05.納品
「な、なんなんですかこの魔石の量は……忙しすぎて頭の処理が追いつきません!」
冒険者試験終了後。
ギルドのクエストカウンターにて。
僕とルシナが納品した魔石の量は、どうやら100個を軽く超えていたらしく、前代未聞の量だとギルド中で騒ぎになっていた。
「あの……僕たちはいつまで待っていたらいいんですかね……?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいね! セリンさん! 100個以上もの魔石を納品する新米冒険者なんて規格外すぎですよ……!」
受付嬢さんはそう言うと、焦った顔で魔石を鑑定する。
なんでも、今日の受付嬢さんの仕事は、僕とルシナが納品した魔石の鑑定で終わりとのこと。
よって、新米冒険者が納品する魔石など微々たるものだろうと判断したことから、他の受付嬢さんは帰ったそうだ。
うう……出しにくいな……。
涙目になりながら必死に鑑定している受付嬢さんを見ると、胸が痛む。
実は100個以上の魔石が入った袋がもう1つあったのだ。
ルシナがスキル『絶対防壁』で敵の攻撃を防ぎ、僕がその隙に相手のスキルを奪うという効果的な戦法を生み出した結果、僕たちは200匹以上のウルフを倒していた。
すると、隣の上機嫌なルシナがニコっと笑顔で言う。
「セリンさん? どうして、残りの魔石も納品しないんですか?」
「いや、ルシナ……だって、受付嬢さんがワンオペで鑑定しているんだよ? ただでさえ、泣き顔なのに、そんな悪魔みたいなことできないよ」
「ギルドメンバーの皆さん見てください! 私とセリンさんはまだまだ大量の魔石を納品しますよ!」
「ル、ルシナ⁉」
ルシナが残りの魔石を受付のトレイに乗せると、ギルド中から歓声が上がる。
「うおおおおおおおっ! この魔石の量は規格外だ! セリンさんとルシナちゃんはこれからこのギルドを代表する冒険者パーティになるな!」
「ああ! 特に、セリンさんは魔物のスキルを奪える超レアスキルの持ち主らしいぞ! 羨ましすぎるぜ! 俺もセリンさんのパーティに入れてくれねえかな!」
ギルドメンバーは僕たちの活躍を賞賛してくれた。
優しい人たちだな……。
勇者パーティでは味わえなかった優しさに触れて、僕は涙が出そうだよ……。
もっとルシナと魔物を倒して、このギルドの人たちに恩を返したいな。
そういえば、試験で認定される冒険者ランクはどのランクになったんだろう……。
鑑定の終わる時間も聞きたいし、受付嬢さんに聞かないとな。
「あの、僕とルシナの冒険者ランクって、一体どのランクに……受付嬢さん⁉︎」
「はは……セリンさんとルシナさんは当然、最高評価のAランクですよ……ごめんなさい。私、混乱して今すぐに倒れそうで……」
「受付嬢さん⁉」
受付嬢さんはそう言うと、泡を吹いて卒倒した。
こうして、僕とルシナは冒険者試験で異例の200個以上の魔石を納品した伝説級のパーティとして、早くも王国内で噂されるのだった。
どうしてこうなった……。
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
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