表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/48

26.敗走(グレイク視点)

「な、なぜセリンなのですか……あいつは勇者パーティ時代、何もできないグズで散々俺たちの足を引っ張ったカス野郎ですよ! それに、あの無能は祝福の儀でレアスキルを持っていると嘘をついてパーティに加入してきたんです! モルカ様はそんな奴の肩を持つのですか?」


 すると、モルカ様はため息をついて言った。


「貴方はセリン様が勇者パーティ時代に何もしてないとお思いのようですが、パーティの資金管理に魔王領攻略前の効果的な偵察、夜営時はパーティメンバーが休憩できるように1人で監視する等、セリン様は計り知れない功績を挙げたと思いますが」


「そんな力、魔物を狩ることにはまったく役に立たないじゃないですか!」


「では、どうして貴方たちは最近、魔王領の攻略に失敗しているのですか? そういえば、先日執事から聞きましたわ。パーティメンバーの女魔術師の浪費癖が凄まじいそうですね。倹約家のセリン様がいた時は、資金繰りの心配なんて起きませんでしたのに」


「そ、それは……」


 バカ王女の指摘は当たっていた。


 この頃、高級品に目がないエナの浪費癖のせいで、俺たちのパーティは赤字状態なのだ。


 まったく、どいつもこいつも俺の足を引っ張りやがる!


「セリン様は、貴方たちが毎日のように飲み歩いて資金繰りが上手くいかなくなった際、自分の貯金を切り崩していたんですよ? そんなパーティメンバー想いのセリンさんを追放するなんて、恩知らずにも程がありますわ!」


「たかが王女の分際で生意気だな! セリンが貯金を切り崩していた? 役に立たねえ雑魚なんだから当たり前じゃねえか! おいモルカ……お前、あまり調子こいてると痛い目に遭うぜ? 次、また俺様に無礼な発言をしたらその美しい顔をグチャグチャに斬り刻んで殺してやるからな! ブハハ! それが嫌なら出資金もこれまで通り支払うことだな!」


 俺は怒鳴るように言った。


 しかし、モルカ様は一切表情を変えず、俺を睨みつけている。


 本気で殺されてえようだな?


 その時だった。


「グレイク殿、私の娘に向かってまさか……殺すなどと脅しているんじゃないだろうね?」


 そ、その声は……。


 深みのある低い声。

 

 グランドル国国王、先代勇者エルクセルクが俺の背後に立っていた。


 いつの間に背後に立たれたんだ⁉︎


 エルクセルクは30年前にスキル『勇者』を与えられて以来、魔王軍と1人で渡り合ってきた化け物だ……。


 今は年老いて、俺に魔王討伐の命を任せているが、未だその腕は健在。

 

 俺はガクブル身体が震えていた。


 なぜなら、エルクセルクの身体からうっすらと殺気が伝わってくるからだ。


「さあ、グレイク殿、娘に文句があるなら私を通して貰おうか」


「す、すみませんでした国王様ぁあああああああああああ!」


 俺は急いで大広間から出ると、城から逃げる。


 クソ! 俺がこんな無様な思いをしたのも全てセリンのせいだ。


 あの雑魚野郎……俺をどれだけイラつかせたら気が済むんだ!


 殺してやる!


 あのクズがいる限り、俺の生活に平和は訪れねえんだ!


 セリンを殺せば……全て解決するに違いねえ!


 俺は道端のゴミ箱を蹴り飛ばすと、セリンを殺す覚悟を決めるのだった。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


と思いましたら


下記の☆☆☆☆☆から作品の応援をよろしくお願いいたします!


面白かったら☆5つ、つまらなければ☆1つなど、正直な感想で大丈夫です!


また、ブックマークもいただけると嬉しいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ