03.パーティ結成
「あの……助けてくださってありがとうございます!」
エルフの少女は駆け寄ってくると、深々と頭を下げてきた。
「頭をあげてよ。僕はセリンだ」
「私はルシナです! その……セリンさんのスキルにはどういった効果があるんですか⁉」
「いや、僕もさっき自分のスキルの意味に気づいたばかりで曖昧だけど……どうやら敵の所持スキルを奪えるみたいなんだ」
「敵のスキルを奪う⁉ 私、あなたのような強い人間を見たのは初めてです!」
ルシナはそう言うと、僕の手を両手で握っていた。
金色の瞳に金色の髪。
腰まである長い髪が特徴的なルシナは、不細工な魔物が蔓延る魔王領では場違いすぎるほどの美少女だった。
はっきり言って、可愛すぎる!
「僕は魔王領から王国へ帰る途中だけど、ルシナはどうしてこんな場所にいるんだ?」
「私はエルフの森から冒険者になるために王都へ向かっていたんですが、道に迷ったみたいで気づいた時には巨大オークに襲われていたんです。だから、セリンさんに出会えて本当に良かったです!」
「そっか、なら一緒に王国に帰るか? 帰り道なら知ってるぞ」
「い、いいんですか⁉ はい! ぜひ、お願いします! でも、セリンさんこそどうして1人で魔王領にいるんですか? オークを簡単に倒すその実力……もしかして、セリンさんは伝説の勇者様だったり⁉︎」
「はは……僕は……その伝説の勇者様のパーティを追放されて、路頭に迷っている哀れな男ってところかな……」
はっ、いけないいけない。
こんなこと、初対面の女の子の前で言うことじゃないよな。
しんみりとした空気で帰りたくないし、テンションは上げておかないと!
「よし! 帰ろうかルシナ! 安心して、僕のスキルで君を守るからさ……」
「じゃあ、セリンさんは現在どのパーティにも所属してないってことですよね! 私とパーティを組んでくれませんか?」
「え……僕なんかでよかったら、全然入るけど……」
すると、ルシナはにっこりと微笑んで僕の手に指を絡ませる。
「良かったです! セリンさんのような実力が高くて、かっこいい冒険者とパーティを組めるなんて夢のようです! 安心してくださいセリンさん! 私は勇者のように、セリンさんのような最強冒険者を追放するなんてことは絶対しませんから!」
僕を追放するなんて絶対しないか……。
うう……こんな優しい言葉を貰ったのはいつぶりだろう。
僕は自然と涙を流していた。
「う、うわ⁉︎ もしかして、私に誘われたことがそんなに嫌でした⁉︎ そうですよね……私みたいな駆け出し冒険者とセリンさんほどの実力者がパーティを組むなんておこがましいにも程がありますよね……」
「そんなことないよ。ただ、ルシナとパーティを組めることが嬉しくてさ……」
「ふふっ、セリンさんは可愛いところがあるんですね! その……ますます惚れちゃいそうです……」
「うん? 何か言ったか?」
ルシナは顔を赤くすると、僕の腕に両腕を絡ませてきた。
「な、なんでもありません! それより、セリンさん行きましょう! 王都に行って、冒険者ギルドで冒険者登録をしますよ!」
「ああ」
こうして、僕とエルフのルシナは冒険者パーティを結成したのだった。
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
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