25.絶望(グレイク視点)
王都の城にて。
俺は第一王女のモルカ様に呼ばれていた。
モルカ様は俺のパーティを定期的にサポートしてくれる出資者だ。
勇者パーティ発足時から莫大な資金を与えられたことで、俺たちは数々の魔王領を討伐してきた。
とはいえ、これまでにモルカ様と2人で話したことは一度もなかったが、一体何の用だろうな。
そうか!
ブハハ! モルカ様は俺に求婚するつもりなんだろう!
流石、俺だな。
王家であろうと平民であろうと絶対的な人気を集める最強の勇者だからな!
モルカ様が俺に惹かれて夫にしたいと思うのも無理はねえ。
まあ、俺は魔王討伐後は一夫多妻の生活を送る予定だから、側室は何人いてもいいからな!
俺はモルカ様が待つ大広間に入ると、片膝をつけて頭を下げた。
「ご苦労様です。勇者グレイク」
「お呼びいただきありがとうございます。モルカ様、いや、モルカ」
俺がそう言うと、モルカ様は引きつった顔になる。
まったく、王女は俺に惚れすぎて緊張しているようだ。
可愛いやつめ。
すると、モルカ様は咳払いして言った。
「では、単刀直入に申しますわ。勇者グレイク! 本日をもって、わたくし、グランドル王国第一王女のモルカは、勇者パーティへの出資を取りやめます!」
「ええ⁉︎ 嘘ですよね……?」
「これは決定事項です」
俺は唖然としていた。
モルカ様が出資を取りやめる動機がわからなかったからだ。
それに、最強の勇者に出資できるだけでありがたく光栄なことなのに、このバカ王女はその名誉を理解できていないらしい。
ふざけたやつだな。
俺は舌打ちすると、アホ王女でもわかるように笑顔で説得に入る。
「モルカ様、我が勇者パーティは、王国を代表する最強のパーティであり、魔王軍に怯える人々に勇気と希望を与える光の象徴のようなパーティです。そんな俺たちに出資金を打ち切るなんて、モルカ様は正気ですか?」
「貴方たちより出資したいと思うパーティを見つけただけですわ」
「はあ? 一体、そいつは誰ですか? まさか、俺たちより魔王軍を倒せる強いパーティがいるとでも? ブハハ! モルカ様は考え直したほうがいいですな! 最強レアスキル持ちの俺より強い人間なんているはずがねえ!」
「ええ、思っていますわ。わたくしは巷で英雄と噂されている、貴方が前にパーティを追放したセリン様に出資いたしますもの」
「はあ⁉ セ、セリンだと⁉︎ あのグズ野郎に出資だとぉおおおおおおお⁉︎」
俺は驚愕のあまり、床に崩れ落ちていた。
あの雑魚野郎に出資するなんて、このバカ王女は何を考えているんだ?
それに、セリンは嘘をついて冒険者として成り上がっているクズ中のクズだ。
クソ!
あの雑魚野郎の嘘を暴ければ、あいつを犯罪者として辺境にでも飛ばしてやることができるのに!
「面白い!」
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