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27.緊急クエスト

「はい、セリンさん! 私があーんします!」


「ありがとうルシナ。あーん……美味しいな!」


「セリンさんの笑顔を見ていると、私まで幸せな気持ちになります!」


 ギルドに併設された酒場で、僕とルシナは料理を楽しんでいた。


 周りのギルドメンバーからは、「朝からデートなんて、セリンさんとはいえ許せねえ!」といった嫉妬の視線を感じるが、気にしないでおこう……。


 すると、受付嬢さんが大慌てで駆けつけてきた。


「セリンさん! ルシナさん! 緊急クエストです! ギルドの北にあるダークドラゴン領から、魔王軍の大軍が王国へ向けて侵攻中とのこと! 王国騎士団から『永久の輝石』宛で、クエストに参戦してほしいとの要請がきています!」


「ダークドラゴンといえば……僕が勇者パーティにいた時、グレイクが次に攻略する魔王領として計画していたはずです。もう、すでにグレイクが討伐しに向かっているんじゃないですか?」


「それが……勇者パーティは、敵の居城に着く前に、アイテムが尽きて退却したようです……なんでも、勇者グレイクが一切魔物と戦わずに命令を出すだけのようで、パーティメンバーの負担が増えているそうでして……」


 僕は思わずため息をついてしまった。


 グレイクは、自分と対等な敵。


 つまり、ボス戦じゃないと剣を振るわない奴だ……。


 前に、どうしてボス以外の魔物と戦わないのか聞くと、「勇者の俺が雑魚敵の相手をするのはおかしいだろ!」と殴られたことがある。


 本当に、自分勝手でわがままな奴だ。

 

 すると、ギルドメンバーから声が上がった。


「ダークドラゴンといえば……前の戦いで出兵した王国騎士団を1人残らず殺した災厄級の魔物じゃねえか……! そいつが軍を率いてくるなんて……俺たちは終わりかもしれねえ……」


「ああ……俺たちも早く逃げないとな……! うう、恐怖で足が動かねえよ……死にたくねえ!」


 ギルドメンバー達はぶるぶると震えていた。


「ルシナ、僕たちでダークドラゴンを倒そう! 僕たちの力で皆を守るんだ!」


「はい! 私たちなら絶対勝てますよ! 私たちの最強コンビネーションで、災厄級の魔物を倒しちゃいましょう!」


「ああ。そうだな」


 僕とルシナは皆を守る覚悟を決めると、ダークドラゴン領へと向かうのだった。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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