30.灼熱弾
ルシナは僕の隣に駆けつけてくると、ニコッ、と笑顔で言う。
「村人さんたちを助けられたのも、魔王領であの日、魔物に襲われていた私をセリンさんが救ってくれたおかげです!」
「ルシナ……ありがとう。ルシナのおかげで、誰1人死なずにダークドラゴンを片付けられそうだ!」
「やっぱり私たちは、相性抜群のラブラブ最強パーティですね!」
「ラブラブかはわからないけど……ああ! ルシナといればどんな敵にも負けない気がするよ!」
まさか、ルシナのスキルに状態異常攻撃無効化を味方に付与する効果があるなんてな……。
タンクの役割を果たしてくれるだけでありがたいのに、付与術師の役割も果たせるなんて驚いた。
これほど心強いパートナーはいないな!
「そう余裕ぶれているのも今のうちじゃ! なに、そのエルフを殺してから村を全て焼けばいいだけの話じゃ!」
「やらせないよ」
僕はスキル『敏捷』と『攻撃力増加』を使うと、高速で接近し、ダークドラゴンをぶん殴る。
そして、流れるように掌底を叩き込むと、ダークドラゴンの巨躯がよろめいた。
その隙を利用して、僕はドラゴンから奪ったスキル『灼熱弾』を使う。
すると、僕の手前に魔法陣が出ると、そこから巨大な火球が現れた。
そして、魔法陣に手をかざすと、火球は大きさをどんどん増していく。
「な、なんじゃこの火球の大きさは⁉︎ 我を一瞬で焼き尽くすどころか、この周辺一体を焦土に変えてしまうような大きさではないか⁉」
「その心配はなさそうだよ。お前とお前の居城だけ、この『灼熱弾』で潰せばいいだけだからな!」
「グォォォオオオオオオッ!」
ドカーン! と爆発音が鳴ると、巨大な火球がダークドラゴンを捉える。
居城は焼き尽くされていた。
「よし、この隙にダークドラゴンからスキルを奪って……あれ?」
焦土と化した居城では、ダークドラゴンが倒れていた。
まだ、試したいスキルがあったんだけどな……。
すると、ルシナと村人の皆さんが駆けつけてきた。
「セリンさん! 今日も見事な戦いぶりでしたね! 私、あんなに大きな火球を見たのは初めてですよ! 流石は最強冒険者さんです!」
「ああ。英雄らしい勇ましい戦いじゃった! よし、お前ら! 早速、フル村の伝記にセリン殿の勇ましい活躍ぶりを記録するべ!」
「そうするべ! おらはセリン殿に献上する高級品を村から探してくるだよ! セリン殿はフル村の大恩人だべ! みんな、敬意をもってセリン殿に接するんだべ!」
「「んだ!」」
そう言うと、フル村の人たちは僕たちの宿の手配や料理の準備などをするために、急いで村へと走っていった。
はは……元気な人たちを守れて、良かったな。
そう考えていると、女の子の大きな声が聞こえてきた。
僕が駆け寄ると、尻尾をつけた可愛い女の子が涙を浮かべていた。
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
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