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47.後悔(グレイク視点)

 ジレフを呼び出した次の日のこと。


 俺は国王様から召集を受けていた。


 気が重い!


 どうせ、ジレフを脅迫したことで俺は裁かれるのだろう。


 だが、頭脳明晰で天才勇者の俺には策がある。


 大部屋に入ると、国王のエルクセルクが不気味な笑顔を浮かべていた。


「やあ、グレイク殿、単刀直入に聞くが、君はなぜジレフを脅迫したんだい?」


「実は、これは全て私の元パーティメンバーであるセリンが原因なのです……」


「セリン君だと?」


「はい。セリンが私の勇者パーティに所属していた時、私たちのパーティは連戦連勝でした。しかし、奴はある日、パーティにある資金を全て盗んでパーティを抜けていったのです!」


 辺りの騎士たちがガヤガヤと噂し始める。


 ブハハ! いい気味だな!


 勇者の俺が資金を盗まれたとなれば、同情してくれる奴も多いはずだ。


 俺は噓泣きをすると、さらに続ける。


「ぐすん……資金が尽きた私たちは、魔王を討伐するためにどうしても金が必要でした……そこで、いけないとわかってながらもジレフを脅迫してしまったのです!」


「そうか。君の意見はわかったよ」


 そして、エルクセルクは手招きすると、秘書を呼ぶ。


「今日は君に会ってもらいたい人たちがいるんだ。何、君とも親しい関係の人たちだよ」


 会ってもらいたい人だと?


 親しい人なら、先月まで俺のパーティに出資していいたアホな公爵共か?


 商人ギルドの会長に冒険者ギルドの会長など、思い当たる節は色々あるな……。


 どいつもこいつも先月に出資を打ち切ってきた馬鹿だったが、きっと俺の偉大さを思い出して考えを改め直したのだろう!


 ブハハ! 結局俺がいないと何もできない無能な雑魚共だからな!


 そうして、秘書が扉を開けると、見覚えのある奴らが入ってきた。


「セ、セリンとモルカだと⁉」


 すると、モルカは怒って言う。


「セリン様を追放したのはあなたですよグレイク! 誰よりもパーティメンバーのことを想っていたセリン様を追放するなんて、あなたは何を考えているのかしら? それに、パーティの資金が少ないのはあなたのパーティメンバーの浪費癖が激しいからですわ! それをセリン様のせいにして脅迫を正当化するなんて、あなたはどこまで救いようのないクズなんですの!」


「いや……それはだな……」


モルカの話を聞くと、俺を睨むエルクセルク。


「勇者グレイク殿、本日をもって、君を魔王討伐の職務から罷免する!」


「待ってください! 勇者の俺がクビだと……? ありえねえだろ!」


「君のようなレアスキルに溺れ、魔王討伐の責務を全うできない者は勇者にふさわしくないんだ。ごめんねセリン君。こんな無能な男をここまで調子に乗らせてしまったのは私の責任だ。セリン君を陥れるために嘘泣きをするなんて、どこまで落ちぶれたんだ」


「エルクセルクさんは悪くないですよ……」


 セリンは笑ってそう言った。

 

 エルクセルクは悪くないだと?


 元はといえば、お前が無能雑魚のくせに嘘をついて勇者パーティに入らなかったらこんなことにはなってねえんだ!


「死ねやセリン!」


 俺は無駄のない動きでセリンへ斬り込む。


 しかし、セリンはナイフを投擲すると、風のような速さで俺の服を刺した。


 そして、俺の身体は壁にぶつかる。


 ドォォォン!


「流石はセリン様ですわ! こんな素早い勢いでナイフを投擲するスキルは見たことがありませんもの!」


「コボルトから奪ったスキルを使っただけですよ。モルカ様は大げさですね……」


 セリンは笑うと、楽しげにモルカと話し始めた。


 クソ! 腹が立つし、惨めすぎて涙が止まらねええええええええ!


 こうして、俺はその場で1人うずくまり、寂しく泣き続けるのだった。


 クソ……俺はどこで道を間違えてしまったんだ……。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 外れスキルを軽蔑して、その後活躍する主人公を妬み・憎しみ・逆恨みした輩にふさわしい罰ですね。
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