のアッパーカットによって高田健志の身体は大きく飛び上がる。駆動丸は飛翔し、飛んでいく高田健志の身体に一瞬で追いついた。
「ハハハハァ! 高田健志、俺も空を飛べるようになった、ぞッ!」
「ぐはぁ!?」
空を飛んだ駆動丸による追撃。高田健志は腹に重い蹴りをくらい、インドの郊外まで飛んで行った。
地面に強く打ち付けられる高田健志。先ほど駆動丸と戦ったときの傷はとっくに癒えているのに、それを上回る生傷がもうついていた。
「俺も神の気を解放しているというのに……、アイツ、どんだけ強くなったんだ……!?」
駆動丸は神の気を得た。それによって、彼の力は何百倍にも増幅したのだ。地球最強の人間が、何百倍も強くなる。高田健志とて、容易に倒せる相手ではなくなったのだ。
そうこうしているうちに、駆動丸が接近してくる。
「ハッハッハ、これで終わりだ……高田健志!」
駆動丸は両手のひらを高田健志に向け、さらに気を高めた。彼の手に神の気が集中している。高田健志は身構えた。
「『ツクリテンダー砲』ォオオオッッ!!」
放たれる、駆動丸の必殺技。
太い気功波が、彼の手から発射された。
「くっ……、アイツ、気功波まで使えるのかよっ!」
高田健志は両手でそれを受け止めた。が、しかし、ツクリテンダー砲の威力は予想以上だった。
「ば、バカなっ……! ハァァアア!!!!」
高田健志は神の気を集中させて、その気功波をかき消そうとする。だが、全く勢いが止まらない。
「う、うわぁああぁああッッ!!」
ついに高田健志は、ツクリテンダー砲に飲み込まれてしまった……
そして、高田健志はついにインドを吹き飛ばされ、ヒマラヤ山脈まで来てしまった。
極寒の大地に叩きつけられ、動かない高田健志。猛吹雪の中、駆動丸はそんな無様な高田健志を見下ろした。
「フン、神もこの程度か。」
「……。」
高田健志は何も言わない。
駆動丸は倒れる高田健志を見て、残念そうにその場を去ろうとした。
が、そのとき。
(っ、神の気ッ!?)
駆動丸は察知した。すぐ近くから、高まり続ける神の気を。
「……やはり生きていたか。」
高田健志は立ち上がった。
「駆動丸、お前にダーク高田健志は倒せないッ!」
高田健志は右手に神の気を集中させた。高田健志の右手が神々しく光り出す。
「雑魚が、その程度のパワーで何ができる。」
「お前に勝てる!」
「バカなことを……!」
駆動丸も、両手に神の気を込め始める。お互いに、全力の気功波を出すつもりだ。
そして今、二人の神の気が最高潮に達するッ!
「『ツクリテンダー砲』ォオォオッッ!!」
先に打ったのは、駆動丸。先ほどよりも巨大なツクリテンダー砲が放たれる。
対して、高田健志。
神の必殺技を放つ。
高田健志は右手を駆動丸の方向に向けて、高めた神の気を気功波として放った。
「『ドンモー』ッッ!」
高田健志の気功波ドンモーと、駆動丸のツクリテンダー砲がぶつかり合う。
最初は、先に打った駆動丸の方が優勢だった。
「……っ!?」
だが、神々しい光線が、ツクリテンダー砲をどんどんかき消して、進む。
「そ、そんなことがッッ!」
「破ァアアァァアアッッ!!!」
高田健志はさらに力を込め、全力のドンモーを繰り出した。
そしてツクリテンダー砲は全てかき消された。
「ば、ば、バカなぁあぁああぁああアアアアアッッ!!!」
駆動丸は本物の神の気に敗れ、再びインドまで飛ばされた。