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32.新たなライバル

「セリン、もっと我を褒めるのじゃ。それから、我のことはダクドラと呼んでよいぞ? 親しい者にしか呼ばせていない名じゃ。我とセリンはこれからより親密な仲になるからのう♪」


 ダクドラはそう言うと、僕の頬へキスした。


「ダ、ダクドラ⁉︎ いきなり何するんだ!」


「悪かったかのう? まあ、我とセリンはもう付き合っているような関係だし、よいではないか」


「わ、悪くないし少し嬉しかったけど……付き合ってはないからな⁉︎」


「ちょ、ちょっと、ダクドラ! 私のセリンさんになんてことしてくれるんですか!」


 ルシナは頬をぷくっ、と膨らませると、僕とダクドラの間に割って入る。


 そして、僕の身体に抱きつくと、ダクドラをギロッ、と睨んだ。


 なんだか嫌な予感がするな……。


「ほう、エルフの小娘の分際で、我が惚れた男を奪うのか?」


「セリンさんは誰にも絶対に渡しません! 第一、あなたのような幼児体型に、最強冒険者のセリンさんが惹かれると思っているんですか? そんなわけないじゃないですか! セリンさんは私のような大きな胸が好きなんですから! ダクドラさん、残念ですね!」


 大きな胸を僕の腕に当てて言うルシナ。


「残念なのはお主じゃエルフ。セリンの顔を見よ! この真っ赤な顔は我のキスに欲情したものじゃろう?」


「な、なんで興奮しているんですかセリンさん! もう、第一王女のモルカ様に、魔王軍領主のダクドラなんて……手強いライバルが増えすぎですよ……! 早くセリンさんを落とさないと!」


 その後も、2人は僕の両腕を掴むと、日が暮れるまでいがみ合い続けるのだった。


 どうしてこうなった……。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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