34.温泉
「ふう……いい湯だな」
フル村にて。
僕は1人温泉に入っていた。
なんでも、フル村では温泉が有名らしく、村長から「恩人であるセリン殿にはぜひ村の名産である温泉で癒されていただきたい!」と誘われたので、喜んで入らせてもらったのだ。
すると、ガララ、と扉が開いた音がした。
村人さんかな?
「セリンさん、私も入りますね!」
「ル、ルシナ⁉︎ 今の時間は男湯のはずだが……」
「村長さんのはからいで、私とセリンさんが一緒に入れるように貸切にしてくれたんですよ! ここの村は優しい人が多くて素敵ですね!」
まったく聞いてなかったんだが⁉︎
緊張している僕の気持ちなど知らず、ルシナは楽しそうに笑みを浮かべると温泉へと入ってくる。
水も滴るほどの美しい身体。
そして、大きな胸はお湯の上でぽかん、と浮いていて、目を逸らすことができなかった。
うう……理性が飛びそうになるよ!
「第一王女のモルカ様に、魔王領領主のダクドラ……セリンさんを取り合う手強いライバルが多い今、これはセリンさんを誘惑するチャンスですね!」
小声でよく聞こえなかったが、ルシナはグッ、とガッツポーズをすると僕に抱きついてきた。
「ル、ルシナ⁉︎ 何を考えているんだ? 密着していると熱いんだが……」
「セリンさんが鈍感すぎるのがいけないんですよ! こうでもしないと、セリンさんは気づいてくれなさそうですから……」
ルシナの大きな胸がぷにっ、と腕に伝わる。
僕を興奮させてどうしたいんだ⁉︎
まさか、ルシナは僕を温泉でのぼせさせて倒すことで、最強冒険者の座を奪おうとしているのか⁉︎
などと、考えをめぐらせていると。
「まったく、エルフの小娘はむっつりすけべなようじゃのう。我のセリンに色目を使って誘惑するなんて喧嘩を売っておるのか?」
「ダ、ダクドラ⁉︎」
ダクドラは、僕の膝に乗ると、ニヤッ、と微笑んだ。
いつの間に座っていたんだろう……。
「セリンが来るのを待っていたのじゃ。夫の背中を流すのは嫁の役割じゃろう?」
「誰が夫だよ……」
僕は思わず頭を抱えてしまった。
濡れた小麦色の肌。
そして、幼さを感じさせるが、小悪魔的なボディライン。
幼い見た目のダクドラに興奮するなんて、僕はどうしてしまったんだ……。
すると、ルシナがジト目でこちらを見てきた。
いやだ!
軽蔑しないでくれ!
「ほう、鼻を伸ばしおって。残念じゃなルシナ。セリンは私のナイスバディに夢中みたいじゃのう♪」
「いいえ! 違います! セリンさんは私のような健全な身体が好きですよね?」
そう言うと、顔をしかめつつ、大きな胸を寄せてくるルシナ。
ルシナの胸は健全とは言えないくらい大きいサイズだと思うのだが、どこが健全なのだろうか……。
しかし、これは答えないと解放してくれなさそうだ。
ルシナの胸とダクドラの胸。
2人のうちどちらが好きか考えていると、意識が遠のいていく。
「セ、セリンさん⁉︎ 私とダクドラのどちらが好きかまだ聞けてませんよ! セリンさん起きてください!」
「起きるのじゃセリン! 当然、嫁の我じゃろう? ま、まさか脂肪の詰まったこの牛のような乳がいいと申すのか?」
「いくらあなたの胸が貧乳だからって、嫉妬するなんて見苦しいですよダクドラ!」
「だ、誰が貧乳じゃ! セリンは我の魅力的な胸に反応したのじゃぞ!」
もう、勘弁してくれ……。
こうして、僕は温泉で美少女2人に誘惑されながら、のぼせてしまうのだった。
「面白い!」
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