02.スキルの真の意味
「グオオオオオッ!」
「あ、あの……私を食べても美味しくないですよ?」
獰猛なオーク1匹に、エルフの少女が襲われていた。
巨大な棍棒を持ったオークはいかにも強そうだ。
2メートルはあるであろう大きな体躯。
そして、身体から感じられる凄まじい威圧感。
正直言って、身体の震えが止まらなかった。
だけど!
「巨大オーク! お前は僕が倒す!」
僕はエルフの少女の前に立つと、剣を構えた。
皆を守るために、勇者パーティに入って魔物と戦ってきたんだ。
ここで戦わないなんて、スキルを与えられてから頑張ってきた僕の人生を全て否定するようなものだ!
「グオオオオオオッ!」
巨大オークは激高すると、僕に突進してきた。
おおかた、狙っていたエルフを邪魔されて怒っているのだろう。
僕は巨大オークから振り下ろされた棍棒の軌道に入ると、剣で受け止めに入る。
動きは鈍いし、オークとは何度も戦闘しているから攻撃の軌道を読むのは簡単だ。
パキン!
「う、嘘だろ?」
僕の剣は真っ二つに割れると、遠くへ弾き飛ばされていた。
そして、巨大オークは笑みを浮かべると再び棍棒を振り上げてくる。
はは……結局、僕は最後まで役に立たない男なんだ……。
後方から魔物を攻撃してグレイクやパーティの皆に貢献しているつもりだったけど、僕の貢献度なんて微々たるものだったと今ならわかる。
ああ……せめて巨大オークの棍棒を奪えれば、僕の剣が通ったのにな……。
折角だし、死ぬ前にスキルでも使ってみるか。
「スキル『窃盗』!」
僕はスキル『窃盗』を使うと、巨大オークの棍棒を奪おうとする。
しかし、巨大オークの手には棍棒があった。
なんなんだよこの役に立たないスキルは!
何がレアスキルだよ!
こんな無能スキルを与えられるくらいなら、祝福の儀で僕はどうしようもないグズなんだって教えてほしかった!
レアスキルなんて言われたら、死ぬ寸前まで期待しちゃうじゃないか……。
その時、今までに聞いたことのない天の声がした。
『オークからスキル『筋力強化』を獲得しました』
「え……?」
「グオオオオオオッ!」
すると、巨大オークは僕の後ろで崩れ落ちていたエルフの少女ごと、棍棒で殴ろうと突撃してきた。
「よくわからないけど、この子だけは絶対守ってやる!」
僕は無我夢中で巨大オークを追い払おうとする。
すると、僕の掌底が巨大オークの顔面を捉えていた。
「グワッッッッッ!」
ズドンッ! と音がすると、巨大オークが軽々と吹っ飛ぶ。
そして、巨大オークは泡を吹くと、その場に倒れこんでいた。
「僕が倒したのか? あの巨大なオークを……?」
信じられなくて嘘みたいだ……。
だけど、自然と笑みが浮かんできた。
天の声で聴こえてきたスキル『筋力強化』は、おそらくあのオークが持っていたスキルだろう。
そして、それを奪えたのはスキル『窃盗』のおかげなんだ……。
僕はずっと勘違いしていた。
スキル『窃盗』は、使った対象者のアイテムを盗める効果だと。
でも、今日わかった。
スキル『窃盗』は、使った対象者の所持スキルを奪える超チートスキルだったんだ!
すごい! すごいぞ!
僕のスキルは外れスキルじゃなかったんだ!
その事実が判明しただけで、僕は天にも昇るような気持ちになっていた。
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
と思いましたら
下記の☆☆☆☆☆から作品の応援をよろしくお願いいたします!
面白かったら☆5つ、つまらなければ☆1つなど、正直な感想で大丈夫です!
また、ブックマークもいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。