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29.ダークドラゴン

「ぐわぁぁあああああ! ダークドラゴンが来たぞ! 逃げろぉぉおおおおお!」


 王国騎士団の兵士たちが前から逃げてくる。


 すると、巨大な体躯の龍が兵士を襲っていた。


 漆黒の身体に纏った黒いオーラ。


 そして、血痕のついた大きな牙は、それが獰猛な魔物であることを象徴していた。


「お前が、人間の分際で我らドラゴン族を圧倒しているという最強冒険者か……』


「最強かはわからないけど……そうだ。ダークドラゴン! 今すぐ王国への侵攻はやめろ! これ以上、無慈悲に人を傷つけるな!」


「ハハ! 我に対してそのような大口を叩いてくる人間など、これまでいなかったのう。だが、その願いは聞き入れられん」


「ルシナ! 『絶対防壁』で逃げている騎士さんたちを守ってくれ!」


「はい!」


 ダークドラゴンは大きく口を開けると、両翼を大きく広げる。


 そして、空に飛ぶと、黒い火炎を放射してきた。


 広範囲に広がった黒い火炎は、辺り一面を燃やし尽くす。


 僕は、スキル『敏捷』で素早く炎を避けると、スキル『筋力強化』を使い、倒れていた騎士たちを安全な位置へ移動させる。


 ルシナもすかさず『絶対防壁』を使い、騎士たちを火炎から防御した。


 とりあえず、なんとかなったかな……。


 しかし、ダークドラゴンは僕を見ると、ワハハ! と笑っていた。


 すると、ルシナが悲鳴を上げる。


「セ、セリンさん……! 近隣の村が燃えています!」


「大丈夫だよルシナ。魔王領に近い村は廃村が多いんだ。住んでいる人はいないだろうから。少しくらい燃えても平気さ」


 すると、ダークドラゴンは邪悪な笑みで言う。


「何を言っておる最強冒険者。今燃えているフル村は、地元に愛着がある人間が多くてのう。王国が王都に避難しろというのに、我に毎月子供の生け贄を送って生きながらえていた馬鹿な連中じゃ。つまり、我の炎で大量の人間が死んだということじゃ! 無様じゃのう最強冒険者! お前は守るべき人間を守れなかったのだ!」


 村人たちが死んでいる……?


 僕はその場に崩れ落ちてしまった。


 ギルドでは皆を守るなんて大きなことを言ってしまったけど、結局村人の皆が死んでしまったじゃないか……。


 僕はなんて無力なんだ……。


 ルシナと出会い、スキル『窃盗』の真の意味に気づいてから、良いこと続きで浮かれていたのかもしれない。


 僕はどうしようもないクズなんだ……。


 勇者パーティを追放された哀れな少年で、人を救うような立場に立てる人間じゃなかったんだ。


「泣いているのか? セリン。ハハ! その絶望した表情……良い気味じゃな! さあ、戦意喪失するのじゃ!」


「うるさい……」


「え……?」


「ダークドラゴン……お前だけは絶対に僕が倒す!」


 僕は剣を構えると、ダークドラゴンと対峙する。


 すると、燃え盛る村の方からルシナが駆けてきた。


 ルシナの後ろには、身体が燃えている村人たちが続いている。


「ルシナ……その人たちはもう……」


「セリンさーん! 安心してください! この人たち、皆、元気に生きてますよ!」


「え……?」


 走ってきた村人たちは、皆、笑顔を浮かべていた。


「おらたち……身体が燃えているのになぜか全然熱くねえんだ!」


「そうだ! ダークドラゴンの火炎なんかまったく大したことないようだべ! だから、泣くんじゃないべ! 皆、命を懸けてダークドラゴンと戦ってくれるあんたらに感謝してるんだ!」


「皆さん……ありがとうございます!」


 僕は村人たちに頭を下げると、ダークドラゴンへ再び剣を構えた。


 すると、ダークドラゴンは困惑した顔で言う。


「そうか……セリンだけでなく、隣のエルフも脅威だったとはな……。『絶対防壁』というスキルを聞いたことはなかったが、まさか、状態異常攻撃無効化を周囲の人間に付与する効果があるとは……そして、他種族と交流を持たないと言われている神聖なエルフを惚れさせて手駒にする最強冒険者……まったく、なんて忌々しいパーティなんじゃ!」

 

 ダークドラゴンは僕たちを睨みつけると、大きく吼えて轟音を上げた。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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