37.剣姫ティナ
勇者パーティのカミナがギルドに訪れてきてから3日後。
僕はルシナとクエストボードを見ていると、受付嬢さんが満面の笑顔で駆けてきた。
「セリンさん、『永久の輝石』宛に素敵なお知らせです!」
「お知らせ?」
「はい! 聞いて驚かないでくださいね。依頼者は匿名希望とのことですが、ギルドから東にある森で、あるアイテムを収集してほしいとの依頼です! そして、その依頼額は聞いて驚かないでくださいね! なんと、300万Gです!」
「「300万G⁉︎」」
僕とルシナは思わず大声を出して驚いてしまった。
300万Gは、魔道具で自動的に動く魔法馬車が買えるぐらい大きな額だ。
そんな依頼が、まだパーティを結成して約1ヶ月の僕たちに来るなんて、困惑してしまう。
だけど、これまでにコボルト領を魔王軍から解放したり、第一王女のモルカ様から出資を受けたりしたからな。
そう考えると、パーティの格や知名度が上がったことで、高額なクエスト依頼が来ることも、自然なことかもしれない。
改めて、感動するな……。
「セリンさん、どうして泣いてるんですか⁉」
ルシナが驚いて言う。
ああ、最近嬉しいことが続きすぎて涙もろくなった気がするよ……。
★
僕とルシナはクエストを引き受けると、依頼者が待つ森へ着いた。
すると、ルシナが驚愕の声を上げる。
「セ、セリンさん、依頼者の方ってまさか⁉︎」
「あの聖剣……もしかして、剣姫ティナか⁉︎ どうして僕たちなんかにクエストを依頼したんだ?」
僕は驚いていた。
ティナは祝福の儀で超レアスキル『剣姫』を与えられた英雄で、その強さからパーティを組まずに1人で魔王領を攻略するほどの凄腕の持ち主だ。
僕が勇者パーティにいた時もティナは多忙らしく、会う機会なんて1度もなかったから、なおさら困惑する。
綺麗な赤髪に、赤い瞳。
そして、ティナの雰囲気からは人を引き込むような優しさが感じられた。
「セリンさん? さっきからティナさんの身体をじっと見すぎじゃありませんか?」
「い、いや⁉︎ そんなことはないが……」
「そうですか……てっきり、新たなライバルの出現かと思って、尊敬するティナさんに手が出そうになりましたよ」
何? なんでルシナは今、物騒な言葉を言ったんだ?
ニコっと微笑んでいるのが余計怖すぎるよ!
「あなたが最近、巷で英雄と騒がれているセリンね。私はティナ。今日は報酬分しっかりと働いてもらうから覚悟してもらうわよ!」
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
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