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14.永久の輝石

 コボルト領領主のググルを倒した翌日。


 宿場にて。


「セリンさん! 大変です! セリンさんがコボルト領のググルを倒したというニュースが新聞の一

に載ってますよ!」


「ええ……そんな、コボルトを倒したぐらいではしゃがなくても……」


「だって見てくださいよ! 『最強新米冒険者セリン! コボルト領を支配する!』ってタイトルがかっこよすぎますよ! ああ……こんな魅力的な新聞が世の中に広まったらますますセリンさんに告白しにくる女性が増えちゃいますね! もちろん、セリンさんはもっと世間から評価されるべき英雄ですから、さらに知名度が上がってほしいですけど……なんだか複雑です……」


「え、支配……? 僕はコボルト領に攻め込んだ覚えはないけど……」


 新聞を読むと、確かにコボルト領領主のググルが僕に降伏したという記事が書かれていた。


 よくわからないけど、これでジミ村の皆が魔王軍に怯えずに済む生活を送れるなら、よかったな。


「セリンさんのおかげで、たくさんの人を救うことができましたね! 本当に私は、セリンさんに出会えて幸せです!」


「幸せか……」


 僕が言うと、ルシナがちょこん、と首を傾げた。

 

「いや、新聞を読んで思ったんだけど、僕たちのパーティ名ってまだ決めてないよな?」


「そうですね……新聞でも最強新米冒険者セリン率いるパーティと書かれています! 私はこの文章、セリンさんの強さが伝わってきてとても大好きですよ!」


「毎回その紹介文じゃ恥ずかしいよ……。それに、僕たちのパーティを示す幸せの証として、パーティ名が必要だと思うんだ」


「パーティ名ですか……」


 僕とルシナは考え込んだ。


 強そうなパーティ名でもいいし、個性的な名前でもいいな。


 どうせなら、僕たちのこのパーティで成り上がっていくという思いを込めた名前がいい。


 とりあえず、ルシナの要望を聞いてみるか。


「ルシナはどんなパーティ名がいいと思う……ええ!?」


 僕の目の前には、下着姿のルシナがいた。


 妖艶な雰囲気の黒い下着は、ルシナの身体の細い線を魅力的に演出している。


 そして、清楚なエルフのイメージからかけ離れたその下着は、僕にギャップ萌えを感じさせた。


「ご、ごめんなさい! セリンさんを信頼しているってことですかね……。いつも家で落ち着いている時のように脱いじゃいました……」


 ルシナはそう言うと、ポッ、と頬を赤らめていた。


 うう……気まずすぎる!


 とりあえず、パーティ名を考えて気を紛らわせよう!


 えーと……冒険者として夢は大きく持ったほうがいいから『大地の双丘』とか!


 格好良さをテーマにして『漆黒の下着』でもいいかもしれないな!


 駄目だ! 


 ルシナの下着姿に引っ張られて卑猥な名前しか出てこないよ!


「セリンさん……」


 ルシナは僕の手に手を絡めてくると、にこっ、と微笑む。


 そして、甘くささやくように言った。


「私、セリンさんと出会えて本当によかったです。冒険者として、こんなに楽しい日々を過ごせているんですから」


「ルシナ……」


「なんだか恥ずかしいですね……。でも、こうして積極的にアプローチしないと鈍感なセリンさんには伝わらないでしょうから」


 ルシナはそう言うと、ゆっくり顔を寄せてくる。


 耳まで染まった赤い顔。


 下着姿で際立つ身体を片腕で隠しているルシナは、反則級に可愛いかった。


 よし、僕は決めたぞ!


「ルシナ! 僕たちのパーティ名は『永久の輝石』にしよう」


「え? 『永久の輝石』?」


「うん。ルシナが僕とパーティを組んで、楽しい日々を送れていると言ってくれたことが嬉しくてさ。だから、輝石のように輝いた毎日が永久に続けばいいと考えて、付けたんだ」


「いいですね! 私は大賛成です! 私たちのパーティ名は今日から、『永久の輝石』ですね!」


「ああ、決定だ」


 僕はニコッと笑うルシナの頭を撫でた。


「もう、何してるんですかセリンさん! さっきのアプローチだって気づかなかったくせに……」


「さっきのアプローチ? 嫌なら止めるけど……?」


「止めないでください! もう、セリンさんはとんでも級の鈍感なんですから……」


 どうやら、ルシナは頭を撫でられることが好きなようだ。


 こうして、僕たちのパーティ名は、『永久の輝石』に決まったのだった。


 ルシナがずっと笑顔で冒険者生活を送れるように、より一層僕も頑張らないとな!


 次の日、村長にパーティ名が決まったと伝えると、「セリン殿のパーティ名が決まったらしいぞ! 今から王国中の全新聞社にセリン殿の英雄譚を公表しませんと!」と、息巻いていた。


 ああ……そんなに目立たなくてもいいのにな……。


 それから、案の定、僕のジミ村を救った英雄譚は広まり、王国内の書店では僕を賞賛する内容の童話が発売され、ベストセラーになるのだった……。


 もう、どうにでもなってくれ……。

「面白い!」


「続きが早く読みたい!」


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