19.勧誘(グレイク視点)
俺はグレイク。
人類最強であり、国王から魔王討伐の命を授かった最強パーティのリーダーだ。
先日、レアスキルを所持していると嘘をつき、俺のパーティへ入って足を引っ張りまくったクズを追放したのだが、その枠を埋めるべく、俺はパーティメンバーを募集していた。
いい人材は世界中に散らばっているものだ。
俺は王国中に知らせるため、莫大な金を広告費に使った。
だが、パーティ加入を申し込んでくる奴は使い物にならないクズばっかりだった。
面接も何度もした。
しかし、レアスキル『収納』を持っていると豪語した女は、アイテムを大量に収集することしかできず、戦闘には貢献できない無能だったり、レアスキル『武闘家』持ちの男は、中ボス程度の魔物で死にかける雑魚っぷり。
クソッ!
これならあのゴミクズセリンのほうがマシじゃねえか!
そんな中、王国の新米冒険者が魔王軍のコボルト領を降伏させたニュースを聞いた。
コボルト領といえば、あの王国騎士団が何度も攻めても攻略できなかった難攻不落の領土だ。
さらに、その新米冒険者はなんでも、魔物の所持スキルを奪う超チートスキル持ちで、王国の中では英雄と持ち上げる者もいるらしい。
まさに、俺たち勇者パーティにふさわしい人材じゃねえか!
絶対に引き入れてやらないとな!
英雄とやらも俺のような最強勇者に勧誘されたら、涙を流しつつ、地べたに這いつくばって仲間になることを懇願してくるだろう。
ブハハ! 俺は最強だからな!
俺はニヤリと笑うと、魔王領を進む。
現在、俺たち勇者パーティは、王国から北にある魔王軍ダークドラゴン領を攻略していた。
だが、無能な部下どものせいで戦況は最悪だ。
「おい、こんなクソドラゴン共に苦戦してるんじゃねえ!」
「だったら、グレイクも手伝ってよ! 数が多すぎて魔法の軌道が定まらないのよ!」
「ああ? この俺様にそんな雑魚敵の相手をしろだと? お前は何様だ。エナ!」
俺はエナを突き飛ばす。
たかだか魔術師の分際で俺に逆らうなど無礼なことだ。
そして、俺の部下共はドラゴンの群れに苦戦しつつも、なんとかダークドラゴンの居城へと辿り着いた。
いよいよ、ボス戦か。
俺は禍々しい装飾がされた門を開けようとする。
すると、僧侶のカミナが声を上げた。
「いけませんグレイク! ポーションと聖水がもう尽きたので、これ以上進むのは危険です!」
「ああ? お前ら、雑魚敵と戦っただけで全てのアイテムを消費したのか? 勇者パーティの一員としてあるまじき無能っぷりだな!」
「で、ですが、私たちが戦闘している間にグレイクが参戦してくだされば、戦況は変わってアイテムの消費量も抑えられましたのに……」
「おい、カミナ? この勇者に文句があるのか? お前のような僧侶の分際でか?」
「ひっ⁉︎」
俺はカミナの杖を蹴り飛ばすと、カミナは悲鳴を上げる。
そして、カミナの尻を触った。
ブハハ!
レアスキル『勇者』の俺から比べたら、お前らなんて取るに足らない雑魚にすぎねえんだ。
俺に口答えなんて1000年早え!
そうして、俺は使えない連中に嫌気が差しつつも、王都へ退却したのだった。
早く英雄とやらを雇わないとな!
無能なグズ共に振り回されるのはもう散々だ!
俺は英雄を勇者パーティに引き入れると決めると、新たな最強パーティの結成に笑いが止まらなかった。
だが、今の俺は知らなかった。
頼みの綱の英雄が、俺が世界一嫌いだったあいつだったことに!
そして、俺たちパーティは破滅の道をすでに進んでいて、地獄のように転落していく日々が待ち受けていることに!
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