35.キャバクラ(グレイク視点)
「グレイク様、今日も素敵ですね! あたし……もっとお酒を飲んでもいいですか?」
「ブハハ! 俺は世界一モテるイケメンだからな! ああ、店にある全ての酒を持ってこい!」
「流石勇者様ね!」
王国内のキャバクラで。
俺は美女たちに囲まれて酒を飲んでいた。
酒というのは、どんなに悔しいことや憎たらしいことがあっても忘れていい気分になれるものだ。
俺は酒を滝のように飲み干すと、右隣の美女の胸を触る。
そして、左隣の美女の尻を触り続けると、女たちは顔を赤らめていた。
ブハハ! 俺のような最強勇者に触られるなんて涙が出るほど嬉しいに違いねえ!
もはや、この世の全ては俺のものだな!
「そういえばグレイク様、最近王国中を賑わせている英雄様の活躍を知っていますか?」
「ああ、当然だ。俺様のことだろ? ブハハ! モテる男はこれだから困るぜ!」
「違いますよ! パーティ『永久の輝石』のセリンさんです! 新米冒険者でありながら魔王軍を圧倒するなんてすごいですよね。あたし、セリン様に会ったら興奮して倒れちゃうかも!」
「うるせえ!」
「きゃっ⁉︎」
俺は思わず床にグラスを叩きつけた。
まったく、どいつもこいつもセリン、セリンってイカれてやがる!
あいつは大した実力もない無能スキル持ちのくせに、インチキで成り上がっているクズ野郎だ。
早く皆の洗脳を解いてやる必要があるな。
あの雑魚野郎が賞賛される世界なんてありえねえし、俺は絶対に許せねえ!
俺はセリンを殺すと決めると、高笑いして言う。
「お前らが涙を流して感動する知らせを今日は持ってきたぞ! この度、勇者グレイクは、国王様から直々にダークドラゴンを討伐するよう命じられたんだ! すげえだろ? あの『災厄の黒龍』と恐れられているダークドラゴンを俺がぶっ潰すんだ! さあ、お前ら泣けよ! 感動しろ! 俺って奴は本当に国民想いの優しい勇者様だよな! ブハハ!」
よし、これでこの美女たちもゴミクズセリンの話題なんて辞めて、俺にメロメロになるだろう。
しかし、美女たちは首を傾げていた。
「あの、グレイク様……? ダークドラゴンは先日、セリン様が討伐したはずですよ?」
「はあ⁉︎ あのクソ雑魚セリンが、ダークドラゴンを討伐しただと⁉︎」
「はい! 実はあたし、両親がフル村に住んでいて、手紙が来たんですよ! なんでも、セリン様はダークドラゴンを1発殴っただけで倒したそうです! また、パーティメンバーのルシナ様もすごいスキルの持ち主だそうで、魔物の状態異常攻撃を無効化するスキルを持っているそうですよ! いやあ、『永久の輝石』は素敵なパーティですね。そのパーティを率いるセリンさんはかっこよすぎますよ!」
美女がそう言うと、店内中の美女たちが「「ねー」」と相づちを打った。
あの野郎、次はどんなイカサマをしてダークドラゴンを倒したんだ?
あいつのことだ。
王国騎士団が討伐したけど、金で買収して自分の手柄にしたのか?
それとも、ダークドラゴンを倒した事実すら嘘で……魔王軍とセリンか裏でズブズブの関係だとかな……。
まったく、どこまであの無能野郎はクズなんだ!
だが、セリンの隣にいたあの生意気な女エルフが、状態異常攻撃を無効化できるのは驚いたな。
よし!
「おい女、勇者の俺の前で無能な男の話をしすぎだ。酒が不味くなるだろこのブタが!」
「ご、ごめんなさい……」
俺はテーブルを剣で叩き斬ると、美女は土下座して謝罪する。
すると、周りの女たちから鋭い視線で睨まれた。
醜い奴らだな。
だが、これを受けても俺に対してまだそんな生意気な目を向けられるか?
俺はニヤリと笑うと、金をバラ撒く。
「今日、俺に抱かれたい女にはこの大金を全て渡してやる! さあ、服を脱いで俺様にアピールしろ!」
すると、女たちは満面の笑顔で、俺を誘惑し始めた。
「ブハハ! 世界の全てが俺の思うままだ! 結局、どんな奴も俺の手にかかれば平伏すしかねえんだ! あの出資を断りやがったバカ王女モルカも、イカサマで成り上がっている無能セリンもいずれ頭を俺に下げることになるだろうな!」
手始めに、セリンのパーティから女エルフを引き抜いてやるか!
セリンのギルドで会った時は生意気な女だったが、勇者パーティに入れるなら顔色を変えてすぐ俺に頭を下げるだろう。
ブハハ! その時の絶望するセリンの顔が楽しみすぎて、興奮してきたぜ!
そして、俺は女エルフをパーティに勧誘すると決めると、美女たちを全員抱くのだった。
「面白い!」
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