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20.拒否

 ギルドにて。


 初クエストを終え、僕たち『永久の輝石』にちょうどいい難易度のクエストがないか、クエストボードの前で見ていると、受付嬢さんに呼ばれた。


「いやー! セリンさんはすごいですね! ギルドメンバー一同、感動しましたよ!」


「え……何がですか?」


「あら? 聞いてないんですか? びっくりしないでくださいよセリンさん! なんと、あの勇者グレイク様にセリンさんがパーティ勧誘されたんです! とても誇らしいことですね! おめでとうございます!」


 いやいや。


 僕がグレイクに誘われたってどういうことだ?


 確かに、僕は最近、噂が一人歩きして王国内で名が広まっているらしいけど、あの激怒していたグレイクが僕を連れ戻すなんて考えられない。


 きっと、何かの間違いだろう。


 だけど悲しくなるな……。


 僕は自分が勇者パーティに所属していたことをギルドメンバーの皆が知らないことに驚いていた。


 一応、人類を魔王軍から守るために死ぬ気で頑張っていたんだけどな……。


 当時の自分の知名度のなさと不甲斐なさにに呆れるばかりだ……。


 とりあえず!


「受付嬢さん、勇者の誘いは断っておいてください。僕……セリンは、パーティ『永久の輝石』のリーダーですから!」


「ええ⁉︎ いいんですか?」


 口を大きく開けて驚く受付嬢さん。


 まあ、自然な反応だよな。


 勇者グレイクは国王から魔王討伐の命を授けられた特別な人間だ。


 そんな勇者からの誘いを断るなんて、馬鹿だと感じる人が多数だろう。


 僕だって祝福の儀で勧誘されたときは舞い上がったからな。


「はあ、わかりました……。ギルドを通じて勇者様には、お断りの連絡をさせていただきます」


 受付嬢さんは戸惑いつつ、了承してくれた。


 しかし、ギルドに凍てついたような空気が流れていた。


 そうだよな。


 国民から多くの支持と人気を集める勇者に非協力的な男なんて、嫌われて当然だ……。


 勇者の誘いを断ったことで、優しいギルドメンバーの皆さんと仲が悪くなったりしたら嫌だな……。


 僕がため息ををついて落ち込んでいると、ギルドに併設された酒場から声が上がった。

 

「おいおい、セリンさん! 勇者パーティの誘いを断るなんて……セリンさんはなんてかっこいい男なんだ! 俺なら高待遇に釣られて軽く引き受けちまうぜ!」


「ああ! そりゃあ、セリンさんはルシナちゃんを守ってあげなきゃ駄目だからな! あんなに可愛い嫁さんがいたら、いくら勇者様の頼みだとしても断るしかないよな!」


「よ、嫁⁉︎ 僕とルシナとはそんなんじゃありませんよ……!」


「あれ、そうなんですかい? 俺たちギルドメンバーは全員、セリンさんはルシナちゃんとできてると思ってたぜ!」


 その言葉に、酒場中のギルドメンバー全員が頷く。


 ええ……僕たち付き合っていると思われてたのか。


 嬉しいけど、ルシナは迷惑に感じるだろうな……。


 だって、僕みたいな冴えない見た目の男と、美少女エルフのルシナじゃ不釣合すぎる。


 ルシナに恋愛対象として見られたいけど、無理な話に違いない。


 どっちかと言うと彼氏というよりは家族って感じだからな……。


 ジミ村の宿屋でルシナが下着姿になった時も、家族のような関係性だからそうなったわけだし……。


 僕が肩を落としていると、酒場中では、「セリン! セリン!」と歓声が上がっていた。


 本当に温かくて優しい人たちで涙が出てくるな。


 よし! 皆さんに感謝の気持ちを伝えないと!


「皆さん……こんな僕に優しくしてくれてありがとうございます! そうだ。モルカ様からパーティへ大量の出資金をいただいてお金に余裕があるので、今日は皆さんにお酒をおごらせてください!」


「うおおおおおっ! 流石はセリンさん! グランドル王国の英雄だぜ!」


「よし、お前ら飲むぞ! 王国騎士団や勇者でも救えなかったジミ村を、コボルト軍から救った英雄セリンさんの話でもしながらな!」


 はは……恥ずかしいよ……。


 こうして、僕はギルドメンバーさんたちと楽しい夜を過ごすのでした。


 僕は本当に幸せだな!

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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